データの種類
更新日:
この記事で扱う統計知識
データの種類とは ― 「数字の意味」の基本
1. この記事で学べること
いちこ
まとめ
・データには種類があり、種類によって使える計算が変わると分かる ・4つの尺度(名義・順序・間隔・比例)を区別できるようになる ・「平均してはいけないデータ」を見分けられるようになる
2. エピローグ
マラソン大会のボランティアをした。
参加者全員にゼッケンを配る係だった。 ゼッケン番号は1番から1000番まで。
受付の後輩が、ふと言った。 「今日の参加者のゼッケン番号、平均すると500くらいですね。」
確かに間違いないような気もするが、 それ、何の意味があるんだろう。
ゼッケン番号は単なる識別番号だ。
1番の人が3000番の人より「優れている」わけではない。 平均を計算しても、何の情報も得られない。
数字が割り振られていても、それが「計算していい数字」とは限らない。
いちこ
シュン
飲食店のアンケート結果を集計していた。
「満足度を5段階で教えてください。1.とても不満 2.不満 3.普通 4.満足 5.とても満足」
回答を集計して平均を出した。 平均満足度3.8。
「3.8点なら、まあまあ満足度が高いお店だな。」
そう報告しようとした瞬間、上司が言った。 「ちょっと待って。1から5までの差って、本当に均等なの?」
言われてみれば。
- 「とても不満(1)」と「不満(2)」の差
- 「満足(4)」と「とても満足(5)」の差。
これらは、本当に同じ大きさなのか。 順序はあるが、間隔が均等とは限らない。
平均を出すこと自体は実務上よく行われるが、本来は「順序がある」というだけのデータだった。
いちこ
シュン
真夏の営業外回り中、後輩がぼやいた。
「今日30度ですよ。昨日の最低気温15度の倍ですね。倍暑いってことですか。」
それは、ちょっと違う気がする。
例えば、気温の「0度」は「温度がない」という意味ではない。 水が凍る温度を便宜的に0度と決めただけだ。
だから30度は15度の「2倍暑い」わけではない。
気温の差(15度から30度に上がる、など)には意味があるが、比率(2倍・3倍)には意味がない。
これは「間隔尺度」と呼ばれるデータの特徴だ。
シュン
いちこ
シュン
- ゼッケン番号
- 満足度アンケート
- 気温。
3つに共通しているのは「数字だからといって、同じように計算していいわけではない」ということだ。
データには種類があり、種類によって「やっていい計算」が変わる。
3. データの種類とは何か
データは大きく分けて4つの尺度に分類できる。
| 尺度 | 特徴 | できる計算 | 例 |
|---|---|---|---|
| 名義尺度 | 分類するだけ。順序なし | 個数を数える | ゼッケン番号・血液型・性別 |
| 順序尺度 | 順序はあるが間隔は不均等 | 大小比較・中央値 | 満足度5段階・順位・会員ランク |
| 間隔尺度 | 順序も間隔も均等。0は便宜的 | 足し算・引き算・平均 | 気温・偏差値・西暦 |
| 比例尺度 | 間隔尺度+ゼロに意味がある | 掛け算・割り算・比率 | 売上・身長・体重・年齢 |
段階的な構造
名義尺度から比例尺度に向かって、できる計算がどんどん増えていく。 名義尺度は「分類」しかできないが、比例尺度は「足す・引く・掛ける・割る」すべてができる。
注意
よくあるミスは、満足度アンケート(順序尺度)を売上データ(比例尺度)と同じように扱ってしまうこと
ポイント
例えば、「満足度が2倍になった」という表現は、本来は適切でないことが多い。 データの種類を意識するだけで、分析の精度が上がる。
4. 図で見る
4つの尺度を「できる計算の範囲」で整理するとこうなる。
名義尺度が最もシンプルで、比例尺度に向かうほど扱える計算が増える。
身近なデータを4つの尺度に分類するとこうなる。
| データ | 尺度 |
|---|---|
| 性別・血液型・部署名 | 名義尺度 |
| 満足度・順位・学年 | 順序尺度 |
| 気温・西暦・偏差値 | 間隔尺度 |
| 売上・身長・年齢・受注件数 | 比例尺度 |
いちこ
① データの種類によって、できる計算が変わる
名義尺度や順序尺度のデータに、安易に平均や比率の計算を使うと、誤った結論を導くことがある。 分析を始める前に「このデータはどの尺度か」を確認する習慣をつけよう。
② 営業データの多くは比例尺度だが、アンケートは順序尺度が多い
受注件数・売上・架電数は比例尺度なので、平均や比率の計算が問題なく使える。 一方、満足度アンケートやNPS(顧客推奨度)は順序尺度であることが多く、扱いには注意が必要だ。
ポイント
実務では順序尺度のデータ(満足度5段階など)に平均を使うことが一般的に行われている。 これは「間隔がほぼ均等だろう」という前提のもとでの便宜的な使い方。
シュン
5. 計算式
シュン
判定フロー
- 数値に順序があるか? → ないなら「名義尺度」
- 間隔が均等か? → 不均等なら「順序尺度」
- ゼロに「何もない」という意味があるか? → ないなら「間隔尺度」
- 上記すべて満たすなら「比例尺度」
具体例で確認
満足度(1〜5):
- 順序がある → 次へ
- 間隔が均等とは言い切れない → 「順序尺度」
売上(円):
- 順序がある → 次へ
- 間隔が均等 → 次へ
- 0円は「売上が全くない」という意味 → 「比例尺度」
6. まとめ
まとめ
・データには4つの尺度(名義・順序・間隔・比例)があり、種類によってできる計算が変わる ・名義尺度や順序尺度のデータに平均や比率を安易に使うと誤った結論になることがある ・営業データの多くは比例尺度だが、アンケートは順序尺度が多いので注意が必要
いちこ
この統計テーマを使った営業シーン記事
理解度をチェックしよう
「データの種類」の3問クイズに挑戦