「今月は未達です」「で、どうする?」「訪問件数を増やします」。この会話を終わらせるために、本書が解いている論点を3つに絞って紹介する。
✓お勧めする人
- 分業体制をこれから作る
- 作ったが機能していない
- KPIを工程単位で設計し直したい
−おすすめしない人
- 少人数で一人が全工程を持つ
- 単発・高額・紹介中心の商売
著者について
福田康隆
元・マルケト日本法人 代表取締役社長
- 経歴
- アドビ システムズ → セールスフォース・ドットコム日本法人 → マルケト日本法人 社長
- 実績
- セールスフォース時代に分業型の営業プロセスの立ち上げに関与
目的
月末の数字報告。未達。上司が「で、どうするんだ」と聞き、マネージャーが「訪問件数を積み増します」と答える。誰も納得しないまま会議が終わる——この繰り返しを止めることが、本書を読む目的になる。
止まらない理由は、気合ではなく問いの立て方にある。「売上が足りない」は粗すぎて、「もっと頑張る」としか答えられない。本書はこの問いを分解する道具を渡してくる。ここでは実務で効く論点を3つ抜き出す。
論点1 「売上が足りない」をどう分解するか
売上を結果の一点として眺めるのをやめ、リード数 × 商談化率 × 受注率 × 平均単価 の掛け算として扱う。式にした瞬間、問いが「どの項が落ちたのか」に変わる。
逆算もできる。1億円・単価500万円なら受注20件、受注率20%なら商談100件、商談化率10%ならリード1,000件。数字が並ぶと、不足の性質が変わって見える。
- リードが600件しかない → 打つ手は営業の叱咤ではなく供給側
- リードは潤沢、受注率だけ低い → 提案の問題として扱える
いちこ
シュン
論点2 どの工程から手をつけるか
分解すると次に迷うのが、どこから触るかだ。ここで効く性質がある。どの工程を1割改善しても、売上への寄与は同じ10%。違うのは労力だけだ。リードの1割増には広告費か人員が要るが、単価の1割は上位プランへの誘導で取れることがある。
だから着手順は次の2点で決まる。
- 他工程や同業と比べて、不自然に低い項があるか
- その項を動かすのに、どれだけの労力がかかるか
全工程を均等に改善しようとすると、最も動かしにくい場所に力を使うことになる。
論点3 なぜ数字が合わなくなるのか
表を作って最初にぶつかるのが、部署で数字が合わないことだ。原因は能力でも集計ミスでもなく、工程をまたいで言葉の意味がずれていることにある。ISは「アポが取れた」を、FSは「決裁者が出てきた」を商談として数える。
揺れているかは数字でも判る。通過率のばらつきが大きい工程は、実力ではなく数え方が揺れている可能性が高い(分散・標準偏差)。置いたKPIが成果の原因かどうかは別問題として こちら に。
いちこ
シュン
この本の限界と、次に読む本
後者は、前提になるリード量と案件数がないと分業の引き継ぎコストだけが乗る。平易で図表が多く3〜4時間。工程単位の深掘りが目的なら、茂野明彦『インサイドセールス』のほうが直接的だ。
自社の数字で確かめる
この本の考え方を、統計で検証する側の記事です。
分業モデルのほかの本
- AGENT SALES 猪瀬竜馬