アイデアのちから の書影

アイデアのちから

チップ・ハース・ダン・ハース

説明は尽くした。だが翌日には忘れられている。残る形に書き換える論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 提案が社内で別物になって伝わる
  • 提案書の表現を見直したい
  • 若手に書き方を教える

−おすすめしない人

  • 話の構成から学びたい
  • BtoBの事例が欲しい

著者について

チップ・ハース・ダン・ハース

スタンフォード大学経営大学院 教授 / デューク大学 研究者

経歴
兄弟でそれぞれ経営学と公共政策を研究してきた
実績
記憶に残る話と忘れられる話の違いを、多数の事例から6つの性質に整理した

日経BP / 2008年11月

目的

提案の場では頷いてもらえた。だが社内で共有されるときには、別物になって伝わっている。

説明不足ではなく、持ち帰れる形になっていない。本書を読む目的は、残る話の性質を知って書き換えることにある。

論点1 全部は要らない。欠けている1つを足す

単純 核をひとつに絞る 意外性 予想を一度外す 具体性 数字と場面で言う 信頼性 確かめられる形で出す 感情 誰の話かが見える 物語 順を追って語れる 提案で先に効くのは、上の3つ 全部を狙う必要はない。欠けている1つを足すだけで変わる
記憶に残る話が持つ6つの性質。

本書が取り出すのは6つだが、提案で先に効くのは上の3つになる。

  • 単純 … 核をひとつに絞る
  • 意外性 … 予想を一度外す
  • 具体性 … 数字と場面で言う

全部を狙う必要はない。自分の提案に欠けている1つを足すだけで変わる。

いちこ

いちこ

6つ全部を入れようとすると、長くなりそうです。
シュン

シュン

長くなるね。しかも単純さが壊れるから、逆効果なんだ。1つでいいんだよ。

論点2 詳しくなるほど、通じない言葉を選ぶ

自分の理解 扱った期間 自分 初めて聞く相手 この差が見えなくなる 詳しくなるほど、相手に通じない言葉を選ぶようになる
詳しくなるほど、相手との理解の差が見えなくなる。

自分の理解は時間とともに上がるが、初めて聞く相手の位置は変わらない。この差が見えなくなる。

業界歴が長いほど、自社の商材を説明する言葉は内輪向けになっていく。自分では気づけないので、仕組みで点検するしかない。

論点3 具体の側だけが記憶に残る

業務を効率化します 1件30分の入力が5分になります 導入実績が豊富です 同じ300名規模で12社が使っています 手厚くサポートします 専任が週1回、30分の定例に入ります 同じ内容でも、具体の側だけが記憶に残る 提案書の表現を左から右へ書き換えるだけで、伝わり方が変わる
抽象的な表現を、具体的な数字と場面に置き換える。
  • 「業務を効率化します」 → 「1件30分の入力が5分になります」
  • 「導入実績が豊富です」 → 「同じ300名規模で12社が使っています」
  • 「手厚くサポートします」 → 「専任が週1回、30分の定例に入ります」

提案書の表現を左から右へ書き換えるだけで、伝わり方が変わる。

直近の提案書から抽象的な一文を3つ拾い、右側の形に書き換えてみる。
いちこ

いちこ

具体的に書くと、約束になってしまいませんか。
シュン

シュン

なるね。でも約束にならない提案は、そもそも検討もされないんだ。

この本の限界と、次に読む本

事例は都市伝説や公共広告が中心で、法人営業の話は出てこない。性質だけを取る読み方になる。構成の型なら ザ・プレゼンテーション、文書の構造なら ロジカル・シンキング が隣に並ぶ。

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