カスタマーサクセス の書影

カスタマーサクセス

サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則

ニック・メータ・ダン・スタインマン・リンカーン・マーフィー

受注したら営業の仕事は終わり、という前提が通じなくなる。継続課金で何が変わるのかを整理する論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 継続課金の商材を扱う
  • 新規は取れるが積み上がらない
  • CS部門を立ち上げる

−おすすめしない人

  • 売り切り中心の商材
  • 日本企業の具体的な運用例を求めている

著者について

ニック・メータ・ダン・スタインマン・リンカーン・マーフィー

Gainsight 共同創業者ほか

経歴
継続課金型の事業を支えるカスタマーサクセスの実務と研究に携わってきた
実績
カスタマーサクセスという職種と考え方を体系化した原典にあたる

英治出版 / 2018年6月

目的

新規は取れている。それなのに売上が積み上がらない。調べると、去年獲得した顧客が静かに抜けていた。

獲得の問題ではなく、受注後を誰も見ていないことが原因になっている。本書を読む目的は、受注をゴールから出発点に置き換えることにある。

論点1 売上の形が変わると、労力のかけ先が変わる

売り切り 継続課金 契約時 以降は無し 受注した瞬間が売上の山 契約時 積み上がる 受注はスタート地点にすぎない 売上の形が変われば、受注後にかける労力の意味も変わる
売り切りは受注時が山。継続課金は受注後に積み上がる。

本書の出発点は収益構造の違いにある。売り切りなら契約時が売上の山で、以降は別の案件を探すことになる。継続課金では受注はスタート地点にすぎない。

  • 売り切り … 取ったあとの労力は、次の案件に向ける
  • 継続課金 … 取ったあとの労力が、来期の売上になる

同じ「営業組織」でも、この違いを踏まえないと人の配置が合わなくなる。新規獲得に全員を置くと、翌年に穴が空く。

いちこ

いちこ

受注したら次の案件、と思っていました。
シュン

シュン

売り切りならそれで正しいんだ。ただ継続課金だと、そこからが本番になる。

論点2 解約は突然ではなく、兆候がある

利用が減る 問い合わせが止まる 担当者が異動 解約連絡 ここで気づけば、まだ手が打てる 利用状況は毎日見える数字になっている ここでは手遅れ 解約は突然ではなく、見ていなかっただけ
利用の減少から解約連絡まで、間には時間がある。

解約は予告なく来るように見えるが、本書の立場では見ていなかっただけになる。利用状況は毎日見える数字として存在している。

  • 利用が減る → まだ手が打てる
  • 問い合わせが止まる → やや危ない
  • 担当者が異動 → かなり危ない
  • 解約連絡 → この時点ではもう遅い

どの兆候をどの水準で拾うかを決めておくかどうかで、対応できる件数が変わる。ばらつきの読み方は 分散・標準偏差 に。

論点3 営業が上げた期待は、受注後に請求される

営業 期待を上げて契約を取る カスタマーサクセス 約束を実現する側 期待とのズレ → 解約の芽 無理に上げた期待は、受注後に請求書として回ってくる 何を約束したかを引き継ぐことが、最初の解約対策になる
営業が約束した内容が引き継がれないと、期待とのズレが解約の芽になる。

ここは営業側から読んだときに最も効く論点になる。受注を取るために期待を上げると、その差は受注後に誰かが埋めることになる。

何を約束したのかが引き継がれていないと、顧客側は「話が違う」と感じる。最初の解約対策は、商談で何を言ったかを正確に渡すことになる。

引き継ぎで渡す項目を3つ決める。1. 顧客が解決したいこと 2. こちらが約束したこと 3. 約束していないが期待されていそうなこと。3つ目が最も漏れる。
いちこ

いちこ

「言っていないけど期待されていること」は盲点でした。
シュン

シュン

そこが一番こじれるんだ。言っていないから記録にも残らないしね。

この本の限界と、次に読む本

米国企業の事例が中心なので、日本の商習慣に寄せた記述を求めるなら弘子ラザヴィ『カスタマーサクセスとは何か』のほうが近い。工程全体の設計なら、福田康隆『THE MODEL』と並べて読むとよい。

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