無敗営業 の書影

無敗営業

「3つの質問」と「4つの力」

高橋浩一

手応えのあった商談が決まらない。売り手と買い手で何がズレているのかを、買い手調査から解き明かす本。論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 手応えと結果が合わない
  • コンペで負けることが多い
  • 日本のBtoB商材を扱っている

−おすすめしない人

  • 営業理論の原典を読みたい
  • 単価が小さく即決が中心

著者について

高橋浩一

TORiX 代表

経歴
コンペでの勝率を題材にした営業支援を手がけてきた
実績
商談で聞けていない状態を、質問の型と準備で埋める方法を体系化した

日経BP / 2019年10月

目的

商談は盛り上がった。要望も聞けた。提案も刺さったはずだ。それなのに結果は失注で、理由は「他社さんに決まりました」。

本書の出発点は、売り手の手応えと買い手の評価がずれているという事実にある。読む目的は、そのズレがどこで生まれるのかを知ることだ。

論点1 「いい商談だった」ときほど、ズレは見えていない

売り手の認識 要望は正確に聞けている 提案は的を射ている あとは価格の問題 買い手の認識 本当の事情は話していない どこも似た提案に見える 決め手がないので先送り ⇄ 「いい商談だった」と感じるときほど、ズレは見えていない
売り手の認識と買い手の認識は、同じ商談でも食い違っている。

著者は買い手側への調査をもとに、両者の認識の差を示す。売り手が「要望は正確に聞けた」と思っているとき、買い手は「本当の事情は話していない」と考えていることがある。

  • 売り手 … 提案は的を射ている。あとは価格の問題
  • 買い手 … どこも似た提案に見える。決め手がないので先送り

手応えは、自分がうまく話せたかどうかで感じるものだ。相手がどう受け取ったかとは別の話になる。

いちこ

いちこ

手応えがあった商談ほど落とすことがあります…。
シュン

シュン

自分がよく喋れた商談は、相手の話を聞けていないことが多いんだ。

論点2 3つの軸が埋まっていない商談は、進んでいない

何を 解決したい課題と、その優先度 誰が 決める人と、反対しそうな人 いつまでに 動く理由になっている期限 1つでも空欄なら、その商談はまだ前に進んでいない 埋まっていない欄が、次の商談で聞くことになる
何を・誰が・いつまでに。1つでも空欄なら商談は前に進んでいない。

本書が示す確認の軸は単純だ。何を解決したいのか、誰が決めるのか、いつまでにやるのか。

  • 何を … 課題と、その優先度。他の課題より上かどうか
  • 誰が … 決裁者と、反対しそうな人
  • いつまでに … 動く理由になっている期限
商談後にこの3つを埋めてみる。埋まらない欄が、次の商談で聞くことになる。「いい感じでした」という報告は、これで具体化できる。

3つが揃っているかで案件の確度を見ると、ヨミの精度も上がる。申告と実績の較正は ヨミ・着地見込みは当たっているか に。

論点3 どこまで聞けたかが、信頼の度合いを表す

公開情報レベル 調べれば分かること 表向きの要望 提案依頼書に書いてあること 本当の事情 社内の力関係、予算の裏側 まだ言葉になっていない不安 言ってもらえたら、ほぼ決まる 深い 浅い どこまで聞けたかが、そのまま信頼の度合いを表す
調べれば分かることしか聞けていないのか、まだ言葉になっていない不安まで聞けたのか。

同じ質問をしても、返ってくる情報の深さは相手によって違う。本書はこれを技術の差ではなく信頼の度合いとして捉える。

提案依頼書に書いてあることしか聞けていないなら、競合も同じ情報を持っている。差がつくのは、社内の力関係や予算の裏側といった、書かれていない部分を話してもらえるかどうかだ。

いちこ

いちこ

質問の仕方の問題だと思っていました。
シュン

シュン

半分はそう。でも同じ質問でも、信頼がない相手には本当のことを言わないよね。順番があるんだ。

この本の限界と、次に読む本

買い手調査という裏づけを持ちながら、日本のBtoB現場に合わせて書かれているのが強みになる。質問技術の原理から辿りたいなら、ニール・ラッカム『SPIN営業術』が元にあたる。組織として仕組みにするなら、同じ著者の『無敗営業 チーム戦略』が続編になる。

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