マネージャーの成果は、自分がどれだけ働いたかではない。何に時間を置くかで決まる。本書が解いている論点を3つに絞って紹介する。
✓お勧めする人
- プレイングマネージャーで手が回らない
- 初めて人を持った
- 時間の使い方を見直したい
−おすすめしない人
- 営業特有の手法を探している
- 最新の事例を求めている
著者について
アンドリュー・S・グローブ
元・インテル CEO
- 経歴
- インテルの創業期から経営に関わり、CEOを務めた
- 実績
- 同社の運営手法を体系化し、のちのOKRの源流となった
目的
一日中ミーティングに出て、合間に自分の案件も回して、気づけば定時を過ぎている。忙しいのに、チームの数字は去年と変わらない。
働き方の問題ではなく、何を自分の成果と考えるかがずれている。本書を読む目的は、マネージャーの仕事の定義をやり直すことにある。
論点1 マネージャーの成果は、自分の作業量ではない
本書は冒頭で、マネージャーのアウトプットを定義する。自分のチームが出した成果と、自分が影響を与えた他の組織の成果の合計だ、と。
この式に「自分が何時間働いたか」は入っていない。自分で案件を処理した時間は、チームの成果になっていなければ数えられない。
- 自分で商談を巻き取って受注した → 1件ぶん
- つまずきの型をメンバー5人に直した → その後ずっと効く
いちこ
シュン
論点2 同じ1時間でも、効き方が違う
本書の中心概念がレバレッジだ。同じ時間を使っても、影響する範囲と持続する期間が違う。
自分で1件処理すれば1件ぶん。だが採用の判断は、その後の何年ぶんもの成果を左右する。だから時間配分は、忙しさではなく効き方の大きさで決める。
論点3 相手の習熟度で、関わり方を変える
任せるか、細かく指示するか。本書はこれを性格や方針ではなく、その仕事への習熟度で決めるべきだとする。
- 不慣れ … 具体的に指示する。任せると事故になる
- 慣れてきた … 一緒に考える
- 習熟 … 任せて、結果だけ見る
重要なのは、これが人ではなく仕事ごとだという点だ。優秀なメンバーでも、初めて担当する領域では位置が戻る。一律に「任せる方針」を取ると、そこで事故が起きる。
誰がどの段階かを感覚で決めないためには、成果のばらつきを見るのが早い(分散・標準偏差)。評価の順序は メンバーをどう評価するか に。
いちこ
シュン
この本の限界と、次に読む本
1983年の著作で事例は製造業が中心だが、扱っているのは職種に依存しない原理である。営業組織の作り方そのものは、福田康隆『THE MODEL』や山下貴宏『セールス・イネーブルメント』のほうが直接的だ。
マネージャーの役割のほかの本
- ビジョナリー・カンパニー2 ジム・コリンズ
- 無敗営業 チーム戦略 高橋浩一
- マネジャーの最も大切な仕事 テレサ・アマビール・スティーブン・クレイマー
- 1兆ドルコーチ エリック・シュミット・ジョナサン・ローゼンバーグ・アラン・イーグル
- リーダーの仮面 安藤広大