チャレンジャー・セールス・モデル の書影

チャレンジャー・セールス・モデル

成約に直結させる「指導」「適応」「支配」

マシュー・ディクソン・ブレント・アダムソン

関係は良好なのに、肝心なときに選ばれない。複雑な商談で何が効くのかを、調査データから示した本。論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 関係は良いのに失注する
  • 価格競争になりやすい
  • 決裁者が複数いる商談を扱う

−おすすめしない人

  • 単価が小さく即決が中心
  • 顧客側から相談が来る状態ができている

著者について

マシュー・ディクソン・ブレント・アダムソン

CEB(現ガートナー)の法人営業研究チーム

経歴
CEBで法人営業の大規模調査に携わってきた
実績
6000人超の営業担当者を分析し、成果を出す型を5つに分類した

海と月社 / 2015年11月

目的

担当者とは良い関係ができている。よく会っているし、頼まれごとにも応えている。それなのに、大きな案件は他社に決まる。

本書が扱うのは、関係の良さが成果に直結しない場面がある、という事実だ。読む目的は、商談の複雑さに応じて何を変えるべきかを知ることにある。

論点1 商談が複雑になると、勝つ型が変わる

単純な商談 複雑な商談 関係構築を重ねる 要望に丁寧に応える 議論を仕掛ける 商談が複雑になるほど、「好かれる」より「考えを変えさせる」が効く
単純な商談と複雑な商談では、成果を出す行動が入れ替わる。

著者らは多数の営業担当者を調査し、行動の型によって成績がどう変わるかを調べている。結果として示されるのは、商談の複雑さによって勝つ型が変わるということだ。

  • 単純な商談 … 関係構築や丁寧な対応が効きやすい
  • 複雑な商談 … 顧客の考えを動かす行動が効く

関係構築が無駄なのではない。複雑な商談では、それだけでは足りないということになる。

いちこ

いちこ

好かれるのが一番だと思っていました。
シュン

シュン

好かれるのは前提だよ。ただ、決裁者が複数いる商談だと「いい人」だけでは理由にならないんだ。

論点2 伝えるのではなく、見方を変える

情報を伝える 「こういう機能があります」 「事例はこちらです」 → 検索でも手に入る 見方を変える 「その前提、崩れていませんか」 顧客が気づいていない損を示す → ここでしか得られない 顧客が自力で辿り着ける話をしても、会う理由にはならない
検索で手に入る情報を渡すことと、顧客の前提を揺らすことは違う。

本書が中心に置くのが「指導」だ。これは製品の説明や事例紹介のことではない。顧客が気づいていない損を示して、前提を揺らすことを指す。

機能や事例は検索でも手に入る。会う理由になるのは、自社の立場からしか見えない視点を渡せるときだけになる。

次の提案に「御社はこの点で損をしている可能性がある」という一節を入れられるか試してみる。入れられないなら、その提案は検索で代替できる内容かもしれない。

論点3 価格の話から逃げない

譲歩で進める 論点で進める 「ご予算に合わせます」 「その予算だと何を諦めますか」 価格の話を避ける 価格の話を先に持ち出す 相手の要望をすべて飲む 合わない要望はその場で言う 押しの強さではなく、議論を引き受ける姿勢のこと
譲歩して進めるのか、論点を示して進めるのか。

もう一つが主導権の話だ。これは強引さのことではなく、議論を引き受ける姿勢を指している。

  • 譲歩で進める … 予算に合わせます、と要望をすべて飲む
  • 論点で進める … その予算だと何を諦めますか、と選択を示す

価格の話を避けると、最後に価格だけで比較される。先に持ち出して、何を得て何を諦めるのかの議論にしたほうが、提案の中身が評価される。

いちこ

いちこ

値引きの話を後回しにしていました。
シュン

シュン

後回しにすると、結局そこだけで決まるんだ。早めに論点に変えたほうがいいよ。

この本の限界と、次に読む本

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