地頭力を鍛える の書影

地頭力を鍛える

問題解決に活かす「フェルミ推定」

細谷功

調べないと何も言えない。だが調べる時間はない。数字を割って概算する頭の使い方を扱う論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • その場で数字を聞かれる立場
  • 調べないと話せないと感じる
  • 若手に考え方を教える

−おすすめしない人

  • 推定の精度を上げる技法が欲しい
  • 分析の実装手順を知りたい

著者について

細谷功

思考法を主題にした著述家

経歴
アーンスト&ヤング コンサルティングなどで戦略・業務コンサルティングに従事したのち独立
実績
フェルミ推定を題材に、考える力そのものを扱った

東洋経済新報社 / 2007年12月

目的

「この市場、何億くらいですか」と聞かれた。調べればわかる。だが今この場で答えられない。

知識が足りないのではなく、知らないまま考える訓練をしていない。本書を読む目的は、調べる前に桁を出せる頭の使い方を手に入れることにある。

論点1 鍛えているのは3つの向き

フェルミ推定が鍛えるのは、この3つの向き 結論から考える 「だいたいいくつか」を先に置く 情報が足りなくても前に進める 全体から考える 要素に割ってから各項を見る 部分の議論に埋もれなくなる 単純に考える 思い込みを外して骨だけ残す 「うちは特殊だから」を一度外す
結論から・全体から・単純に、という3つの思考の向き。

本書はフェルミ推定を題材にしているが、目的は推定そのものではない。

  • 結論から考える … 「だいたいいくつか」を先に置くので、情報が足りなくても前に進める
  • 全体から考える … 要素に割ってから各項を見る
  • 単純に考える … 思い込みを外す。「うちは特殊だから」を一度外す

この3つは、そのまま営業の判断にも効く。目の前の商談を細部から語るか、全体の構造から語るかで、出てくる打ち手が変わる。

いちこ

いちこ

推定って、当てずっぽうとどう違うんですか?
シュン

シュン

割ってから当てるんだよ。どこを当てずっぽうにしたかが自分で分かってるのが違いだね。

論点2 割ってから調べる

この市場、何億? 調べないと分からない = 対象企業数 約3万社 導入率 5% 年間単価 120万 ×× 約180億。桁が分かれば、やるかどうかは決まる 外れていたとしても、どの項が違ったのかを後から確かめられる 調べた数字を待つより、割ってから調べるほうが速い
分からない数字を要素に割って概算する。

市場規模なら、対象企業数 × 導入率 × 年間単価に割る。約3万社 × 5% × 120万で、約180億という桁が出る。

外れていてもいい。どの項が違ったのかを後から確かめられるからだ。調べた数字を待つより、割ってから調べるほうが速い。

次に数字を聞かれたら、答える前に「これは何と何の掛け算か」を口に出してみる。割れた時点で半分終わっている。

論点3 詳しいのに答えが出ない人がいる

考える力 知識の量 知らないが、考えられる 初めての業界でも仮説を置ける 両方ある ここを目指す どちらもない 詳しいが、答えが出ない 調べ続けて結論が出ない人 検索で足りるのは左下から右下まで。右上へは別の訓練が要る
知識の量と考える力は別の軸。

知識と考える力は別の軸だ。本書が問題にするのは右下、詳しいが答えが出ない状態にいる人になる。

  • 知らないが考えられる … 初めての業界でも仮説を置ける
  • 詳しいが答えが出ない … 調べ続けて結論が出ない

検索で埋まるのは知識の軸だけだ。右上へ行くには別の訓練が要る。答えを先に置く進め方は 仮説思考 に詳しい。

いちこ

いちこ

調べれば調べるほど不安になります。
シュン

シュン

調べる前に答えを置いておくと、不安じゃなくて確認になるんだ。

この本の限界と、次に読む本

2007年の本で、例題は就職活動の文脈が多い。考え方の部分だけを取る読み方になる。答えを先に置く進め方なら 仮説思考、分解の型なら 問題解決プロフェッショナル「思考と技術」 が続く。

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