「いつ終わりますか」に開発が答えられない理由を、顧客に説明できるようになる。そのための論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 開発と期日の交渉をする
- SaaSや受託の案件を扱う
- 開発の言い分を理解したい
−おすすめしない人
- 開発に関わらない商材を扱う
- 最新の開発手法を知りたい
著者について
Jonathan Rasmusson
アジャイル開発のコーチ
- 経歴
- 複数の現場でアジャイル開発の導入と実践を支援してきた
- 実績
- インセプションデッキなど、着手前に合意を取る道具を広めた
目的
顧客に「いつ使えるようになりますか」と聞かれる。開発に確認すると「やってみないと分からない」と返る。板挟みのまま、適当な日付を答えてしまう。
本書を読む目的は、開発がなぜそう答えるのかを理解して、顧客との約束の仕方を変えることにある。
論点1 全部決めてから作ると、間違いに気づくのが遅れる
本書が前提にするのは、要件は最初には分からないという立場だ。だから小さく作って見せ、違っていれば直す、という進め方をとる。
- 最初に全部決める … 完成してから「思っていたのと違う」が判明する
- 小さく作って見せる … 早く間違えて、早く直せる
速いというのは作業が速いことではなく、間違いに気づくのが早いという意味になる。
いちこ
仕様が固まらないまま始めて大丈夫なんですか?
シュン
固めたつもりでも、動くものを見ると必ず変わるんだ。それなら早く見せたほうが早いよね。
論点2 期日・予算・範囲は、同時に固定できない
営業にとって最も使えるのがこの考え方になる。期日、予算と人数、機能の範囲。この3つを同時に約束することはできない。
期日も予算も動かせないなら、調整できるのは範囲だけになる。「全部を期日どおりに」と約束した時点で、どこかが必ず破綻する。
顧客に期日を約束する前に、どの機能を最初に出すかを決めておく。範囲を調整できる状態にしておけば、期日は守れる。
論点3 始める前に、関係者で答えを揃える
本書が勧めるのは、着手前に関係者を集めて同じ問いに答えておくことだ。あとで揉める論点は、たいていここが揃っていない。
- なぜやるのか / やらないことは何か
- うまくいった状態とは / 最大の不安は何か
営業の立場では、この場に顧客側の期待を持ち込む役が回ってくる。商談で聞いた「本当は何を解決したいのか」を、ここで開発に渡すことになる。
見積もりを幅で扱う考え方は エンジニアリング組織論への招待 に。
いちこ
開発の人と話す前に、聞いておくことがありますね。
シュン
そう。「なぜ今なのか」を持っていけると、開発側も優先順位を決めやすいんだ。
この本の限界と、次に読む本
2011年の本で、扱う技術の記述は古い。ただ期日と範囲の考え方は今も変わらない。開発組織そのものの論理を知りたいなら、広木大地『エンジニアリング組織論への招待』のほうが射程が広い。
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開発プロセスのほかの本
- SCRUM BOOT CAMP THE BOOK 西村直人・永瀬美穂・吉羽龍太郎
- カイゼン・ジャーニー 市谷聡啓・新井剛
- LeanとDevOpsの科学 ニコール・フォースグレン・ジェズ・ハンブル・ジーン・キム