AIを使って受注率50%UP!の読み解き方
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AI機能を使った商談は、使わなかった商談より勝率が50%高い。
Gong Labsが公開している調査の一文です。
分析対象は1,418社、100万件を超える商談。
営業組織のデータとしては、なかなかお目にかかれない規模です。
あなたなら、この50%を「AIを入れれば勝率が1.5倍になる」と読み解きますか?
データをどのように捉え、判断するかトレーニングしていきましょう。
調査の中身
Gong Labsは、Gongの何らかのAI機能を使っている1,418社の営業組織から、100万件超の商談を集めています。
対象は「継続期間が7日を超える商談」で、規模の大小は問いません。
そのうえで、営業チームがAI機能を使った商談と使わなかった商談の勝率を比べています。
出てきた数字が次の3つです。
Gong自身も「この調査はGongユーザーに限定されている」と断りを入れています。
いちこ
シュン
この数字が言っていないこと
1. 誰がAIを使うかを、営業が選んでいる
AIを使うか使わないかは、くじ引きで決まったわけではありません。
営業が、自分の判断で使っています。
そうすると「AIを使った商談」は、そもそも力を入れている商談に偏りやすくなります。
勝率の差が、AIの効果なのか、注力度の差なのかを切り分けられません。
この切り分けができる調査とできない調査の違いは、実験研究・観察研究で扱っています。
比較が成立する条件については、フィッシャーの3原則が出発点になります。
注意
使った/使わないは自己選択 差は効果とは限らない 注力度と混ざっている
2. 50%の分母が書かれていない
「勝率が50%高い」とだけ書かれていて、元の勝率が何%なのかは示されていません。
元が20%なら30%への変化ですが、元が4%なら6%です。
同じ「50%高い」でも、現場で動く金額はまったく違います。
相対で語られた数字を見たら、まず絶対値を探す。
倍率と実数の関係は、指数・指標で整理しています。
3. 母集団は「Gongを使っている会社」
1,418社はすべて、すでにGongを導入している組織です。
AI機能に投資できる体力があり、営業プロセスを記録する文化がある会社に偏ります。
この結果をどこまで自社に当てはめられるかは、母集団と標本の考え方で整理できます。
誰を対象に集めたかで結論が変わる例は、標本調査法にまとめています。
さらに「継続期間が7日を超える商談」という条件も効いてきます。
初回接触で即失注した商談は、この分析から外れています。
いちこ
シュン
では、現場でどう使うか
結論として、この調査を「AI導入の根拠」として使うのは無理があります。
一方で「仮説の出どころ」としては十分に使えます。
自社で確かめるなら、順番はこうなります。
- 直近の商談を、AI機能の利用有無で2群に分ける
- 商談規模・業種・担当者の経験年数など、勝率に効きそうな条件を揃えて比べる
- 差が出たら、それが偶然の範囲に収まるかを見る
3つ目の見方は仮説検定、差の幅の読み方は信頼区間が対応します。
同じ発想で失注理由を切り分けた例は、失注分析にあります。
自社データで同じ検証をするプロンプト
あなたは営業データの分析を手伝うアナリストです。 添付したCSVは当社の商談データです。列は次のとおりです。 商談ID / 作成日 / クローズ日 / 受注フラグ / 商談金額 / 業種 / 担当者 / AI機能の利用有無 次の順で分析し、それぞれ結論と根拠の数字を示してください。 1. AI機能の利用有無で商談を2群に分け、それぞれの件数と勝率を出す 2. 2群の商談金額・業種・担当者の経験年数の分布を比べ、偏りがあれば指摘する 3. 偏りが大きい項目については、その項目を揃えたうえで勝率を再計算する 4. 最終的な勝率差について、偶然の範囲に収まるかを検定し、差の区間も示す 5. この分析では因果関係を主張できない理由を、3行で説明する 数字は必ず件数とあわせて示してください。 いずれかの群が30件を下回る場合は、その旨を明記してください。
まとめ
n=100万でも自己選択は残る 相対の%は絶対値を確認 調査は根拠でなく仮説の種
出典: The ROI of AI in Sales — Gong Labs
https://www.gong.io/blog/we-measured-the-roi-of-ai-in-sales-heres-how-it-really-impacts-your-deals
この記事は営業データ研究の1本です。