プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本 の書影

プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本

橋本将功

進捗は順調と聞いていた。それがテストで崩れる。遅れの原因が見える場所と起きる場所のズレを扱う論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 開発を含む案件を売る
  • 期日の交渉で後手に回る
  • PMと話が噛み合わない

−おすすめしない人

  • PMBOKなどの体系を学びたい
  • 開発を含まない商材を扱う

著者について

橋本将功

プロジェクト支援会社 代表

経歴
20年以上にわたりWebやシステム開発の案件に関わってきた
実績
交渉・見積もり・契約から要件定義・テスト・保守までを一冊で通して扱った

翔泳社 / 2022年11月

目的

進捗会議では順調だった。テストに入った途端に話が変わり、期日が動く。顧客にも説明がつかない。

管理が甘いのではなく、遅れが見える場所と、生まれる場所が離れている。本書を読む目的は、工程全体を一本で見る目を持つことにある。

論点1 遅れが見えた時点で、原因は過去にある

要件定義設計開発テスト本番 要件定義 曖昧さはここで生まれる テスト 遅れはここで見える 数か月の時差がある 遅れが見えた時点で、原因はもう過去にある テスト工程での巻き返しは、ほとんど効かない
前半で生まれた曖昧さが、テスト工程で遅れとして現れる。

本書は要件定義から保守までを通して扱う。そこで分かるのは、曖昧さは前半で生まれ、遅れは後半で見えるという時差だ。

  • 要件定義 … 決めなかったことが残る
  • テスト … 数か月後に遅れとして現れる

テスト工程で人を足しても効かないのは、原因がそこにないからだ。巻き返しより、前半で何を決めなかったかを見る。

いちこ

いちこ

進捗が順調という報告は、何を見ていたんでしょう。
シュン

シュン

作業の進み具合だね。決まっていないことの数は、そこに出てこないんだ。

論点2 点で約束すると、調整の余地まで差し出す

点で出す 3か月 1日でも超えれば「遅延」になる 幅で出す 3〜4か月 前提: 要件が月内に固まる場合 幅が縮むのは、前提が消えたとき 点で約束すると、調整の余地まで一緒に差し出すことになる
見積もりを一点で出す場合と、幅で出す場合。

見積もりを「3か月」と出すと、1日超えただけで遅延になる。本書が勧めるのは幅と前提をセットで出すことだ。

  • 点で出す … 1日でも超えれば遅延になる
  • 幅で出す … 「3〜4か月。要件が月内に固まる場合」

幅が縮むのは、前提が消えたときだ。営業の立場でも、顧客に幅のまま伝えられるかで後半の交渉が変わる。

不確実性を幅で扱う考え方は エンジニアリング組織論への招待 のほうが理論寄りに扱っている。

論点3 進捗より先に、決まっていないことを共有する

決まっていないまま進む データ移行の範囲承認フローの階層既存連携の扱い 後半で全部まとめて揉める 一覧にして期限と担当を置く 論点 いつ・誰が決める データ移行の範囲今週 / 情シス承認フローの階層月内 / 業務部既存連携の扱い未定 → 要確認 進捗より先に、決まっていないことの一覧を共有する 営業が持ち帰るべきものは、たいていこの表の中にある
決まっていない論点を一覧にし、期限と担当を置く。

本書が実務として重く扱うのが、未決事項の管理だ。決めていないことを一覧にして、いつ誰が決めるかを置く。

  • データ移行の範囲 … 今週 / 情シス
  • 既存連携の扱い … 未定。ここが後半で揉める

営業が顧客から持ち帰るべきものは、たいていこの表の中にある。

いちこ

いちこ

「決まっていないこと」を出すのは、怒られそうです。
シュン

シュン

後半に全部まとめて出てくるほうが怒られるよ。早く出したほうが安いんだ。

この本の限界と、次に読む本

網羅的で、通読には時間がかかる。期日と範囲の考え方だけなら アジャイルサムライ のほうが短い。発注側の責任範囲なら 06 対象 / 発注者の視点 に並べている。

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