z検定

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z検定のやり方 ― 営業マネジャーのための「差の検証」入門

1. エピローグ

7時52分。会社のエレベーターホールに着いた。

いつも通り右のボタンを押す。でも最近、左の方が早く来る気がしている。

先週から密かに記録をつけ始めた。

スマホのメモに「右: 43秒、左: 38秒、右: 51秒…」と書き続けて10日。

右を5回、左を5回試した結果、左の平均は35秒、右の平均は44秒だった。

左の方が9秒早い。でもこれは本当に左が優れているのか。たまたま運が良かっただけではないか。

確信が持てないまま、今日も右のボタンを押した。


12時03分。社食に着いた。

AラインとBライン、どちらに並ぶか。

隣の席の田中さんは「絶対Bラインの方が早い」と言い張る。 でも自分には分からない。今日は珍しく時間があったので、こっそり計ってみることにした。

スマホのストップウォッチを起動して、Aラインで並んでいる人の待ち時間を計る。 次にBラインで並んで自分の時間を計る。

Aライン: 8分。 Bライン: 6分。

「やっぱりBが早い」と田中さんは言うだろう。

でも1回ずつのデータで結論を出していいのか? 昨日はたまたまAラインの担当者が新人だったかもしれない。

2分の差は本物か。それとも偶然か。


19時30分。近所のスーパーに寄った。

セルフレジと有人レジ、どちらに並ぶか。

いつもなんとなく選んでいるが、よく考えると根拠がない。

セルフの方が早い気がするが、慣れていない人が前にいると逆に遅くなる。 有人は店員さんのスキルによってバラバラだ。

今日から2週間、毎日両方を交互に試して時間を記録することにした。

感覚ではなく、データで判断したい。

でもどれだけデータが集まれば「差がある」と言えるのか。


  • エレベーター
  • 社食のレジ
  • スーパーのレジ

3つに共通しているのは「差があるように見えるけど、本当に差があるのか分からない」という状況だ。

この差が偶然ではないことを証明するための道具が、「z検定」だ。

2. z検定とは何か

2つのグループの比率や平均を比較して、その差が偶然起きたものではないかどうかを判断する検定手法だ。

ポイント

2つのグループを比較するときの判断基準として覚えておこう。

使う場面

  • 2つの施策・方法・グループを比較したいとき
  • 「AよりBの方が良い」という主張をデータで証明したいとき
  • サンプル数が30以上あるとき(少ない場合はt検定を使う)

判断の基準

  • p値 < 0.05 → 「この差は偶然ではない(有意差あり)」
  • p値 ≥ 0.05 → 「この差は偶然の範囲内かもしれない」

営業データでは

「セミナー参加者と未参加者の受注率の差」 「新しいトークスクリプトと旧スクリプトの商談化率の差」

などを検証するときに使う。

3. 図で見る

社食の例でz検定を実際に計算してみる。

Aラインを10日間、Bラインを10日間計測した結果がこうなった。

  • Aラインの平均は8.0分
  • Bラインの平均は5.6分

→その差は2.4分。

z検定を計算すると:

  • z値: 3.2
  • p値: 0.001

p値が0.05を大きく下回っているため、この差は偶然ではない

田中さんの「Bラインの方が早い」は正しかった。


いちこ

いちこ

シュンさん、Bラインが早いのは分かったんですけど、1回2回試しただけでも同じ結論になりますか?
シュン

シュン

いい質問だね。実はそこが大事で、サンプルが少ないと偶然の可能性が残るんだよね。だから今回は10回ずつ計測したんだ。
いちこ

いちこ

なるほど!だから「何回試すか」が重要なんですね。

ここまでを一度整理すると、z検定のやりかたはこの2つに集約される。

① 差があるように見えても、サンプルが少ないと偶然の可能性がある

エレベーターの例では左右それぞれ5回しか試していない。

9秒の差が出ても、サンプルが少なすぎて「偶然ではない」とは言えない。

z検定では最低でも各グループ30件以上のデータが必要だ。

② z検定は「この差は偶然ではない」と言えるための道具

「Bラインの方が早い気がする」という感覚を「p値0.001、偶然ではないと統計的に証明できる」という言葉に変える道具だ。

営業の現場では「新しいスクリプトの方が良い気がする」を「z検定でp<0.05、有意差あり」に変えることで、マネジャーとしての意思決定に根拠が生まれる。

注意

・サンプル数が各グループ30件未満の場合はz検定ではなくt検定を使おう。

4. 計算式

z値の計算(2つの比率の差を検定する場合)

  • p^1\hat{p}_1, p^2\hat{p}_2: 2つのグループの比率
  • p^\hat{p}: 合計の比率(プールされた比率)
  • n1n_1, n2n_2: それぞれのサンプル数

p値の判断基準

p値判断
< 0.01強い有意差あり
0.01〜0.05有意差あり
≥ 0.05有意差なし(偶然の可能性)

生成AIにデータを渡せば10秒で計算できる。手計算は必要ないです。

まとめ

・サンプル数が30件未満の場合はt検定を使う ・p値が0.05未満なら「差は偶然ではない」と判断できる ・z検定は「感覚」を「統計的な根拠」に変える道具

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しゅん

この記事を書いた人

しゅん

BtoB営業歴10年以上。現在は事業部長として営業マネジメントに従事。統計とAIを営業に活かす実践知を発信しています。

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