ファイナンス思考 の書影

ファイナンス思考

日本企業を蝕む病と、再生の戦略論

朝倉祐介

投資の提案が、いつも費用削減の議論に負ける。回収で語り直すための論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 投資の提案が通らない
  • 稟議の相手が経営層
  • 自社の方針に違和感がある

−おすすめしない人

  • 会計の基礎から学びたい
  • 財務モデルを作りたい

著者について

朝倉祐介

シニフィアン 共同代表

経歴
マッキンゼー・アンド・カンパニー → ミクシィ 代表取締役社長 → シニフィアン 共同代表
実績
目先の利益を守る発想と、将来の価値を作る発想を対比して論じた

ダイヤモンド社 / 2018年7月

目的

来期に効く投資を提案した。「今期の数字が厳しい」と言われて見送られた。毎年これが繰り返される。

提案が弱いのではなく、今期を守る会話と将来を作る会話が混ざっている。本書を読む目的は、その2つを分けることにある。

論点1 守る発想と、作る発想

今期の利益を守る 広告費を削る採用を止める新規の投資を見送る 今期の数字は守れる。来期の種は無い 将来の価値を作る 今かける費用を決める回収までの期間を置く途中でやめる条件も決める 今期は凹むが、来期以降が積まれる どちらが正しいかではなく、今どちらの会話をしているかを見分ける 混ざったまま議論すると、投資の話が削減の話に押し切られる
今期の利益を守る発想と、将来の価値を作る発想。

広告費を削り、採用を止め、新規投資を見送る。今期の数字は守れるが、来期の種が無くなる。

  • 守る発想 … 今ある利益を減らさない
  • 作る発想 … 今かける費用と、回収までの期間を置く

どちらが正しいかではない。混ざったまま議論すると、投資の話が削減の話に押し切られる。

いちこ

いちこ

今期が厳しいと言われると、何も言えなくなります。
シュン

シュン

そこで同じ土俵に乗らないことなんだ。別の話をしていると示すところから始めるといいよ。

論点2 いつ回収するのかを先に置く

累計の現金 いちばん苦しい時点 ここで元が取れる ここを見ずに「赤字だからやめる」と決めてしまう いつ回収するのかを先に置かないと、途中でやめる判断ばかりになる
投資してから回収するまでの期間。

投資は最初に現金が出ていく。累計で見ると一度沈み、あるところで元が取れる。

いちばん苦しい時点だけを見て「赤字だからやめる」と決めると、回収点の手前で全部止まる。いつ回収するのかを先に置かないと、途中でやめる判断ばかりになる。

論点3 費用と呼ぶか、投資と呼ぶか

費用として説明する 「年間300万かかります」 削減対象として検討される 安いほうが勝つ 投資として説明する 「年300万で、8か月で回収」 回収後の効果まで議論される 価格以外の軸が立つ 同じ金額でも、費用と呼ぶか投資と呼ぶかで審査の仕方が変わる 回収期間を書けるかどうかが、その分かれ目になる
費用として説明する提案と、投資として説明する提案。

同じ金額でも審査のされ方が変わる。

  • 費用 … 「年間300万かかります」。削減対象になり、安いほうが勝つ
  • 投資 … 「年300万で、8か月で回収」。回収後の効果まで議論される

回収期間を書けるかどうかが分かれ目になる。効果を数字で示す手順は その施策、本当に効いたか に。

いちこ

いちこ

提案書に回収期間を書いたことがありません。
シュン

シュン

書くと、相手の社内で稟議を通す人が使えるんだ。渡す材料が1つ増えるんだよ。

この本の限界と、次に読む本

経営の視点が中心で、営業の実務に直接の手順は無い。考え方を提案書に持ち込む読み方になる。会計の基礎なら ストーリーでわかる財務3表超入門、長期で積み上げる話なら ビジョナリー・カンパニー2 が隣に並ぶ。

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