関係は良好なのに、肝心なときに選ばれない。複雑な商談で何が効くのかを、調査データから示した本。論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 関係は良いのに失注する
- 価格競争になりやすい
- 決裁者が複数いる商談を扱う
−おすすめしない人
- 単価が小さく即決が中心
- 顧客側から相談が来る状態ができている
著者について
マシュー・ディクソン・ブレント・アダムソン
CEB(現ガートナー)の法人営業研究チーム
- 経歴
- CEBで法人営業の大規模調査に携わってきた
- 実績
- 6000人超の営業担当者を分析し、成果を出す型を5つに分類した
目的
担当者とは良い関係ができている。よく会っているし、頼まれごとにも応えている。それなのに、大きな案件は他社に決まる。
本書が扱うのは、関係の良さが成果に直結しない場面がある、という事実だ。読む目的は、商談の複雑さに応じて何を変えるべきかを知ることにある。
論点1 商談が複雑になると、勝つ型が変わる
著者らは多数の営業担当者を調査し、行動の型によって成績がどう変わるかを調べている。結果として示されるのは、商談の複雑さによって勝つ型が変わるということだ。
- 単純な商談 … 関係構築や丁寧な対応が効きやすい
- 複雑な商談 … 顧客の考えを動かす行動が効く
関係構築が無駄なのではない。複雑な商談では、それだけでは足りないということになる。
いちこ
好かれるのが一番だと思っていました。
シュン
好かれるのは前提だよ。ただ、決裁者が複数いる商談だと「いい人」だけでは理由にならないんだ。
論点2 伝えるのではなく、見方を変える
本書が中心に置くのが「指導」だ。これは製品の説明や事例紹介のことではない。顧客が気づいていない損を示して、前提を揺らすことを指す。
機能や事例は検索でも手に入る。会う理由になるのは、自社の立場からしか見えない視点を渡せるときだけになる。
次の提案に「御社はこの点で損をしている可能性がある」という一節を入れられるか試してみる。入れられないなら、その提案は検索で代替できる内容かもしれない。
論点3 価格の話から逃げない
もう一つが主導権の話だ。これは強引さのことではなく、議論を引き受ける姿勢を指している。
- 譲歩で進める … 予算に合わせます、と要望をすべて飲む
- 論点で進める … その予算だと何を諦めますか、と選択を示す
価格の話を避けると、最後に価格だけで比較される。先に持ち出して、何を得て何を諦めるのかの議論にしたほうが、提案の中身が評価される。
いちこ
値引きの話を後回しにしていました。
シュン
後回しにすると、結局そこだけで決まるんだ。早めに論点に変えたほうがいいよ。
この本の限界と、次に読む本
何を聞くかの設計から入るなら、ニール・ラッカム『SPIN営業術』が先にある。日本のBtoB現場に寄せた実装なら、高橋浩一『無敗営業』のほうが近い。
Amazonで見る Amazonのアソシエイトとして、SaleStats Lab は適格販売により収入を得ています。
提案と価値訴求のほかの本
- アイデアのちから チップ・ハース・ダン・ハース