なぜ、システム開発は必ずモメるのか? の書影

なぜ、システム開発は必ずモメるのか?

49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術

細川義洋

納品後に揉める。その型は決まっている。49の事例から構造を掴む論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 開発を含む案件で納品後に揉める
  • 議事録の扱いを見直したい
  • トラブルの型を知りたい

−おすすめしない人

  • 開発に関わらない
  • 契約実務の詳細が欲しい

著者について

細川義洋

元・システム開発紛争の調停委員

経歴
日本アイ・ビー・エム → システム開発紛争の調停委員
実績
実際に裁判や調停に持ち込まれた49の事例から、揉めごとの型を整理した

日本実業出版社 / 2013年10月

目的

合意したはずの仕様で、納品後に「これでは使えない」と言われた。どちらにも言い分がある。

特殊な案件だったのではなく、揉めごとの型は決まっている。本書を読む目的は、その型を先に知って避けることにある。

論点1 揉めごとは、合意の瞬間にすでに始まっている

「既存システムと連携する」 発注側 データが自動で行き来する 受注側 CSVを手で取り込める 揉めごとの多くは、この段階ですでに始まっている 合意の瞬間に、何を想定しているかを言葉にしておく
同じ言葉から、発注側と受注側が違うものを想定している。

「既存システムと連携する」で合意しても、発注側は自動連携、受注側はCSVの手動取り込みを想定していることがある。

合意の瞬間に、何を想定しているかを言葉にしておく。後から確認するより、その場で具体を一つ出すほうが安い。

いちこ

いちこ

細かく確認すると、話が進まない気がします。
シュン

シュン

その場では進まないね。ただ納品後に止まるより、ずっと早いんだ。

論点2 記録は、双方を守るためのもの

記録が無い 「言った」「聞いていない」 発注側の主張が通りやすい 無償対応として押し込まれる 議事録を送って確認を取る 当日中に送る / 異議は◯日までと書く 返信が無ければ合意とみなす 後から覆りにくくなる 記録は相手を縛るためではなく、双方を守るためのもの 揉めた案件を第三者が見るとき、最初に探されるのがこれになる
記録が無い場合と、議事録を送って確認を取る場合。

記録が無いと「言った」「聞いていない」になり、立場の強い側の主張が通りやすい。

  • 当日中に送る / 異議は◯日までと書く
  • 返信が無ければ合意とみなす … 後から覆りにくくなる

揉めた案件を第三者が見るとき、最初に探されるのがこれになる。

論点3 どちらか一方だけの責任になる揉めごとは少ない

発注側がやるべきこと 決める人を出す 期日までに判断する 現場の情報を渡す 受注側がやるべきこと リスクを先に伝える 決めるべきことを示す 遅れを早く報告する どちらか一方だけの責任になる揉めごとは、実は少ない 自社が果たせていない側を先に埋めると、交渉の立場が変わる
発注側と受注側それぞれに果たすべき役割がある。
  • 発注側 … 決める人を出す / 期日までに判断する / 現場の情報を渡す
  • 受注側 … リスクを先に伝える / 決めるべきことを示す / 遅れを早く報告する

自社が果たせていない側を先に埋めると、交渉の立場が変わる。同じ著者の システムを「外注」するときに読む本 は発注側に寄せた内容になる。

いちこ

いちこ

相手の落ち度を指摘したくなります。
シュン

シュン

気持ちは分かるよ。ただ自分の側に穴があると、そこを突かれて終わるからね。先に埋めるんだ。

この本の限界と、次に読む本

2013年の本で、事例の技術環境は古い。揉めごとの構造は変わっていない。発注側の責任範囲なら システムを「外注」するときに読む本、未決事項の管理なら プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本 が隣に並ぶ。

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