重回帰分析
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この記事で扱う統計知識
重回帰分析とは ― 複数のデータで予測する
1. この記事で学べること
まとめ
・重回帰分析で複数の要因から結果を予測できるようになる ・各要因の「貢献度」が数値で分かる ・単回帰分析との違いと使い分けが分かる
2. エピローグ
引越し先を探していた。
条件は3つ。 ①駅から近いこと。 ②広いこと。 ③築年数が新しいこと。
例えば、
- 「駅から10分・30㎡・築10年」の物件が月8万円。
- 「駅から5分・25㎡・築20年」の物件が月7.5万円。
どちらが相場より得なのか。
駅距離・広さ・築年数、3つの要因が絡み合うと、適正家賃がいくらなのか感覚だけでは判断できない。
近隣の物件50件のデータを集めた。
「駅距離」「広さ」「築年数」と「家賃」の関係を重回帰分析で計算した。
出てきた式:
この式に数字を当てはめると、適正家賃が計算できた。 「駅から10分・30㎡・築10年」の適正家賃は約7.6万円。 実際の値段は8万円。相場より高かった。
感覚ではなく、データで判断できた。
いちこ
シュン
3ヶ月間、ダイエットに取り組んだ。
毎日記録をつけた。 運動時間、その日の摂取カロリー、睡眠時間。
3ヶ月で5kg減った。
でも、何が一番効いたのか分からない。
運動を頑張った月もあれば、食事を徹底した月もあった。 睡眠をしっかり取った週もあれば、寝不足が続いた週もあった。
3ヶ月分のデータを重回帰分析にかけてみた。
出てきた係数:
- 運動時間(1時間増): 体重 -0.15kg
- 摂取カロリー(100kcal増): 体重 +0.08kg
- 睡眠時間(1時間増): 体重 -0.05kg
運動が一番効いていた。次にカロリー管理。睡眠は意外と小さかった。
感覚では「食事制限が一番つらかったから、一番効果があるはず」と思っていた。 でもデータは「運動の方が効果が大きい」と示していた。
いちこ
シュン
いちこ
単回帰分析でアイスの売上を予測していた。
「気温が1度上がると、アイスが5本多く売れる。」
でも実際に予測してみると、外れることがある。 同じ気温でも、週末と平日で売上が違う。 湿度が高い日は、同じ気温でも売上が低かった。
気温だけでは説明できない要因がある。
気温・湿度・曜日(平日=0・休日=1)の3つを使って重回帰分析をかけた。
出てきた係数:
- 気温(1度増): +5.2本
- 湿度(1%増): -0.3本
- 休日(平日→休日): +22本
休日かどうかが、気温と同じくらい重要だった。
単回帰では見えなかった「休日効果」が、重回帰で初めて見えてきた。
シュン
いちこ
シュン
家賃、ダイエット、アイスの売上。
3つに共通しているのは「複数の要因が絡み合って結果が決まる」ということだ。
この「複数の原因から結果を予測する式を求める」手法が、重回帰分析だ。
3. 重回帰分析とは何か
重回帰分析とは、複数の説明変数(原因)から目的変数(結果)を予測する式を求める手法だ。
- : 目的変数(予測したい値)
- : 説明変数(予測に使う複数の要因)
- : 偏回帰係数(各要因の貢献度)
- : 切片
単回帰と重回帰の違い
| 単回帰分析 | 重回帰分析 | |
|---|---|---|
| 説明変数の数 | 1つ | 複数 |
| 使う場面 | 要因が1つのとき | 要因が複数のとき |
| 予測精度 | 低めのことが多い | 高めのことが多い |
| 解釈のしやすさ | 簡単 | やや複雑 |
まとめ
偏回帰係数は「他の要因を一定に保ったときの、その要因の影響」を示す。 ダイエットの例なら「摂取カロリーと睡眠時間が同じとき、運動時間が1時間増えると体重が0.15kg減る」という意味だ。単純な傾きとは少し違う。
4. 図で見る
ダイエットの3要因の貢献度を比較するとこうなる。
- 運動時間が最も大きな影響を持っている。
- 摂取カロリーはプラス方向(増えると体重が増える)。
- 睡眠時間の影響は比較的小さい。
次にアイスの売上の3要因を見てみる。
- 休日かどうかの影響が最も大きい。
- 気温は確かに重要だが、休日効果には及ばない。
いちこ
ここで2つのことを覚えておいてほしい。
① 係数の大きさで「どの要因が一番重要か」が分かる
偏回帰係数の絶対値が大きいほど、その要因の影響が強い。 営業データなら「架電数・訪問数・提案数のうち、受注に一番影響しているのはどれか」が数値で分かる。
② 説明変数は増やせばいいわけではない
要因を増やすほど予測精度(R²)は上がるが、過学習(データに過剰に適合してしまう状態)のリスクが高まる。 意味のある要因だけを選ぶことが大切だ。
注意
重回帰分析では「多重共線性」に注意が必要だ。 相関の強い変数を両方入れることは避けよう。
5. 計算式
シュン
いちこ
重回帰モデルの基本式
偏回帰係数の推定(最小二乗法)
行列計算になるため、手計算は現実的ではない。
決定係数(R²)で精度を確認
R²が1に近いほど予測精度が高い。0.7以上なら実用的な水準だ。
理解度をチェックしよう
「重回帰分析」の3問クイズに挑戦