正しいことを言っているのに動いてもらえない。相手にも相手の筋があると考えるところから始める論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 他部署との調整が多い
- 正論が通らない場面がある
- 現場が形だけ従って変わらない
−おすすめしない人
- すぐ使える話法を探している
- 一人で完結する仕事が中心
著者について
宇田川元一
埼玉大学経済経営系大学院 准教授
- 経歴
- 経営戦略と組織論を専門に研究してきた
- 実績
- 対話を通じて組織の溝を越える「ナラティヴ・アプローチ」を実務に持ち込んだ
目的
データも揃えた。筋も通っている。それでも他部署は動かないし、現場は乗ってこない。何度説明しても「わかりました」で終わる。
ここで「理解力が足りない」と考えると行き詰まる。本書を読む目的は、正しさを足しても動かない問題の扱い方を知ることにある。
論点1 相手には相手の筋が通っている
本書の出発点は、立場が違えば見えているものが違うという一点にある。動かない相手は、怠けているのでも分かっていないのでもなく、守るべきものが違う。
- こちらの筋 … 全社方針として必要だ
- 相手の筋 … 現場が回らなくなる。前にも同じ号令で失敗した
両方正しいので、説明を重ねても解けない。解けないまま押すと、表面的に従って実質は変わらないという状態になる。
いちこ
説明が足りないんだと思っていました。
シュン
足りないんじゃなくて、相手の事情が見えていないことが多いんだ。
論点2 手順で解ける問題と、そうでない問題を分ける
本書は問題を2つに分ける。やり方が分かれば解決するものと、関係の中でしか解けないものだ。
- 手順で解ける … 提案書の作り方。研修やマニュアルが効く
- 関係の問題 … 営業と開発の対立。正論を足しても解けない
見誤ると打ち手が空振りし続ける。研修を増やしても対立が消えないのは、問題の種類を取り違えているからだ。
論点3 いきなり提案せず、相手の筋を組み立てる
本書が示す順序は、準備・観察・解釈・介入の4段階になっている。実務で飛ばされがちなのが解釈の部分だ。
相手が何を守ろうとしているのかを自分なりに組み立てたうえで、その筋の上に提案を置き直す。順序を飛ばして介入から入ると、正論の押しつけになる。
次に動いてもらいたい相手について「この人が守ろうとしているものは何か」を一文で書いてみる。書けないなら、まだ観察が足りない。
1on1で相手の話を引き出す具体は ヤフーの1on1、言いにくいことが言える土壌の作り方は 恐れのない組織 に。
いちこ
「相手が守りたいもの」から考えるんですね。
シュン
そこが見えると、提案の置き方が変わる。同じ中身でも通り方が違うよ。
この本の限界と、次に読む本
短く読めるが、扱っているのは技術ではなく姿勢の話になる。手早い解決策を期待すると物足りない。
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