調べないと何も言えない。だが調べる時間はない。数字を割って概算する頭の使い方を扱う論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- その場で数字を聞かれる立場
- 調べないと話せないと感じる
- 若手に考え方を教える
−おすすめしない人
- 推定の精度を上げる技法が欲しい
- 分析の実装手順を知りたい
著者について
細谷功
思考法を主題にした著述家
- 経歴
- アーンスト&ヤング コンサルティングなどで戦略・業務コンサルティングに従事したのち独立
- 実績
- フェルミ推定を題材に、考える力そのものを扱った
目的
「この市場、何億くらいですか」と聞かれた。調べればわかる。だが今この場で答えられない。
知識が足りないのではなく、知らないまま考える訓練をしていない。本書を読む目的は、調べる前に桁を出せる頭の使い方を手に入れることにある。
論点1 鍛えているのは3つの向き
本書はフェルミ推定を題材にしているが、目的は推定そのものではない。
- 結論から考える … 「だいたいいくつか」を先に置くので、情報が足りなくても前に進める
- 全体から考える … 要素に割ってから各項を見る
- 単純に考える … 思い込みを外す。「うちは特殊だから」を一度外す
この3つは、そのまま営業の判断にも効く。目の前の商談を細部から語るか、全体の構造から語るかで、出てくる打ち手が変わる。
いちこ
推定って、当てずっぽうとどう違うんですか?
シュン
割ってから当てるんだよ。どこを当てずっぽうにしたかが自分で分かってるのが違いだね。
論点2 割ってから調べる
市場規模なら、対象企業数 × 導入率 × 年間単価に割る。約3万社 × 5% × 120万で、約180億という桁が出る。
外れていてもいい。どの項が違ったのかを後から確かめられるからだ。調べた数字を待つより、割ってから調べるほうが速い。
次に数字を聞かれたら、答える前に「これは何と何の掛け算か」を口に出してみる。割れた時点で半分終わっている。
論点3 詳しいのに答えが出ない人がいる
知識と考える力は別の軸だ。本書が問題にするのは右下、詳しいが答えが出ない状態にいる人になる。
- 知らないが考えられる … 初めての業界でも仮説を置ける
- 詳しいが答えが出ない … 調べ続けて結論が出ない
検索で埋まるのは知識の軸だけだ。右上へ行くには別の訓練が要る。答えを先に置く進め方は 仮説思考 に詳しい。
いちこ
調べれば調べるほど不安になります。
シュン
調べる前に答えを置いておくと、不安じゃなくて確認になるんだ。
この本の限界と、次に読む本
2007年の本で、例題は就職活動の文脈が多い。考え方の部分だけを取る読み方になる。答えを先に置く進め方なら 仮説思考、分解の型なら 問題解決プロフェッショナル「思考と技術」 が続く。
Amazonで見る Amazonのアソシエイトとして、SaleStats Lab は適格販売により収入を得ています。
仮説思考のほかの本
- 仮説思考 内田和成