問題解決プロフェッショナル「思考と技術」 の書影

問題解決プロフェッショナル「思考と技術」

齋藤嘉則

打ち手の案は出る。だが毎年同じ顔ぶれになる。問題を手がつけられる単位まで下げるための論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 会議で出る案が毎年同じ
  • 課題が大きすぎて動けない
  • 部下に考えさせる立場

−おすすめしない人

  • 分解の型はもう持っている
  • 統計的な原因分析を学びたい

著者について

齋藤嘉則

事業戦略コンサルタント

経歴
マッキンゼー・アンド・カンパニー → 独立し事業戦略の立案支援
実績
1997年の初版以来、問題解決の型を扱う日本語の定番として読まれ続けている

ダイヤモンド社 / 2010年4月(新版)

目的

「売上が足りない」は全員が分かっている。だが会議で出てくる案は、気合いを入れる、訪問を増やす、資料を直す。毎年同じだ。

案が貧しいのではなく、問題が大きすぎる単位のまま議論されている。本書を読む目的は、分解して打ち手が書ける高さまで下ろす手順を持つことにある。

論点1 打ち手が書ける高さまで下ろす

売上が足りない 手がつけられない 商談数が少ない受注率が低い単価が低い 初回提案で落ちる競合に負ける稟議で止まる ここまで下げると打ち手が書ける 同じ階層では重複なく、漏れなく分ける 議論が止まるのは、分解が足りていない層で話しているとき
大きな問題を分解し、手がつけられる単位まで下げる。

本書の中心はロジックツリーだ。「売上が足りない」を商談数・受注率・単価に割り、受注率をさらに初回提案・競合・稟議に割る。

  • 上の層で話す … 打ち手が精神論になる
  • 下の層まで下げる … 「稟議で止まる案件に、社内説明用の資料を付ける」と書ける

議論が空回りしているときは、たいてい分解が1段か2段足りていない。アイデアの量ではなく、高さの問題だ。

いちこ

いちこ

分解すると細かすぎて、全体が見えなくなりませんか?
シュン

シュン

逆なんだ。分解すると、どこが効くかが見える。全体を見ていたつもりで、何も見えていなかったことに気づくよ。

論点2 制約の中に、外せるものが混ざっている

前提の上で考える 今の体制は動かせないこの商材で売る訪問が基本 出てくる案が毎年同じになる 前提を外して考える 「もし今日ゼロから作るなら この体制にするか」 外した前提が1つでも動けば 打ち手の範囲が変わる 制約は本当に制約か。外せるものが混ざっていないかを一度確かめる
既存の前提の上で考える場合と、前提を外して考える場合。

本書が重く扱うのがゼロベース思考だ。前提を置いたまま考えると、出てくる案が毎年同じになる。

今の体制は動かせない、この商材で売る、訪問が基本。これらを「もし今日ゼロから作るならこうするか」と問い直すと、1つは外せる前提が混ざっている。

自分の課題について、暗黙に置いている制約を3つ書き出す。そのうち1つを外して案を考えてみる。

論点3 並べたら、2軸に置いてから削る

効果の大きさ 実行しやすさ 効くが重い 期を分けて計画に乗せる 効いて、すぐできる ここから手をつける やらない すぐできるが効かない ここで忙しくなりがち 打ち手を並べたら、必ず2軸に置いてから数を削る
打ち手を効果の大きさと実行しやすさで並べる。

分解して案が増えると、今度は全部やろうとして破綻する。本書は打ち手を効果と実行しやすさで整理することを勧める。

  • 効いて、すぐできる … ここから手をつける
  • 効くが重い … 期を分けて計画に乗せる
  • すぐできるが効かない … ここで忙しくなりがち

どの指標が本当に効くかを数字で見分けるなら そのKPI、本当に成果につながるか に手順がある。

いちこ

いちこ

できることから、ではないんですね。
シュン

シュン

できることから始めると、たいてい右下に居続けることになるんだ。

この本の限界と、次に読む本

初版は1997年で、事例の古さはある。型そのものは今も通じる。問いの立て方からなら安宅和人『イシューからはじめよ』、答えを先に置く進め方なら内田和成『仮説思考』、伝える形に組むなら ロジカル・シンキング が隣に並ぶ。

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