LeanとDevOpsの科学 の書影

LeanとDevOpsの科学

テクノロジーの戦略的活用が組織変革を加速する

ニコール・フォースグレン・ジェズ・ハンブル・ジーン・キム

急ぐと品質が落ちる、という前提を調査データで崩す論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 期日と品質の議論が噛み合わない
  • 開発を含む案件を扱う
  • 数字で議論したい

−おすすめしない人

  • 開発の実装手順が欲しい
  • 統計の記述が負担

著者について

ニコール・フォースグレン・ジェズ・ハンブル・ジーン・キム

DORA の研究チーム

経歴
開発組織の実態を大規模調査で継続的に分析してきた
実績
4年間・2000を超える組織への調査から、速さと安定性を両立する条件を統計的に示した

インプレス / 2018年11月

目的

顧客は早く出してほしいと言う。開発は品質が落ちると言う。どちらも正しそうで、調整できない。

どちらかを選ぶ話ではない。両立している組織が実在する。本書を読む目的は、その条件を調査データで知ることにある。

論点1 「急ぐと品質が落ちる」は支持されていない

安定性 速さ 慎重だが遅い 速くて安定している 実在する。両立できる 遅くて不安定 速いが壊れる 「急ぐと品質が落ちる」は、調査では支持されていない
速さと安定性はトレードオフではない。

2000を超える組織への調査で、速くて安定している群が存在することが示された。

速さと安定性は同時に高められる。この前提が変わると、顧客との期日の会話も変わる。

いちこ

いちこ

早く出すと、不具合が増えそうですが。
シュン

シュン

大きくまとめて出すと増えるんだ。小さく細かく出すほうが、問題も小さくて済むんだよ。

論点2 測る指標を4つに絞る

変更の頻度 どれだけ細かく出せるか 変更にかかる時間 決めてから出るまで 失敗の割合 出したうち問題になった率 復旧の速さ 問題から戻すまで 前2つが速さ、後ろ2つが安定性 営業でも「出す速さ」と「出した後の問題率」で同じ構造が作れる
開発の成果を測る4つの指標。
  • 変更の頻度 / 変更にかかる時間 … 速さ
  • 失敗の割合 / 復旧の速さ … 安定性

営業でも「出す速さ」と「出した後の問題率」で同じ構造が作れる。提案から回答までの時間と、受注後のトラブル率になる。

論点3 文化が成果に効くことが、測定されている

責任を追及する 誰のミスかを特定する 情報が隠される 同じ失敗が繰り返される 仕組みを直す なぜ起きうる状態だったかを見る 情報が集まる 再発を防げる 文化が成果に効くことが、調査で裏づけられている 精神論ではなく、測定された結果としてそうなっている
失敗の扱い方が組織の成果に影響する。

誰のミスかを特定する組織では情報が隠され、同じ失敗が繰り返される。

なぜ起きうる状態だったかを見る組織には情報が集まる。精神論ではなく、測定された結果としてそうなっている。

いちこ

いちこ

文化の話は、数字にならないと思っていました。
シュン

シュン

ここが面白いところでね。測ったら効いてたんだ。だから投資する根拠になるんだよ。

この本の限界と、次に読む本

調査手法の記述が長く、統計の説明が続く章もある。結論だけを取る読み方でも足りる。期日と範囲の交渉なら アジャイルサムライ、組織の設計なら チームトポロジー が隣に並ぶ。

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