1on1を入れたのに、案件の進捗確認で終わっている。何のための時間なのかを定義し直すための論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 1on1が進捗確認になっている
- これから導入する
- 部下が本音を話さない
−おすすめしない人
- コーチングの技法を体系的に学びたい
- 少人数で日常的に会話が足りている
著者について
本間浩輔
元・ヤフー 執行役員
- 経歴
- ヤフーで人材開発を担当し、全社で1on1を定着させた
- 実績
- 週1回30分の1on1を組織に根づかせた過程を記録した
目的
週1回の1on1を入れた。だが始まると「あの案件どうなった」「来週までに資料を」という話になり、15分で終わる。メンバーからは「これ、会議でよくないですか」と言われる。
その指摘は正しい。進捗確認なら会議で足りる。本書を読む目的は、1on1でしかできないことを定義し直すことにある。
論点1 1on1は、上司のための時間ではない
本書の立場は明快で、1on1は部下のための時間だとする。上司が状況を把握するための場ではない。
- 上司が主に話す … 指示と確認。会議で代替できる
- 部下が主に話す … 本人の気づきが出てくる。ここでしかできない
見分け方は簡単で、終わったあとに話した割合を思い出せばいい。自分のほうが多かったなら、それは1on1ではなく面談になっている。
いちこ
完全に私が話していました…。
シュン
最初はみんなそうなるよ。沈黙が怖いからね。でもその沈黙が、相手が考えている時間なんだ。
論点2 経験は、振り返らないと学びにならない
本書の背景にあるのが経験学習の考え方だ。人は経験から学ぶが、経験しただけでは学びにならない。振り返って言葉にする工程が要る。
そして、その振り返りは一人ではやりにくい。問いを投げる相手がいて初めて進む。だから1on1の時間を使う。
「何があったか」ではなく「そのとき何を考えたか」「次は何を変えるか」を聞く。前者は報告になり、後者は学びになる。
論点3 1回の質より、間隔を詰めること
時間が取れないという理由で、月1回にまとめたくなる。だが本書が重視するのは頻度のほうだ。
- 月1回60分 … 細かい出来事は忘れている。結局まとめ報告になる
- 週1回15分 … 記憶が新しいうちに振り返れる。軌道修正も間に合う
続かない長さに設定するくらいなら、短くして頻度を上げるほうがいい。
扱う数字の見せ方は別途コツが要る。平均との比較で詰めずに、本人の推移で話す方法を 1on1で使うメンバーの数字 に、評価全体の順序を メンバーをどう評価するか にまとめている。
いちこ
15分なら続けられそうです。
シュン
それでいい。続かない仕組みは、どれだけ正しくても効かないからね。
この本の限界と、次に読む本
大企業での全社導入の記録という性格が強いので、数名のチームには大がかりに感じる部分はある。対話そのものの難しさに踏み込みたいなら、宇田川元一『他者と働く』のほうが深い。
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自社の数字で確かめる
この本の考え方を、統計で検証する側の記事です。