声はかけている。目標も共有している。それでもチームが動かない。進捗と感情の関係を扱う論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- チームの空気が重い
- 施策を足しても効かない
- 初めてマネージャーになった
−おすすめしない人
- 評価制度を設計したい
- 具体的な面談技術だけ知りたい
著者について
テレサ・アマビール・スティーブン・クレイマー
ハーバード・ビジネス・スクール 教授 / 発達心理学者
- 経歴
- アマビールは創造性と職場環境、クレイマーは発達心理学を専門とする
- 実績
- 7社238人の職場日誌を約1万2000件分析し、感情と業績の関係を明らかにした
目的
朝礼で声をかけている。目標も共有した。1on1もやっている。それでもチームの空気が重い。
やる気が足りないのではなく、進んだという実感が誰にもない。本書を読む目的は、感情を動かす要因を順序として理解することにある。
論点1 やる気が出てから動くのではない
本書は職場日誌の大規模な分析から、感情を最も動かすのが仕事が前に進んだという実感だと示す。順序が逆なのが要点だ。
- 進んだ → 前向きになる → さらに進む
- 後退した → 消耗する → さらに止まる
やる気を上げてから動かそうとすると、入口が重くなる。小さくても進んだと分かる状態を先に作るほうが早い。
いちこ
モチベーションを上げる方法を探していました。
シュン
順番が逆なんだよね。1つ進んだのが見えると、勝手に上がるんだ。
論点2 足すより、邪魔を取り除く
声をかける、目標を再確認する、研修を入れる。これらは足す介入だが、障害が残っていれば進まない。
- 承認待ちが長い … 縮める
- 同じ報告を二重に出している … やめる
- 方針が月ごとに揺れる … 止める
多くの現場で足りていないのは激励ではなく、邪魔の除去のほうだ。
論点3 自分の一言の重さを、低く見積もっている
本書が記録から拾うのが、認識のズレだ。「ちょっと確認しただけ」は信用されていないと受け取られている。
- 方針を少し見直した … 「また変わった」
- 忙しくて返信が遅れた … 「優先されていない」
伝え方の設計は フィードバック入門、対話の場づくりは ヤフーの1on1 が実装に近い。
いちこ
軽く聞いたつもりでも、違う意味になるんですね。
シュン
立場の差があるからね。こちらの軽さは、そのまま伝わらないんだ。
この本の限界と、次に読む本
調査の記述が長く、結論に至るまでに時間がかかる。実務の手順としては薄い。短期の運用なら ハイアウトプット マネジメント、心理的安全性の理論なら 恐れのない組織 が隣に並ぶ。
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育成とフィードバックのほかの本
- フィードバック入門 中原淳
- チームが機能するとはどういうことか エイミー・C・エドモンドソン
- モチベーション3.0 ダニエル・ピンク