資料は作った。筋は通っているはずなのに通らない。相手の問いに答える形へ組み替えるための論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 資料が「で、何が言いたいの」と言われる
- 部下の報告が長い
- 社内稟議を通す立場
−おすすめしない人
- プレゼンの話し方や見せ方を学びたい
- 分析手法そのものを知りたい
著者について
照屋華子・岡田恵子
元・マッキンゼー エディター
- 経歴
- ともにマッキンゼー・アンド・カンパニーでエディターを務め、報告書や提案書の推敲を担当
- 実績
- 現場で繰り返し指摘してきた「伝わらない文書」の型を整理した
目的
分析はした。資料も作った。会議で説明もした。それでも「結局どうしたいの」と言われる。
論理が弱いのではなく、並べ方が相手の問いに合っていないことが多い。本書を読む目的は、思考の質ではなく、伝わる形への組み立て方を手に入れることにある。
論点1 重なりを削り、落ちた箱を足す
本書が最初に扱うのが、同じ階層に並べるものの整理だ。受注率が落ちた理由を挙げると、たいてい同じ話が二度出て、別の話が落ちる。
- 「提案力が弱い」と「資料が悪い」 … 大半が重なっている
- リードの質、価格条件、受注後の体制 … そもそも挙がっていない
重複があると議論が空回りし、漏れがあると打ち手を取り違える。原因を数えるより先に、並んでいるものの形を見るほうが早い。
いちこ
原因を多く挙げたほうが、ちゃんと考えた感じがしてしまいます。
シュン
数じゃないんだ。重なりを削ると、残った箱の少なさに驚くよ。
論点2 崩れるのは縦ではなく横
本書は論理の組み立てを縦と横の2方向で捉える。縦は「だから何が言えるのか」と「なぜそう言えるのか」でつながっているか。横は同じ階層の話が並んでいるか。
実務でおかしくなるのは、ほとんど横のほうだ。全社の話と、特定メンバーの話と、あるツールの話が同じ列に並ぶ。縦は意識しやすいが、横は気づきにくい。
自分の資料で、同じインデントに並んだ項目を声に出して読む。粒度が揃っていない箱が必ず1つ見つかる。
論点3 書く前に、相手の問いを確定する
本書が繰り返すのは、課題と、相手から引き出したい反応を先に決めることだ。これを決めずに書くと、正しい分析なのに無関係な答えが出てくる。
- 相手の問い … 来期どこに人を置くか
- ずれた答え … 今期の分析結果を網羅した資料
- 噛み合う答え … 中堅2名をIS側へ。理由は3つ
何を問いにするかを詰めるなら、安宅和人『イシューからはじめよ』が隣に並ぶ。
いちこ
分析の前に、何を聞かれるかを決めるんですね。
シュン
そう。そこを外すと、どれだけ丁寧に作っても刺さらないんだよ。
この本の限界と、次に読む本
同じ領域の原典はバーバラ・ミント『考える技術・書く技術』で、本書のほうが日本語の文書に寄っていて短い。01 土台 / 論理と伝達 に並べている。数字で語る側を整えるなら そのKPI、本当に成果につながるか も。
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