フィードバック入門 の書影

フィードバック入門

耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術

中原淳

指摘すると空気が悪くなる。言わずに期末を迎える。耳の痛い話を機能させるための論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 言いにくいことを言えずにいる
  • 指摘が毎回ぶつかる
  • 初めて部下を持った

−おすすめしない人

  • 対話で引き出す側だけを学びたい
  • 評価制度そのものを設計したい

著者について

中原淳

立教大学経営学部 教授

経歴
企業における人材開発・組織開発を専門に実証研究を行ってきた
実績
企業のマネージャー調査と研修の知見をもとに執筆

PHP研究所 / 2017年3月

目的

伝えるべきことがある。だが言えば関係が悪くなる気がして、結局言わないまま期末を迎える。

やさしさの問題ではなく、伝えたあとの設計がないことが原因になっている。本書を読む目的は、言いにくい話を関係を壊さずに機能させる手順を持つことにある。

論点1 伝えるのは前半、変わるのは後半

① 情報通知 何が起きているかを、鏡のように返す 事実・影響・周囲の見え方 ここで終わると、ただ詰めた面談になる ② 立て直し 本人に考えさせ、次の行動を決める 支援・期待・再面談の日 行動が変わるのは、こちら側 フィードバックは「伝えること」ではなく、二つの作業の組み合わせ どちらが欠けても、面談のあと何も起こらない
フィードバックは情報通知と立て直しの二部構成。

本書はフィードバックを2つに分ける。起きていることを鏡のように返す情報通知と、本人に考えさせて次を決める立て直しだ。

  • 情報通知で終わる … ただ詰めた面談になる
  • 立て直しだけ先に来る … 本人に問題の認識がないまま励ます形になる

きつい面談になるのは、前半だけで終わっているときが多い。後半まで含めて1セットとして見ると、何が足りないかが分かる。

いちこ

いちこ

伝えたあとは本人に任せていました。
シュン

シュン

そこが本体なんだよ。伝えるところまでは準備で、動くのはその後なんだ。

論点2 伝え方より、その前の準備

印象で伝える 「最近、姿勢がよくない」 いつの話か分からない 反論される / 納得されない 事実を揃えて伝える 状況いつ・どの場面で行動何をした / しなかった影響誰に・何が起きたか 耳の痛い話が通るかどうかは、伝え方より前の準備で決まる 面談の前に、この三つを書けるだけ集めておく
印象で伝える場合と、状況・行動・影響を揃えて伝える場合。

耳の痛い話が通るかどうかは、言い方の工夫よりも事実が揃っているかで決まる。「最近、姿勢がよくない」では、いつの話か分からないので反論される。

  • 状況 … いつ、どの場面で
  • 行動 … 何をした、何をしなかった
  • 影響 … 誰に、何が起きたか

この3つを書けるだけ集めてから面談に入る。集まらないなら、それはまだ伝える段階ではない。

面談の前に、この3点を箇条書きで3行だけ書き出す。書けない項目があれば、観察が足りていない。

論点3 次の日付を決めずに終えない

伝えて終わる 面談 何も起きないまま期末まで進む 再面談を置く 面談2週間後1か月後 できた点を拾う 残りを詰め直す 次の日付を決めずに終えた面談は、伝える前と同じ状態に戻る
伝えて終わる場合と、再面談の日を置く場合。

本書が重く扱うのが、面談のあとだ。伝えて終わった面談は、伝える前と同じ状態に戻る。本人の意志の問題ではなく、戻るのが普通だという前提で設計する。

  • 2週間後 … できた点を拾う
  • 1か月後 … 残りを詰め直す

評価の場で数字をどう見せるかは メンバーをどう評価するか に整理がある。

いちこ

いちこ

一度言えば伝わる、ではないんですね。
シュン

シュン

一度で変わるなら誰も苦労しないよ。だから日付を先に置いておくんだ。

この本の限界と、次に読む本

聞く側の技術は ヤフーの1on1 のほうが詳しい。噛み合わない相手との対話からなら宇田川元一『他者と働く』が隣に並ぶ。

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