標本調査法
更新日:
この記事で扱う統計知識
標本調査法とは ― 「誰に聞くか」で結果は変わる
1. この記事で学べること
いちこ
まとめ
・単純に一部を選ぶだけでは偏りが出ることがわかる ・層化抽出・クラスター抽出という考え方がわかる ・「誰に聞くか」が調査結果を左右することがわかる
2. エピローグ
住んでいるマンションで、管理組合のアンケートを頼まれたことがあった。
時間がなかったので、たまたま1階で会った住民数人にだけ話を聞いて、それをアンケート結果としてまとめようとした。
でも、ふと立ち止まった。
1階の住民は、もしかしたら「駐輪場が近くて便利」というような、他の階の人とは違う意見を持っているかもしれない。 1階だけに聞いて「マンション全体の意見」として扱っていいのか、疑問がわいた。
各階から均等に何人かずつ聞く方が、マンション全体の実態に近づけそうだと気づいた。
シュン
学校で、学年全体の満足度調査を頼まれた友人の話を聞いた。
友人は、仲の良いクラスメート数人にだけ聞いて、それを学年の結果として提出してしまった。
後で他の先生に指摘された。 「君の仲の良い友達だけの意見で、学年全体を語れないよね」
確かに、仲の良い友達同士は考え方や生活リズムが似ている場合が多い。 たまたま身近な人にだけ聞くと、学年全体とはズレた結果になりやすい。
・マンションのアンケート ・学年の満足度調査
2つに共通しているのは、 「誰に聞くか」によって、得られる結果が大きく変わってしまうということだ。
この「偏りなく、代表性のある形でデータを集める」ための工夫が、標本調査法だ。
3. 標本調査法とは何か
単純無作為抽出
母集団全体から、完全にランダムに標本を選ぶ方法。
ポイント
基本となる考え方だが、母集団が大きく多様な場合、たまたま偏った標本になることもある。
層化抽出
母集団をいくつかのグループ(層)に分け、各層から一定の割合で標本を選ぶ方法。
ポイント
マンションを「階」で層に分け、各階から均等に選べば、特定の階の意見に偏らず、マンション全体の実態に近い結果が得られやすい。
クラスター抽出
母集団をいくつかの集団(クラスター)に分け、その中からいくつかの集団を丸ごと選んで調査する方法。
ポイント
全体を層化するより手間が少ないことが多い。
4. 図で見る
「1階だけに聞く」場合と「各階から均等に聞く」場合で、結果がどう変わりうるかを見てみる。
1階の住民は駐輪場やエントランスへのアクセスが良く、満足度が高めに出やすい。 全階から均等に聞くことで、マンション全体としての実態に近い数字が得られる。
シュン
ここで2つのことを覚えておいてほしい。
① 一部だけを都合よく選ぶと、結果が偏る たまたま身近な人・アクセスしやすい人だけに聞くと、母集団全体とはズレた結果になりやすい。
② 層に分けて選ぶことで、代表性が高まる 属性(階、学年、部署など)ごとに層を作り、そこから均等に選ぶことで、より母集団の実態に近い標本が得られる。
注意
標本調査法は「どう選ぶか」の設計であり、選び方を誤ると、標本の数を増やしても偏りは解消されない。
5. まとめ
まとめ
・単純無作為抽出は基本だが、母集団が多様な場合は偏りが出ることがある ・層化抽出は、属性ごとに層を分けて均等に選ぶことで代表性を高める方法 ・「誰に聞くか」の設計次第で、調査結果の信頼性は大きく変わる
いちこ
理解度をチェックしよう
「標本調査法」の3問クイズに挑戦