問いのデザイン の書影

問いのデザイン

創造的対話のファシリテーション

安斎勇樹・塩瀬隆之

会議で意見が出ない。参加者のせいにする前に、問いの置き方を見直すための論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 会議で意見が出ない
  • ワークショップや研修を設計する
  • 課題そのものを疑いたい

−おすすめしない人

  • 一対一の面談技術を学びたい
  • すぐ使える会議の進行術が欲しい

著者について

安斎勇樹・塩瀬隆之

MIMIGURI 代表 / 京都大学総合博物館 准教授

経歴
安斎勇樹は東京大学の研究者、塩瀬隆之は京都大学総合博物館 准教授
実績
ワークショップデザインとファシリテーションを、研究と実践の両面から扱ってきた

学芸出版社 / 2020年6月

目的

会議を開いた。意見を求めた。沈黙が続き、結局こちらが話して終わった。

参加者が消極的なのではなく、問いの置き方が悪いことが多い。本書を読む目的は、人が話せる問いを設計することにある。

論点1 課題は与えられるものではなく、設定するもの

若手の離職が続いている どうすれば辞めないか 引き止めの施策が並ぶ なぜここで働くと決めたのか 入社理由から見直せる 辞めても困らない組織とは 仕組みの話に変わる 同じ事実から、まったく違う問いが立てられる 課題は与えられるものではなく、こちらが設定するもの
同じ事実から、まったく違う問いが立てられる。

「若手の離職が続いている」という同じ事実から、立てられる問いは1つではない。

  • どうすれば辞めないか … 引き止めの施策が並ぶ
  • なぜここで働くと決めたのか … 入社理由から見直せる
  • 辞めても困らない組織とは … 仕組みの話に変わる

どの問いを置くかで、出てくる案の種類が決まる。依頼された問いをそのまま解く前に、置き直せないかを見る。論点思考 と同じ構えだ。

いちこ

いちこ

問いを変えてしまっていいんですか?
シュン

シュン

いいんだ。むしろ最初の問いのままだと、毎回同じ案しか出てこないからね。

論点2 盛り上がらないのは、粒度のせい

狭い 広い 「このメール文、 どう直す?」 作業の分担になる 「この案件が止まる 理由は何だろう?」 全員が自分の経験から 話せる 「我々は何のために 働くのか?」 誰も具体的に話せない 会議が盛り上がらないのは、参加者ではなく問いの粒度のせい 全員が自分の経験から話せる高さに置く
問いが狭すぎる場合・広すぎる場合・ちょうどよい場合。

本書が実務的に効くのは、問いの粒度の話だ。

  • 狭すぎる … 「このメール文、どう直す?」は作業の分担になる
  • 広すぎる … 「我々は何のために働くのか?」は誰も具体的に話せない
  • ちょうどよい … 「この案件が止まる理由は何だろう?」

全員が自分の経験から話せる高さに置く。それだけで沈黙は減る。

論点3 極端な問いは、前提を見えるようにする道具

前提を共有したまま話す 「訪問を増やすには?」 毎年と同じ案が出て、毎年と同じ結果になる 前提を一度揺さぶる 「訪問をゼロにするなら?」 訪問の何が効いていたのかが言語化される 極端な問いは実行案ではなく、前提を見えるようにする道具
前提を共有したまま話す場合と、前提を揺さぶる問いを挟む場合。

「訪問を増やすには?」と聞くと、毎年と同じ案が出る。「訪問をゼロにするなら?」と聞くと、訪問の何が効いていたのかが言語化される。

これは実行案を出すための問いではない。前提を一度見えるようにするための道具だ。

次の会議で、本題の前に極端な問いを1つだけ挟んでみる。答えは使わなくていい。前提が出てくればそれでいい。
いちこ

いちこ

答えないような質問を、わざとするんですね。
シュン

シュン

そう。答えより、答えようとしたときに出てくる前提のほうが欲しいんだ。

この本の限界と、次に読む本

ファシリテーションの専門書で分量があり、営業の実務書ではない。問いの設計の部分だけを取る読み方になる。解くべき問いを選ぶなら 論点思考、日々の対話の側からなら ヤフーの1on1 が隣に並ぶ。

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