納品後に揉める。その型は決まっている。49の事例から構造を掴む論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 開発を含む案件で納品後に揉める
- 議事録の扱いを見直したい
- トラブルの型を知りたい
−おすすめしない人
- 開発に関わらない
- 契約実務の詳細が欲しい
著者について
細川義洋
元・システム開発紛争の調停委員
- 経歴
- 日本アイ・ビー・エム → システム開発紛争の調停委員
- 実績
- 実際に裁判や調停に持ち込まれた49の事例から、揉めごとの型を整理した
目的
合意したはずの仕様で、納品後に「これでは使えない」と言われた。どちらにも言い分がある。
特殊な案件だったのではなく、揉めごとの型は決まっている。本書を読む目的は、その型を先に知って避けることにある。
論点1 揉めごとは、合意の瞬間にすでに始まっている
「既存システムと連携する」で合意しても、発注側は自動連携、受注側はCSVの手動取り込みを想定していることがある。
合意の瞬間に、何を想定しているかを言葉にしておく。後から確認するより、その場で具体を一つ出すほうが安い。
いちこ
細かく確認すると、話が進まない気がします。
シュン
その場では進まないね。ただ納品後に止まるより、ずっと早いんだ。
論点2 記録は、双方を守るためのもの
記録が無いと「言った」「聞いていない」になり、立場の強い側の主張が通りやすい。
- 当日中に送る / 異議は◯日までと書く
- 返信が無ければ合意とみなす … 後から覆りにくくなる
揉めた案件を第三者が見るとき、最初に探されるのがこれになる。
論点3 どちらか一方だけの責任になる揉めごとは少ない
- 発注側 … 決める人を出す / 期日までに判断する / 現場の情報を渡す
- 受注側 … リスクを先に伝える / 決めるべきことを示す / 遅れを早く報告する
自社が果たせていない側を先に埋めると、交渉の立場が変わる。同じ著者の システムを「外注」するときに読む本 は発注側に寄せた内容になる。
いちこ
相手の落ち度を指摘したくなります。
シュン
気持ちは分かるよ。ただ自分の側に穴があると、そこを突かれて終わるからね。先に埋めるんだ。
この本の限界と、次に読む本
2013年の本で、事例の技術環境は古い。揉めごとの構造は変わっていない。発注側の責任範囲なら システムを「外注」するときに読む本、未決事項の管理なら プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本 が隣に並ぶ。
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発注者の視点のほかの本
- システムを「外注」するときに読む本 細川義洋