カスタマーサクセスとは何か の書影

カスタマーサクセスとは何か

日本企業にこそ必要な「これからの顧客との付き合い方」

弘子ラザヴィ

導入は終わった。それでも更新されない。何を成功と呼ぶかから決めるための論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 継続課金の商材を扱う
  • 解約が読めない
  • 日本企業で組織を変える立場

−おすすめしない人

  • 売り切り型の商材のみ
  • 指標設計の詳細が欲しい

著者について

弘子ラザヴィ

サクセスラボ 代表

経歴
シリコンバレーと日本の双方で経営に携わってきた
実績
日本企業の商習慣を前提にカスタマーサクセスの導入を支援してきた

英治出版 / 2019年7月

目的

導入は完了した。問い合わせにも答えている。それなのに更新のタイミングで解約される。

対応が悪いのではなく、何を成功と呼ぶかを誰も決めていない。本書を読む目的は、受け身の支援から先に動く設計へ変えることにある。

論点1 導入の完了は、顧客の成功ではない

導入を成功とみなす 契約した 導入が終わった 使われないまま更新時期 解約される 顧客の成果を成功とみなす 何が達成なのか決める 到達まで伴走する 更新と拡大が起きる 何を成功と呼ぶかを決めないと、誰も伴走できない
導入を成功とみなす場合と、顧客の成果を成功とみなす場合。

本書が最初に置くのが、成功の定義だ。契約と導入は売り手側の節目でしかない。

  • 導入を成功とみなす … 使われないまま更新時期を迎え、解約される
  • 顧客の成果を成功とみなす … 何が達成かを決め、到達まで伴走する

定義がないと、誰も伴走できない。「満足度」のような曖昧な指標では、何をすればいいかが決まらない。

いちこ

いちこ

導入が終われば一区切りだと思っていました。
シュン

シュン

売り切りならそうだね。継続課金だと、そこからが本番になるんだ。

論点2 受注のために上げた期待は、受注後に請求される

受注 受注前 「すぐ使えます」「全部できます」 受注後 期待との差を、伴走側が埋めることになる 受注のために上げた期待は、受注後に請求される 売り方そのものが、継続率に効いている
受注前に上げた期待が、受注後に負債として返ってくる。

「すぐ使えます」「全部できます」で取った案件は、期待との差を伴走側が埋めることになる。

営業の売り方そのものが継続率に効いている。受注後の数字が悪い組織では、受注前の説明を見直す必要がある。

直近の解約を3件振り返って、受注時にどんな期待を渡していたかを確認する。原因が受注前にあることが多い。

論点3 サポートの名前を変えるだけでは変わらない

既存の体制 営業受注までサポート問い合わせに答える保守壊れたら直す 全員が受け身。成果を見る人がいない 追加される役割 成果の定義何が達成かを顧客と決める利用の監視使われ方を数字で見る先に動く減ったら自分から連絡する 待たずに動く役割を置く サポートの名前を変えるだけでは、何も変わらない
既存の体制と、カスタマーサクセスで追加される役割。

本書は日本企業の商習慣を前提に、既存の体制との違いを整理する。営業・サポート・保守はいずれも受け身だ。

  • 成果の定義 … 何が達成かを顧客と決める
  • 利用の監視 … 使われ方を数字で見る
  • 先に動く … 減ったら自分から連絡する

待たずに動く役割を置かないまま看板を替えても、何も変わらない。売上構造の側は カスタマーサクセス のほうが詳しい。

いちこ

いちこ

問い合わせがないお客様は、順調だと思っていました。
シュン

シュン

そこが危ないんだ。問い合わせが止まるのは、使っていないサインでもあるからね。

この本の限界と、次に読む本

概念の整理が中心で、指標や運用の細部は薄い。原典にあたる カスタマーサクセス と合わせると、考え方と仕組みが揃う。日本の商習慣に落とす部分は本書のほうが有用。

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