恐れのない組織 の書影

恐れのない組織

「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす

エイミー・C・エドモンドソン

会議で誰も反論しない。問題は直前まで上がってこない。それを人柄や性格のせいにしないための論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 会議で意見が出ない
  • 問題の発覚が遅い
  • 数字は出ているが離職が多い

−おすすめしない人

  • 具体的な面談の技法を探している
  • 既に率直な議論ができている

著者について

エイミー・C・エドモンドソン

ハーバード・ビジネス・スクール 教授

経歴
組織行動学を専門とし、心理的安全性という概念を提唱した
実績
医療現場の調査から、成果の高いチームほどミスの報告が多いことを発見した

英治出版 / 2021年2月

目的

会議で「何かありますか」と聞いても誰も発言しない。案件の問題は、手遅れになる直前になって初めて耳に入る。

これを個人の積極性の問題として扱うと、何も変わらない。言わないほうが合理的な環境になっているからだ。本書を読む目的は、その環境を作っている側の振る舞いを見直すことにある。

論点1 報告が多いチームは、問題が多いとは限らない

ミスの「報告件数」が多いチームは、ミスが多いのか Aチーム 報告件数 … 多い 実際のミス … 少ない 言える風土がある Bチーム 報告件数 … 少ない 実際のミス … 多い 言えないので埋もれている 見えている数字は「起きた数」ではなく「報告された数」
見えている数字は「起きた数」ではなく「報告された数」。

著者の研究は、優秀なチームほどミスの報告件数が多いという予想外の結果から始まっている。実際のミスが多いのではなく、報告できる状態にあるという違いだった。

  • 報告が多い … 言える風土がある。問題は早く表に出る
  • 報告が少ない … 起きていないのか、言えていないのかが分からない

営業の現場でも同じことが起きる。失注理由やトラブルの報告件数が少ないチームは、健全なのか、それとも上げにくいのか。数字だけでは判断できない。

同じ構造は入力データにも現れる。ダッシュボードに映るのは入力された分だけ、という話を 活動量が少ないメンバー、指導の前に確認すること に書いている。

いちこ

いちこ

報告が少ないのは良いことだと思っていました。
シュン

シュン

そこが罠なんだ。静かなチームは、順調なのか沈黙しているのか、区別がつかないからね。

論点2 心理的安全性は「ぬるさ」ではない

心理的安全性 求める基準の高さ 居心地がよいだけ 仲はいいが、成果は伸びない 学習する状態 厳しいことを、言い合える 無関心 期待も要求もされない 不安 要求は高いが、何も言えない 心理的安全性は「ぬるさ」ではない。基準を下げずに、言える状態にすること
安全性と求める基準は別の軸。両方が高いところに学習する状態がある。

最も誤解されるのがここだ。心理的安全性を高めると要求が下がる、という話ではない。本書は安全性と基準を別の軸として置く。

  • 安全性だけ高い … 仲はいいが、成果は伸びない
  • 基準だけ高い … 要求は厳しいが、何も言えない
  • 両方高い … 厳しいことを言い合える。ここが目指す場所
「意見を言いやすい雰囲気にしよう」だけを進めると、基準が下がって居心地がよいだけのチームになる。求める水準は下げないまま、言える状態をつくるのが要点になる。

論点3 決めているのは制度ではなく、上司の反応

発言を止める 発言を促す 「なんで報告しなかったんだ」 「早く言ってくれて助かった」 結論を先に言い切る 「自分には見えていないかも」と置く 悪い報告に表情が変わる 悪い報告ほど静かに受ける 制度ではなく、上司の一回ごとの反応が決めている
同じ場面で、発言を止める反応と促す反応がある。

風土は制度で作られるのではなく、一回ごとの反応の積み重ねでできる。悪い報告が来たときに表情が変わる上司のもとでは、次から報告は来ない。

逆に「早く言ってくれて助かった」と最初に言えるかどうかで、同じ組織でもチームごとに差がつく。

いちこ

いちこ

制度を変えなくてもできることがありますね。
シュン

シュン

むしろ制度より効くよ。悪い知らせに、まず礼を言うところからだね。

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