進捗は順調と聞いていた。それがテストで崩れる。遅れの原因が見える場所と起きる場所のズレを扱う論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 開発を含む案件を売る
- 期日の交渉で後手に回る
- PMと話が噛み合わない
−おすすめしない人
- PMBOKなどの体系を学びたい
- 開発を含まない商材を扱う
著者について
橋本将功
プロジェクト支援会社 代表
- 経歴
- 20年以上にわたりWebやシステム開発の案件に関わってきた
- 実績
- 交渉・見積もり・契約から要件定義・テスト・保守までを一冊で通して扱った
目的
進捗会議では順調だった。テストに入った途端に話が変わり、期日が動く。顧客にも説明がつかない。
管理が甘いのではなく、遅れが見える場所と、生まれる場所が離れている。本書を読む目的は、工程全体を一本で見る目を持つことにある。
論点1 遅れが見えた時点で、原因は過去にある
本書は要件定義から保守までを通して扱う。そこで分かるのは、曖昧さは前半で生まれ、遅れは後半で見えるという時差だ。
- 要件定義 … 決めなかったことが残る
- テスト … 数か月後に遅れとして現れる
テスト工程で人を足しても効かないのは、原因がそこにないからだ。巻き返しより、前半で何を決めなかったかを見る。
いちこ
進捗が順調という報告は、何を見ていたんでしょう。
シュン
作業の進み具合だね。決まっていないことの数は、そこに出てこないんだ。
論点2 点で約束すると、調整の余地まで差し出す
見積もりを「3か月」と出すと、1日超えただけで遅延になる。本書が勧めるのは幅と前提をセットで出すことだ。
- 点で出す … 1日でも超えれば遅延になる
- 幅で出す … 「3〜4か月。要件が月内に固まる場合」
幅が縮むのは、前提が消えたときだ。営業の立場でも、顧客に幅のまま伝えられるかで後半の交渉が変わる。
不確実性を幅で扱う考え方は エンジニアリング組織論への招待 のほうが理論寄りに扱っている。
論点3 進捗より先に、決まっていないことを共有する
本書が実務として重く扱うのが、未決事項の管理だ。決めていないことを一覧にして、いつ誰が決めるかを置く。
- データ移行の範囲 … 今週 / 情シス
- 既存連携の扱い … 未定。ここが後半で揉める
営業が顧客から持ち帰るべきものは、たいていこの表の中にある。
いちこ
「決まっていないこと」を出すのは、怒られそうです。
シュン
後半に全部まとめて出てくるほうが怒られるよ。早く出したほうが安いんだ。
この本の限界と、次に読む本
網羅的で、通読には時間がかかる。期日と範囲の考え方だけなら アジャイルサムライ のほうが短い。発注側の責任範囲なら 06 対象 / 発注者の視点 に並べている。
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