会計の世界史 の書影

会計の世界史

イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語

田中靖浩

会計の決まりごとが覚えられない。なぜそうなったのかから入り直す論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 会計の決まりが頭に入らない
  • 顧客の決算書を提案に使いたい
  • 教養として押さえたい

−おすすめしない人

  • 実務の処理を覚えたい
  • すぐ使える分析手法が欲しい

著者について

田中靖浩

公認会計士

経歴
大学や企業で会計を教えてきた
実績
簿記や原価計算が生まれた事情を、500年の歴史として追った

日本経済新聞出版社 / 2018年9月

目的

減価償却、のれん、原価計算。研修で習ったが、どれも「そういう決まり」として頭に入って、すぐ抜ける。

暗記が苦手なのではなく、何を解くために作られたかを知らない。本書を読む目的は、由来から掴み直すことにある。

論点1 どの仕組みも、困った誰かが解こうとした結果

複式簿記 遠い相手と組む 誰がいくら出したか決めたい 株式会社 航海の失敗が重い 損を分け合いたい 原価計算 工場で何に使ったか不明 製品ごとに分けたい どの仕組みも、困った誰かが解こうとした結果として残った 「そういう決まり」として覚えると、使いどころが分からなくなる 由来が分かると、どの数字をいつ見るかが決まる
会計の仕組みが、それぞれの時代の事情から生まれた。

本書は500年を追いながら、仕組みが生まれた事情を示す。

  • 複式簿記 … 遠い相手と組むとき、誰がいくら出したかを決めたかった
  • 株式会社 … 航海の失敗が重く、損を分け合いたかった
  • 原価計算 … 工場で何に使ったか分からず、製品ごとに分けたかった

「そういう決まり」として覚えると使いどころが分からなくなる。由来が分かると、どの数字をいつ見るかが決まる。

いちこ

いちこ

歴史を知ると、実務に効くんですか?
シュン

シュン

効くよ。何のための数字かが分かると、顧客の決算書でどこを見るかが変わるんだ。

論点2 「利益」は測り方の取り決め

航海ごとに清算 1回終わるたびに全部分ける 期間で区切る 1年ごとに区切って測る 将来の価値で測る これから生む現金で評価する 「利益」は固定した事実ではなく、測り方の取り決め
利益をどう測るかが時代によって変わってきた。

航海ごとに清算していた時代、1年で区切るようになった時代、将来生む現金で評価する考え方。

利益は固定した事実ではなく、測り方の取り決めだ。ここが分かると、決算書の数字を絶対視しなくなる。

論点3 誰の関心で読むかで、見る場所が変わる

同じ決算書 銀行 貸した金は返るか 株主 増やしてくれるか 取引先 来年も続くか 顧客の決算書を読むときも、誰の関心で読むかで見る場所が変わる 提案で使うなら、相手の社内で誰を説得するのかを先に決める
同じ決算書を立場ごとに別の関心で読む。

銀行は貸した金が返るかを見る。株主は増やしてくれるかを見る。取引先は来年も続くかを見る。

顧客の決算書を読むときも同じだ。提案で使うなら、相手の社内で誰を説得するのかを先に決める。

いちこ

いちこ

決算書は、全部読まないといけないと思っていました。
シュン

シュン

全部読む人はいないよ。自分が何を知りたいかを決めてから開くんだ。

この本の限界と、次に読む本

読み物で、実務の手順はほとんど無い。この本だけでは決算書は読めるようにならない。3表のつながりなら ストーリーでわかる財務3表超入門、投資の判断なら ファイナンス思考 が隣に並ぶ。

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