カイ二乗検定
更新日:
この記事で扱う統計知識
カイ二乗検定とは 〜カテゴリの関係を証明する〜
1. この記事で学べること
まとめ
・カイ二乗検定でカテゴリデータの関係が偶然かどうかを確認できる ・「期待度数」と「観測度数」のズレが大きいほど関係が強いと分かる ・クロス集計とカイ二乗検定の2ステップの使い方が分かる
2. エピローグ
飲み会の席で、よく出る話題がある。
「A型って几帳面だよね。」 「B型はマイペースだから、一緒に仕事しにくいんだよな。」 「O型はおおらかでいい人が多い。」
みんなが笑いながら同意する。
本当に血液型と性格に関係があるのか。
気になって、職場の100人にアンケートを取ってみた。 「血液型」と「几帳面かどうか(自己評価)」の2つを聞いた。
結果をクロス集計するとこうなった。
| 几帳面 | 几帳面でない | 合計 | |
|---|---|---|---|
| A型 | 22人 | 8人 | 30人 |
| B型 | 12人 | 18人 | 30人 |
| O型 | 16人 | 14人 | 30人 |
| AB型 | 8人 | 2人 | 10人 |
| 合計 | 58人 | 42人 | 100人 |
A型は几帳面が多く、B型は几帳面でない人が多い。 なんとなく「やっぱりそうか」と思える表ができた。
でも待てよ、と思った。
これは偶然じゃないのか。
100人のデータでも、たまたまそういう人が集まっただけかもしれない。 「関係がありそう」という感覚と「統計的に関係がある」は別の話だ。
いちこ
シュン
大学の講義を1学期間、こっそり観察した。
気になっていたことがあった。 「前列に座る学生と後列に座る学生で、居眠りの頻度が違う気がする。」
30回の講義で、前列(1〜3列)と後列(7〜10列)の学生の居眠りを記録した。
| 居眠りあり | 居眠りなし | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 前列 | 5人 | 25人 | 30人 |
| 後列 | 18人 | 12人 | 30人 |
| 合計 | 23人 | 37人 | 60人 |
後列の方が明らかに居眠りが多い。
でも「前列に座る学生はもともと真面目だから、座席位置は関係ない」という反論もできる。
座席位置と居眠りに本当に関係があるのか。それとも偶然か。
いちこ
シュン
「SNSをよく使う人は睡眠時間が短い」という話をよく聞く。
本当にそうなのか気になって、50人にアンケートを取った。 「SNS使用頻度(1日2時間以上・2時間未満)」と「睡眠時間(6時間未満・6時間以上)」を聞いた。
| 睡眠6時間未満 | 睡眠6時間以上 | 合計 | |
|---|---|---|---|
| SNS多い(2時間以上) | 18人 | 7人 | 25人 |
| SNS少ない(2時間未満) | 8人 | 17人 | 25人 |
| 合計 | 26人 | 24人 | 50人 |
SNSが多い人の方が睡眠時間が短い傾向がある。
でもこれは50人のデータだ。 偶然こういう人が集まっただけかもしれない。
カイ二乗検定で確認する価値がありそうだ。
シュン
いちこ
シュン
いちこ
- 血液型と性格。
- 座席位置と居眠り。
- SNSと睡眠時間。
3つに共通しているのは、 「クロス集計で関係がありそうと分かったが、偶然かどうかを確認したい」ということだ。
この「カテゴリデータの関係が偶然かどうかを検証する」道具が、カイ二乗検定だ。
3. カイ二乗検定とは何か
いちこ
「期待度数」と「観測度数」のズレを見る
カイ二乗検定の核心は「もし関係がなければ、データはこう分布するはず」 という期待度数と、実際のデータ(観測度数)のズレを見ることだ。
SNSと睡眠の例で期待度数を計算してみる。
もし「SNS使用頻度と睡眠時間に関係がない」なら、、
睡眠6時間未満の割合は全体の52%(26/50)のはずだ。
SNS多いグループ25人×52% = 13人が期待度数。 しかし実際は18人(観測度数)だった。
このズレが大きいほど「関係がある」と判断できる。
| 睡眠6時間未満 | 睡眠6時間以上 | |
|---|---|---|
| SNS多い(観測) | 18人 | 7人 |
| SNS多い(期待) | 13人 | 12人 |
| SNS少ない(観測) | 8人 | 17人 |
| SNS少ない(期待) | 13人 | 12人 |
観測度数と期待度数のズレが大きい。 カイ二乗検定でこのズレを数値化する。
まとめ
カイ二乗検定は「男性・女性」「A型・B型」「はい・いいえ」のようなカテゴリデータに使う。 数値データ(身長・売上など)の比較にはt検定やz検定を使う。
4. 図で見る
SNSと睡眠のデータを比較するとこうなる。
- SNSが多いグループ:72%が睡眠6時間未満。
- SNSが少ないグループ:32%が睡眠6時間未満。
この差が偶然かどうかをカイ二乗検定で確認する。
カイ二乗値を計算すると: $$
自由度1のカイ二乗分布でp値を求めると: $$
p値が0.05を大きく下回っているため、 「SNS使用頻度と睡眠時間の関係は偶然ではない」と判断できる。
シュン
① クロス集計とカイ二乗検定は2ステップで使う
- クロス集計で「関係がありそう」を見える化する。
- カイ二乗検定で「その関係が偶然ではない」を証明する。
この2ステップがカテゴリデータ分析の基本だ。
② 「関係がある」は「原因がある」ではない
SNSと睡眠に関係があっても、「SNSが睡眠を短くした」とは言えない。 もともと夜型の人がSNSをよく使うだけかもしれない。 カイ二乗検定は関係の有無を示すだけで、因果関係は別の話だ。
ポイント
カイ二乗検定には「期待度数が5以上」という条件がある。 5未満になる場合は、フィッシャーの正確確率検定など別の手法を使う。
5. 計算式
シュン
いちこ
カイ二乗統計量
- : 観測度数(実際のデータ)
- : 期待度数(関係がない場合の理論値)
期待度数の計算
自由度
カイ二乗値と自由度からp値を求める。p < 0.05なら有意差あり。
6. まとめ
ポイント
・カイ二乗検定はカテゴリデータの関係が偶然かどうかを検証する手法 ・「期待度数」と「観測度数」のズレが大きいほど関係が強い ・クロス集計(見える化)→カイ二乗検定(証明)の2ステップが基本
いちこ
この統計テーマを使った営業シーン記事
- リード分析の基本 ― リードソース別の受注率をカイ二乗検定で検証する
この統計テーマを使った営業シーン記事
理解度をチェックしよう
「カイ二乗検定」の3問クイズに挑戦