イシューからはじめよ の書影

イシューからはじめよ

知的生産の「シンプルな本質」

安宅和人

仕事が終わらないのは量のせいではなく、答えを出す価値のない問いに手をつけているから。本書が解いている論点を3つに絞って紹介する。

✓お勧めする人

  • 分析や資料作成に時間を取られている
  • 「で、結局何?」と言われがち
  • 部下の調べものの筋が悪い

−おすすめしない人

  • 問いが既に決まっていて実行だけが課題
  • 分析手法そのものを学びたい

著者について

安宅和人

元・リクルート 事業責任者

経歴
リクルートで住宅情報事業やスーモカウンターの事業責任者を担当
実績
スーモカウンターの事業を6年で売上30倍に伸ばした

英治出版 / 2024年9月(改訂版)

目的

資料を作り込んだ。数字も揃えた。それでも会議で「で、何が言いたいの」と返される。あるいは分析を終えた頃には、もう打ち手を決める時期が過ぎている。

原因は作業量ではない。答えを出す価値のない問いに、手をつけていたことにある。本書を読む目的は、取りかかる前に問いを選べるようになることだ。

論点1 答えの質を上げる前に、問いを選ぶ

答えの質 その問いに答える価値(重要度) 高 低 低 高 価値のある成果 重要な問いに、しっかり答えた 労力の割に報われない どうでもいい問いの、完璧な答え 先に質を上げようとすると遠回り 先に問いを選べば、最短で届く
左下から真上に進むのが遠回りになる。先に右へ動いてから上がるほうが早く届く。

成果は「その問いに答える価値」と「答えの質」の掛け算になる。ところが多くの場合、価値の検討を飛ばして、いきなり答えの質を上げにいく。

  • 価値の低い問いに完璧な答え → 誰も使わない資料ができる
  • 価値の高い問いに粗い答え → 議論が前に進む

つまり最初にやるべきは分析ではなく、問いの絞り込みである。ここを飛ばすと、努力の量が成果に変換されない。

いちこ

いちこ

時間をかけたほうが良いものになると思っていました。
シュン

シュン

問いが合っていればね。ズレたまま丁寧にやると、丁寧にズレるだけなんだ。

論点2 良い問いには、3つの条件がある

1 本質的な選択肢である そこで答えが変われば、打ち手が大きく変わ る 2 踏み込んだ仮説がある 「どうなっているか」で終わらせず、言い切 る 3 答えを出せる 手元のデータと時間で、決着がつけられる 抜けやすいのは3つ目。「答えが出せない問い」に時間を使っていないか
本質的か、踏み込んだ仮説があるか、そして答えを出せるか。

本書は良い問いの条件を挙げている。実務で効くのは、特に3つ目だ。

  • 本質的 … そこで答えが変われば、打ち手が大きく変わる
  • 踏み込んだ仮説がある … 自分なりの見立てを持っている
  • 答えを出せる … 手元のデータと時間で決着がつく

「市場はどう変化するか」は壮大だが、期日までに答えが出ない。answerできない問いは、どれだけ重要そうでも、いまの仕事では選べない。

論点3 問いは、言い切った形にする

言い切っていない 「受注率はどうなっているか」 → 調べても、何が分かれば終わりか不明 言い切った 「受注率の低下は、  商談の質ではなく量が原因」 → 否定も肯定もできる。検証が始められる 言い切ると間違える。間違えられる形にして、はじめて検証できる
疑問形のままでは終わりが決まらない。言い切ると、検証の対象になる。

「受注率はどうなっているか」は、調べても終わりが来ない。何が分かれば完了なのかが決まっていないからだ。

これを「受注率の低下は、商談の質ではなく量が原因である」と言い切ると、否定も肯定もできる形になる。間違えられる形にして、はじめて検証が始まる。

いま抱えている調べごとを1つ選び、疑問形から言い切りの形に書き直してみる。書けないなら、まだ仮説がない状態だと分かる。

言い切ったあとの検証は、数字の扱いの話になる。差が本物かを判定する手順は その施策、本当に効いたか、原因と結果を取り違えない見方は そのKPI、本当に成果につながるか にまとめている。

いちこ

いちこ

言い切るのは勇気が要りますね。
シュン

シュン

外したら直せばいい。曖昧なままだと、合ってるか間違ってるかすら分からないままだよ。

この本の限界と、次に読む本

後者なら統計やデータ分析の本に進むほうが早い。本書は手法ではなく、手をつける前の順序を扱っている。

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