ヤフーの1on1 の書影

ヤフーの1on1

部下を成長させるコミュニケーションの技法

本間浩輔

1on1を入れたのに、案件の進捗確認で終わっている。何のための時間なのかを定義し直すための論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 1on1が進捗確認になっている
  • これから導入する
  • 部下が本音を話さない

−おすすめしない人

  • コーチングの技法を体系的に学びたい
  • 少人数で日常的に会話が足りている

著者について

本間浩輔

元・ヤフー 執行役員

経歴
ヤフーで人材開発を担当し、全社で1on1を定着させた
実績
週1回30分の1on1を組織に根づかせた過程を記録した

ダイヤモンド社 / 2025年2月(増補改訂版)

目的

週1回の1on1を入れた。だが始まると「あの案件どうなった」「来週までに資料を」という話になり、15分で終わる。メンバーからは「これ、会議でよくないですか」と言われる。

その指摘は正しい。進捗確認なら会議で足りる。本書を読む目的は、1on1でしかできないことを定義し直すことにある。

論点1 1on1は、上司のための時間ではない

進捗報告になっている1on1 主に話すのは … 上司 話題は … 案件の状況と指示 会議でも代替できる 部下の時間になっている1on1 主に話すのは … 部下 話題は … 本人が何に気づいたか ここでしかできない 案件の話をするなら、それは1on1でなくてもいい
誰が主に話しているかで、その時間の性質が決まる。

本書の立場は明快で、1on1は部下のための時間だとする。上司が状況を把握するための場ではない。

  • 上司が主に話す … 指示と確認。会議で代替できる
  • 部下が主に話す … 本人の気づきが出てくる。ここでしかできない

見分け方は簡単で、終わったあとに話した割合を思い出せばいい。自分のほうが多かったなら、それは1on1ではなく面談になっている。

いちこ

いちこ

完全に私が話していました…。
シュン

シュン

最初はみんなそうなるよ。沈黙が怖いからね。でもその沈黙が、相手が考えている時間なんだ。

論点2 経験は、振り返らないと学びにならない

経験する 振り返る 言葉にする 次に試す 1on1が効くのはここ 経験しただけでは学びにならない。振り返って言葉にする相手が要る
経験し、振り返り、言葉にして、次に試す。1on1が効くのは振り返りの部分。

本書の背景にあるのが経験学習の考え方だ。人は経験から学ぶが、経験しただけでは学びにならない。振り返って言葉にする工程が要る。

そして、その振り返りは一人ではやりにくい。問いを投げる相手がいて初めて進む。だから1on1の時間を使う。

「何があったか」ではなく「そのとき何を考えたか」「次は何を変えるか」を聞く。前者は報告になり、後者は学びになる。

論点3 1回の質より、間隔を詰めること

月1回 × 60分 週1回 × 15分 1か月ぶんをまとめて話す 細かい出来事は忘れている 結局、案件の進捗報告になる 記憶が新しいうちに振り返れる 小さな軌道修正が間に合う 同じ合計時間でも、間隔のほうが効く 続けられる長さにして、頻度を上げる
同じ合計時間なら、月1回60分より週1回15分のほうが効く。

時間が取れないという理由で、月1回にまとめたくなる。だが本書が重視するのは頻度のほうだ。

  • 月1回60分 … 細かい出来事は忘れている。結局まとめ報告になる
  • 週1回15分 … 記憶が新しいうちに振り返れる。軌道修正も間に合う

続かない長さに設定するくらいなら、短くして頻度を上げるほうがいい。

扱う数字の見せ方は別途コツが要る。平均との比較で詰めずに、本人の推移で話す方法を 1on1で使うメンバーの数字 に、評価全体の順序を メンバーをどう評価するか にまとめている。

いちこ

いちこ

15分なら続けられそうです。
シュン

シュン

それでいい。続かない仕組みは、どれだけ正しくても効かないからね。

この本の限界と、次に読む本

大企業での全社導入の記録という性格が強いので、数名のチームには大がかりに感じる部分はある。対話そのものの難しさに踏み込みたいなら、宇田川元一『他者と働く』のほうが深い。

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この本の考え方を、統計で検証する側の記事です。

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