遅れているから人を増やす。その判断がなぜ裏目に出るのかを扱う論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 開発の遅れを顧客に説明する
- 増員で解決しようとしている
- 見積もりの前提を知りたい
−おすすめしない人
- すぐ使える手順が欲しい
- 開発に関わらない
著者について
フレデリック・P・ブルックス
元・IBM OS開発責任者
- 経歴
- IBMで大規模OSの開発を率いた
- 実績
- その経験からソフトウェア開発の本質的な難しさを論じ、1975年の原著は現在も参照され続けている
目的
開発が遅れている。顧客にも説明がつかない。人を追加してもらった。さらに遅れた。
追加した人が悪いのではなく、人数と期間を交換できない種類の仕事だった。本書を読む目的は、その区別を持つことにある。
論点1 人数が2倍になると、やりとりは5倍になる
3人なら経路は3本。6人なら15本になる。人数の増え方より、やりとりの増え方のほうが速い。
加えて、追加された人は状況を理解するまで既存メンバーの時間を使う。だから遅れている案件に人を足すと、さらに遅れる。
いちこ
でも人が足りないときは、どうすればいいんでしょう。
シュン
範囲を削るか、期日を動かすかだね。人を足すのは、実は一番効かない選択肢なんだ。
論点2 人月で見積もれるのは、分けられる仕事だけ
- 分けられる … 1000件のデータ入力。人数を倍にすれば半分の時間
- 分けられない … 設計を考える、要件をまとめる。倍にしても縮まない
顧客に人数で説明すると、縮められる前提が共有されてしまう。「3人月」と言った瞬間、「6人なら半月」と思われる。
論点3 道具が進むほど、残るのは「何を作るか」
手で書く、繰り返す、間違える。こうした作業の難しさは道具で大きく減ってきた。
だが何を作るべきかを決める難しさは、道具では減らない。営業が持ち帰る顧客の困りごとは、まさにここに効く。
いちこ
技術が進んでも、楽にならない部分があるんですね。
シュン
むしろそこだけが残るんだ。だから「何に困ってるか」を持ち帰る仕事の価値は下がらないんだよ。
この本の限界と、次に読む本
1975年の原著で、事例は当時の大型計算機が舞台になる。具体例はほぼ参考にならない。構造の指摘だけを取る読み方になる。期日の交渉なら アジャイルサムライ、不確実性の扱いなら エンジニアリング組織論への招待 が隣に並ぶ。
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プロジェクトマネジメントのほかの本
- プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本 橋本将功
- ザ・ゴール エリヤフ・ゴールドラット