ザ・プレゼンテーション の書影

ザ・プレゼンテーション

人を動かすストーリーテリングの技法

ナンシー・デュアルテ

正しいことを話している。それでも動かない。聞き手を主人公にする構成を扱う論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 論理は通っているのに動かない
  • 提案の構成を変えたい
  • 大きな場で話す機会がある

−おすすめしない人

  • 短く読める型が欲しい
  • スライドのデザインを学びたい

著者について

ナンシー・デュアルテ

プレゼンテーション制作会社 Duarte 代表

経歴
著名なスピーチやプレゼンの制作を長年手がけてきた
実績
アル・ゴア『不都合な真実』をはじめ多数を担当し、著名スピーチの構造分析から型を取り出した

ダイヤモンド社 / 2012年9月

目的

データも揃え、論理も通した。それでも相手は動かない。何が足りないのかが分からない。

論理の不足ではなく、聞き手が自分の話として聞いていない。本書を読む目的は、構成そのものを設計し直すことにある。

論点1 現状と理想を往復させる

理想 現状 最後に理想で終える 「今こうです」と「こうなれます」を交互に置く 落差があるほど、聞き手は動く理由を自分で見つける
現状と理想を交互に見せて落差を作る。

本書は著名なスピーチを分解し、共通の形を取り出す。それが現状と理想の往復だ。

  • 「今こうです」と「こうなれます」を交互に置く
  • 最後は理想側で終える … 聞き手が動く理由を自分で見つける

提案書でも同じことができる。現状の課題を並べてから解決策を並べるのではなく、交互に置く。

いちこ

いちこ

課題と解決を分けて書いていました。
シュン

シュン

分けると比較しにくいんだよね。並べて置くと、落差がそのまま動機になるんだ。

論点2 主人公は聞き手

自社が主語 「当社の強みは〜」 「当社だけが〜」 聞き手は自分の話だと思わない 聞き手が主語 「御社は今ここで止まっている」 「ここを越えると、こうなる」 自分の話として聞ける 主人公は聞き手。話し手は、越え方を示す側に回る 提案書の主語を数えると、どちらで書いているかが分かる
自社を主語にした提案と、顧客を主語にした提案。

「当社の強みは」「当社だけが」で始まる提案は、聞き手が自分の話だと思わない。

  • 自社が主語 … 機能の説明になる
  • 聞き手が主語 … 「御社は今ここで止まっている」から入る

話し手は、越え方を示す側に回る。提案書の主語を数えると、どちらで書いているかがすぐ分かる。

論点3 覚えて帰ってもらう一文を決める

全部を強く話す どこが大事だったか、終わると誰も覚えていない 山場を1つ置く ここだけ持ち帰ってもらう 覚えて帰ってもらう一文を決めてから、他を削る
全体が平坦な話と、山場を1つ置いた話。

全部を強く話すと、終わったあとにどこが大事だったか誰も覚えていない。

本書は山場を1つ置くことを勧める。その一文を先に決めてから、他を削る。削る基準がここで決まる。

直近の提案で「相手が翌日に一言で言えること」は何だったか。言えないなら山場が無かった可能性が高い。
いちこ

いちこ

全部大事だと思って話していました。
シュン

シュン

全部大事だと、全部残らないんだよね。1つに絞ると、そこだけは残るんだ。

この本の限界と、次に読む本

事例が演説や基調講演で、日常の商談とは規模が違う。構成の型だけを取る読み方になる。短い型なら 1分で話せ、見せ方なら プレゼンテーションZen、文書の構造なら 考える技術・書く技術 が続く。

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