p値・有意水準
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この記事で扱う統計知識
p値・有意水準とは ―「どこで線を引くか」入門
1. この記事で学べること
ポイント
・p値が「偶然の確率」であることが分かる ・有意水準が「どこまで偶然を許容するか」の基準だと分かる ・0.05という数字の意味と使い方が分かる
2. エピローグ
冷蔵庫を開けると、ヨーグルトがあった。
賞味期限を確認すると、昨日までだった。
食べるべきか、捨てるべきか。
見た目は普通だ。においも問題ない。 「1日くらい大丈夫かな」と思う一方で、「やめておいた方がいいかな」とも思う。
でも、「賞味期限」という基準があるから、判断できる。
基準がなければ毎回悩み続ける。 今日も明日も明後日も、「これはまだ食べられるのか」と考え続けることになる。
基準を決めるから、判断が明確になる。
賞味期限は「この日までは安全と認める」という線引きだ。 1日過ぎたからといって即座に危険になるわけではないが、基準があることで判断がぶれなくなる。
いちこ
シュン
海外旅行中に、クレジットカードが止まった。
ホテルのチェックインでカードを出したら、決済が通らなかった。 カード会社に電話すると「不審な利用の可能性があったため、一時停止しました」と言われた。
いつもと違う国で使ったから、怪しまれたのか?
カード会社は「怪しさのスコア」を計算して、ある基準を超えたら利用を止める仕組みを持っている。
でも基準の設定は難しい。
- 基準を厳しくしすぎると、正常な海外利用まで止めてしまう。
- 基準を緩くしすぎると、本物の不正を見逃してしまう。
どこで線を引くか。それが基準設定の本質だ。
有意水準の設定も全く同じジレンマがある。
- 厳しくしすぎると(0.01など)、本当は差があるのに「差なし」と判断してしまう。
- 緩くしすぎると(0.2など)、偶然の差を「差あり」と判断してしまう。
いちこ
シュン
いちこ
マイホームのために、ローンを申し込んだ。
担当者が言った。「年収の○倍までが審査の基準です。」
基準ぴったりの金額を申し込んだ。 結果は承認だった。
もし1円でも多く申し込んでいたら、否決だったかもしれない。
基準より1円でも超えれば否決。基準以下なら承認。
この「先に基準を決めておく」ことには重要な意味がある。 データを見てから「やっぱり基準を変えよう」とすると、都合のいい結論を出すために基準を動かしてしまう危険がある。
有意水準も同じだ。 「p値を計算してから有意水準を決める」のは反則だ。 必ずデータを見る前に「p < 0.05なら有意差あり」と決めておく。
シュン
いちこ
シュン
いちこ
- 賞味期限。
- 不正検知。
- ローン審査。
3つに共通しているのは「先に基準を決めることで、判断が明確になる」ということだ。
統計の有意水準も同じ。 「p値がいくつ以下なら偶然ではないと判断するか」を先に決めておく。 これが有意水準だ。
3. p値・有意水準とは何か
p値とは
帰無仮説(差はない)が正しいとしたとき、今回観測したデータと同じかそれ以上に極端な結果が偶然得られる確率だ。
- p値が高い → 偶然でも起きうる → 差があるとは言えない
- p値が低い → 偶然では説明できない → 差がある可能性が高い
有意水準とは
「p値がいくつ以下なら偶然ではないと判断するか」の基準だ。 慣習的に0.05(5%)が使われることが多い。
| 有意水準 | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 0.01(1%) | 厳しい基準 | 医薬品・安全基準など重大な判断 |
| 0.05(5%) | 標準的な基準 | 一般的な研究・ビジネス分析 |
| 0.10(10%) | 緩い基準 | 探索的な分析・仮説生成 |
ポイント
0.05という数字に特別な根拠はない。 「100回中5回は偶然でも起きうる」という許容範囲を慣習的に設定したものだ。 重要な意思決定ほど厳しい基準(0.01)を使い、探索的な分析では緩い基準(0.10)を使うこともある。
4. 図で見る
p値と有意水準の関係を視覚化するとこうなる。
p値が0.05の線を境に「偶然ではない(有意差あり)」と「偶然の範囲内」が分かれる。 この線が有意水準だ。
ここで2つのことを覚えておいてほしい。
① p値は「偶然の確率」。低いほど偶然では説明できない
p値0.03は「帰無仮説が正しいとき、今回の差が偶然出る確率が3%」という意味だ。 3%しかない偶然の確率 → 帰無仮説は正しくない可能性が高い → 差がある。
② 有意水準は先に決める。データを見てから変えない
ローン審査と同じで、基準は先に決めておく。 データを見た後に「p値が0.06だったから有意水準を0.10にしよう」は反則だ。 分析の信頼性を保つために、有意水準は必ず事前に設定する。
注意
p値が0.05を超えたからといって「差がない」とは言えない。 「差があるとは言えなかった」というだけだ。 サンプルが少なすぎて差を検出できなかっただけかもしれない。「有意差なし=差なし」という誤解に注意しよう。
5. 計算式
シュン
いちこ
p値の判断フロー
- : p値(計算で求める)
- : 有意水準(事前に決める。通常0.05)
よく使う有意水準の表記
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| * | p < 0.05 |
| ** | p < 0.01 |
| *** | p < 0.001 |
論文やレポートでこの表記を見たら、「*が多いほど偶然の確率が低い」と理解すればいい。
6. まとめ
いちこ
まとめ
・p値は「帰無仮説が正しいとき、今回の差が偶然得られる確率」。低いほど偶然ではない ・有意水準は「どこまで偶然を許容するか」の基準。通常0.05を使う ・有意水準は必ずデータを見る前に決める。後から変えると分析の信頼性が失われる
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