研修はやった。満足度も高かった。それでも数字が変わらない。育成を「やったかどうか」から「成果が動いたか」に変えるための論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 研修が成果に結びついていない
- 採用を増やしたが立ち上がりが遅い
- 育成を属人化から外したい
−おすすめしない人
- 営業が数名で型を作る段階にない
- 個別の商談スキルを磨く本を探している
著者について
山下貴宏
セールス・イネーブルメントの実務者
- 経歴
- 営業組織の育成と仕組み化に長年携わってきた
- 実績
- 研修を「やったか」ではなく「行動が変わったか」で測る設計を提示した
目的
研修を実施した。アンケートの満足度も高い。報告書には「受講率100%」と書いてある。それでも半年後、受注率は動いていない。
問題は研修の質ではなく、何をもって成功とするかを決めていないことにある。本書を読む目的は、育成を感覚の施策から、成果から逆算した仕組みに変えることにある。
論点1 「やったか」ではなく「行動が変わったか」で測る
育成の効果は4段階に分けて考えられる。実施した → 理解した → 行動が変わった → 成果が動いた、の順だ。多くの組織は左の2つで評価を止めている。
- 実施数・受講率 … 実施したことの記録。成果とは無関係
- 商談での実行率 … 行動が変わったかが分かる最初の指標
測定を1段右にずらすだけで、研修の設計が変わる。「覚えてもらう」ではなく「商談で使わせる」が目的になるからだ。
いちこ
シュン
論点2 トップの再現ではなく、中間層の底上げ
育成というと、トップセールスのやり方を言語化して配る発想になりやすい。しかし組織の成績は分布しており、人数が最も多いのは中間層だ。
- トップ層を伸ばす … 対象人数が少ないので、総和への寄与は限られる
- 中間層を伸ばす … 一人あたりの伸びが小さくても、人数が多いぶん総和が大きい
さらに中間層は、伸びしろが残っている層でもある。どこに伸びしろがあるかは、平均だけ見ても分からない。分布とばらつきで見るのが早い(分散・標準偏差)。公平な比較の手順は メンバーをどう評価するか に。
論点3 立ち上がりの速さを、成果指標にする
イネーブルメントの成果をどう示すかは難しい。本書が挙げる分かりやすい指標のひとつが、新しく入った人が一人前の水準に達するまでの期間だ。
仕組みがなければ、各自の工夫と先輩の属人的な指導に依存し、立ち上がりは人によってばらつく。型があれば、その幅が縮む。
いちこ
シュン
この本の限界と、次に読む本
後者なら、ニール・ラッカム『SPIN営業術』のほうが直接的だ。工程の設計から入るなら、福田康隆『THE MODEL』と並べて読むと噛み合う。
セールス・イネーブルメントのほかの本
- 無敗営業 チーム戦略 高橋浩一
- 営業実行学 中内崇人