導入は終わった。それでも更新されない。何を成功と呼ぶかから決めるための論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 継続課金の商材を扱う
- 解約が読めない
- 日本企業で組織を変える立場
−おすすめしない人
- 売り切り型の商材のみ
- 指標設計の詳細が欲しい
著者について
弘子ラザヴィ
サクセスラボ 代表
- 経歴
- シリコンバレーと日本の双方で経営に携わってきた
- 実績
- 日本企業の商習慣を前提にカスタマーサクセスの導入を支援してきた
目的
導入は完了した。問い合わせにも答えている。それなのに更新のタイミングで解約される。
対応が悪いのではなく、何を成功と呼ぶかを誰も決めていない。本書を読む目的は、受け身の支援から先に動く設計へ変えることにある。
論点1 導入の完了は、顧客の成功ではない
本書が最初に置くのが、成功の定義だ。契約と導入は売り手側の節目でしかない。
- 導入を成功とみなす … 使われないまま更新時期を迎え、解約される
- 顧客の成果を成功とみなす … 何が達成かを決め、到達まで伴走する
定義がないと、誰も伴走できない。「満足度」のような曖昧な指標では、何をすればいいかが決まらない。
いちこ
導入が終われば一区切りだと思っていました。
シュン
売り切りならそうだね。継続課金だと、そこからが本番になるんだ。
論点2 受注のために上げた期待は、受注後に請求される
「すぐ使えます」「全部できます」で取った案件は、期待との差を伴走側が埋めることになる。
営業の売り方そのものが継続率に効いている。受注後の数字が悪い組織では、受注前の説明を見直す必要がある。
直近の解約を3件振り返って、受注時にどんな期待を渡していたかを確認する。原因が受注前にあることが多い。
論点3 サポートの名前を変えるだけでは変わらない
本書は日本企業の商習慣を前提に、既存の体制との違いを整理する。営業・サポート・保守はいずれも受け身だ。
- 成果の定義 … 何が達成かを顧客と決める
- 利用の監視 … 使われ方を数字で見る
- 先に動く … 減ったら自分から連絡する
待たずに動く役割を置かないまま看板を替えても、何も変わらない。売上構造の側は カスタマーサクセス のほうが詳しい。
いちこ
問い合わせがないお客様は、順調だと思っていました。
シュン
そこが危ないんだ。問い合わせが止まるのは、使っていないサインでもあるからね。
この本の限界と、次に読む本
概念の整理が中心で、指標や運用の細部は薄い。原典にあたる カスタマーサクセス と合わせると、考え方と仕組みが揃う。日本の商習慣に落とす部分は本書のほうが有用。
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カスタマーサクセスのほかの本
- カスタマーサクセス ニック・メータ・ダン・スタインマン・リンカーン・マーフィー
- カスタマーサクセス・プロフェッショナル アシュヴィン・ヴァイディアナサン・ルーベン・ラバゴ
- サブスクリプション ティエン・ツォ・ゲイブ・ワイザート