受注したら営業の仕事は終わり、という前提が通じなくなる。継続課金で何が変わるのかを整理する論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 継続課金の商材を扱う
- 新規は取れるが積み上がらない
- CS部門を立ち上げる
−おすすめしない人
- 売り切り中心の商材
- 日本企業の具体的な運用例を求めている
著者について
ニック・メータ・ダン・スタインマン・リンカーン・マーフィー
Gainsight 共同創業者ほか
- 経歴
- 継続課金型の事業を支えるカスタマーサクセスの実務と研究に携わってきた
- 実績
- カスタマーサクセスという職種と考え方を体系化した原典にあたる
目的
新規は取れている。それなのに売上が積み上がらない。調べると、去年獲得した顧客が静かに抜けていた。
獲得の問題ではなく、受注後を誰も見ていないことが原因になっている。本書を読む目的は、受注をゴールから出発点に置き換えることにある。
論点1 売上の形が変わると、労力のかけ先が変わる
本書の出発点は収益構造の違いにある。売り切りなら契約時が売上の山で、以降は別の案件を探すことになる。継続課金では受注はスタート地点にすぎない。
- 売り切り … 取ったあとの労力は、次の案件に向ける
- 継続課金 … 取ったあとの労力が、来期の売上になる
同じ「営業組織」でも、この違いを踏まえないと人の配置が合わなくなる。新規獲得に全員を置くと、翌年に穴が空く。
いちこ
受注したら次の案件、と思っていました。
シュン
売り切りならそれで正しいんだ。ただ継続課金だと、そこからが本番になる。
論点2 解約は突然ではなく、兆候がある
解約は予告なく来るように見えるが、本書の立場では見ていなかっただけになる。利用状況は毎日見える数字として存在している。
- 利用が減る → まだ手が打てる
- 問い合わせが止まる → やや危ない
- 担当者が異動 → かなり危ない
- 解約連絡 → この時点ではもう遅い
どの兆候をどの水準で拾うかを決めておくかどうかで、対応できる件数が変わる。ばらつきの読み方は 分散・標準偏差 に。
論点3 営業が上げた期待は、受注後に請求される
ここは営業側から読んだときに最も効く論点になる。受注を取るために期待を上げると、その差は受注後に誰かが埋めることになる。
何を約束したのかが引き継がれていないと、顧客側は「話が違う」と感じる。最初の解約対策は、商談で何を言ったかを正確に渡すことになる。
引き継ぎで渡す項目を3つ決める。1. 顧客が解決したいこと 2. こちらが約束したこと 3. 約束していないが期待されていそうなこと。3つ目が最も漏れる。
いちこ
「言っていないけど期待されていること」は盲点でした。
シュン
そこが一番こじれるんだ。言っていないから記録にも残らないしね。
この本の限界と、次に読む本
米国企業の事例が中心なので、日本の商習慣に寄せた記述を求めるなら弘子ラザヴィ『カスタマーサクセスとは何か』のほうが近い。工程全体の設計なら、福田康隆『THE MODEL』と並べて読むとよい。
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カスタマーサクセスのほかの本
- カスタマーサクセスとは何か 弘子ラザヴィ
- カスタマーサクセス・プロフェッショナル アシュヴィン・ヴァイディアナサン・ルーベン・ラバゴ
- サブスクリプション ティエン・ツォ・ゲイブ・ワイザート