二項分布
更新日:
この記事で扱う統計知識
二項分布とは ― 営業マネジャーのための「成功回数の分布」入門
1. この記事で学べること
まとめ
・二項分布で「何回中何回成功するか」が事前に計算できる ・「必ず1回は当たるはず」という思い込みを数値で正せる ・期待値から外れた結果が偶然かどうかを判断できる
2. エピローグ
ガチャガチャで欲しいキャラがいる。 当たる確率は10%。
「10回引けば1回は当たるはず。」
そう思って10連ガチャを引いた。
外れ。
外れ。外れ。
外れ。外れ。外れ。
外れ。外れ。外れ。外れ。。。
…全部外れた。
「確率10%なのに、10回引いたら必ず1回は当たるんじゃないのか。」
でもよく考えると、確率10%というのは「10回に1回当たる」という意味ではなく、「1回引いたときに当たる可能性が10%」という意味だ。
では10回引いて1回も当たらない確率はどのくらいなのか。 計算してみると、約35%。
3回に1回は、10連ガチャで全部外れる。
「運が悪かった」のではなく、「確率的にあり得る結果だった」のだ。
いちこ
シュン
営業チームでメルマガを始めた。
リストは100人。開封率の目標は30%。 「30人くらいは開いてくれるはず。」
初回の配信を送った。 結果は22人だった。
あれ、想定より少ない。
「今日は配信のタイミングが悪かったのかな。」 「件名が良くなかったのかも。」 「それとも、リストの質が問題なのか。」
でも待てよ、と思った。 これは改善が必要な「問題」なのか?
それとも確率的に起きた「ふつうのばらつき」なのか。
開封率30%で100人に送った場合、22人以下になる確率を計算すると約5%。 100回配信したら5回くらいは、何も変えていなくても22人以下になる。
これは偶然の範囲ギリギリだ。
「改善すべき問題」と判断するには、もう少しデータを積み上げる必要がありそうだ。
シュン
いちこ
シュン
いちこ
ガチャと開封率。
2つに共通しているのは「成功か失敗かの2択を何回も繰り返したとき、結果がどう分布するか」ということだ。
この分布を表したのが、二項分布だ。
3. 二項分布とは何か
二項分布とは、成功確率pの試行をn回繰り返したとき、成功回数kがどう分布するかを表した確率分布だ。
使える条件
- 各試行の結果が「成功」か「失敗」の2択
- 各試行が独立している(前の結果が次に影響しない)
- 成功確率pが毎回一定
身近な例
| 場面 | n(試行回数) | p(成功確率) | 知りたいこと |
|---|---|---|---|
| ガチャ | 10回 | 10% | 何回当たるか |
| メルマガ | 100人 | 30% | 何人開封するか |
| 商談 | 10件 | 20% | 何件受注するか |
| アポ電 | 50件 | 15% | 何件アポが取れるか |
ポイント
二項分布の期待値(平均的な成功回数)はn×pで計算できる。
4. 図で見る
ガチャを10回引いたときの当たり回数の分布を見てみる。(当たり確率10%)
- 0回(全部外れ)が約35%で最も多い。
- 1回当たりが約39%。
- 2回当たりは約19%。
「10回引いたら1回は当たるはず」という感覚とは全然違う分布だ。 0回か1回で全体の74%を占めている。
次にメルマガ100人・開封率30%の分布を見てみる。
- 26〜35人の範囲に全体の67%が集まる。
- 20人以下は約3%
- 40人以上も約4%と稀だ。
22人という結果が「ギリギリ偶然の範囲」だということが、グラフで見ると実感できる。
ここで2つのことを覚えておいてほしい。
① 「何回中何回成功するか」は事前に計算できる
受注率20%のメンバーが10件商談するとき、0件・1件・2件・3件になる確率はそれぞれ計算できる。 これを知っていると「今月2件しか取れなかった」が問題なのか普通なのかを判断できる。
② 期待値から大きく外れたら、原因を調べるサイン
メルマガで22人という結果は「確率5%の出来事」だった。 100回に5回は偶然起きうるが、続けて低い結果が出るなら何か原因がある可能性が高い。 二項分布で「どのくらい外れているか」を確認してから判断することが大切だ。
ポイント
営業の場合、同じ担当者が続けて商談するとスキルや環境が影響し合うことがある。 目安として使いながら、定性的な情報も合わせて判断することが重要だ。
5. 計算式
シュン
いちこ
二項分布の確率質量関数
- : 試行回数
- : 成功回数
- : 成功確率
- : n個からk個を選ぶ組み合わせの数
ガチャ10回・確率10%で0回当たる確率
期待値と分散
6. まとめ
まとめ
・二項分布は「成功か失敗の2択をn回繰り返したときの成功回数の分布」 ・期待値はn×p。ただし1回ごとの結果を保証するものではない ・期待値から大きく外れた結果が出たとき、偶然かどうかの判断に使える
いちこ
理解度をチェックしよう
「二項分布」の3問クイズに挑戦