心理的安全性のつくりかた の書影

心理的安全性のつくりかた

「心理的柔軟性」が困難を乗り越えるチームに変える

石井遼介

心理的安全性という言葉は知っている。何をすればいいかを具体に落とす論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 心理的安全性を具体に落としたい
  • 悪い報告が上がってこない
  • 日本のチームで使いたい

−おすすめしない人

  • 理論の背景から学びたい
  • 評価制度を設計したい

著者について

石井遼介

ZENTech 取締役

経歴
日本の組織を対象に心理的安全性の測定と改善を研究してきた
実績
日本のチームに合わせて4つの因子として整理した

日本能率協会マネジメントセンター / 2020年9月

目的

心理的安全性が大事だと聞いた。雰囲気を良くしようとした。だが会議の沈黙は変わらない。

仲の良さの問題ではなく、何が言える状態なのかを定義していない。本書を読む目的は、測れる形に分解することにある。

論点1 「仲が良い」ではなく、4つが言えるか

話しやすさ わからないと言える 助け合い 手伝ってと言える 挑戦 やってみたいと言える 新奇歓迎 違う意見が歓迎される 「仲が良い」ではなく、この4つが言えるかで測る 自分のチームでどれが欠けているかを1つ選ぶところから始める
心理的安全性を構成する4つの因子。
  • 話しやすさ … わからないと言える
  • 助け合い … 手伝ってと言える
  • 挑戦 … やってみたいと言える
  • 新奇歓迎 … 違う意見が歓迎される

自分のチームでどれが欠けているかを1つ選ぶところから始める。全部を一度に上げようとすると手がつかない。

いちこ

いちこ

うちは仲はいいと思うんですが。
シュン

シュン

仲の良さと、悪い報告が上がることは別なんだよね。4つで見ると、どこが弱いか分かるよ。

論点2 発言の直後に、こちらが何を返すか

言った後に起きること 問題を報告する 「なぜ早く言わない」 次は報告が遅れる 問題を報告する 「早めに助かった」 次も早く上がる 安全性は理念ではなく、発言の直後にこちらが何を返すかで決まる 一度の反応が、その後の数か月の報告量を変える
発言した後に起きることが、次の発言を決める。

問題を報告したときに「なぜ早く言わない」と返せば、次は報告が遅れる。

「早めに助かった」と返せば、次も早く上がる。安全性は理念ではなく、直後の反応の積み重ねで決まる。一度の反応が、その後の数か月の報告量を変える。

論点3 同じことを知りたいのに、聞き方で出る情報が変わる

なぜできなかった? 何があると進みそう? 誰のミス? どこで止まった? 他に質問は? 気になっている点を1つだけ 同じことを知りたいのに、聞き方で出てくる情報が変わる 左は人を探す質問、右は原因を探す質問になっている
同じ意図でも、言い方を変えると受け取られ方が変わる。
  • 「なぜできなかった?」 → 「何があると進みそう?」
  • 「誰のミス?」 → 「どこで止まった?」
  • 「他に質問は?」 → 「気になっている点を1つだけ」

左は人を探す質問、右は原因を探す質問になっている。伝え方の設計は フィードバック入門 が詳しい。

いちこ

いちこ

つい「なぜ」と聞いてしまいます。
シュン

シュン

自然だよね。ただ「なぜ」は人に向かいやすいんだ。「どこで」にすると場所の話になるよ。

この本の限界と、次に読む本

行動分析の用語が多く、読み進めるのに負荷がある。理論の背景は 恐れのない組織 が原典にあたる。日本のチームへの落とし込みは本書のほうが具体的になる。

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