ジョブ型人事制度の教科書 の書影

ジョブ型人事制度の教科書

日本企業のための制度構築とその運用法

柴田彰・加藤守和

ジョブ型という言葉だけが先行している。何が変わるのかを押さえる論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 自社がジョブ型に移行する
  • 役割を言葉にする必要がある
  • 制度の話を人事と詰めたい

−おすすめしない人

  • 制度変更の予定がない
  • 面談の技術を学びたい

著者について

柴田彰・加藤守和

コーン・フェリー 人事コンサルタント

経歴
ともにコーン・フェリーで人事制度の設計に携わってきた
実績
日本企業がジョブ型を導入する際につまずく点を実務の手順に落とした

日本能率協会マネジメントセンター / 2021年3月

目的

会社がジョブ型に移行すると言っている。等級の名前が変わるらしい。自分のチームで何が変わるのか分からない。

説明が足りないのではなく、制度の背骨が何かを知らない。本書を読む目的は、変わる部分を具体的に掴むことにある。

論点1 人に値段をつけるか、仕事に値段をつけるか

人に値段をつける 能力・経験年数で等級が決まる 異動しても処遇は変わらない 配置を動かしやすい 何をすると上がるかが曖昧 仕事に値段をつける 担う仕事の内容で処遇が決まる 役割が変われば処遇も変わる 何をすると上がるかが見える 配置の自由度は下がる どちらが優れているかではなく、何を優先するかの選択になる 片方の長所だけを取ることはできない
人の能力で処遇を決める形と、仕事の内容で決める形。
  • 人に値段 … 異動しても処遇は変わらない。配置を動かしやすいが、上がる条件が曖昧
  • 仕事に値段 … 役割が変われば処遇も変わる。上がる条件は見えるが、配置の自由度は下がる

どちらが優れているかではなく、何を優先するかの選択になる。片方の長所だけを取ることはできない。

いちこ

いちこ

いいとこ取りはできないんですか。
シュン

シュン

できないんだよね。配置の自由と、処遇の明快さは裏表だから。そこを曖昧にしたまま導入すると混乱するんだ。

論点2 職務記述書が無いと、運用は従来のままになる

職務記述書 何をする役割で、何ができていれば良いか 採用評価育成 これが無いまま等級だけ作ると、運用が従来のままになる 書くのに手間がかかり、ここで止まる企業が多い
職務記述書が採用・評価・育成の共通の土台になる。

何をする役割で、何ができていれば良いか。これを書いたものが制度の中心になる。

書くのに手間がかかり、ここで止まる企業が多い。等級の名前だけ変えても、評価も育成も従来どおりになる。

論点3 現場の管理職の仕事が増える

役割を言葉にする 自分のチームの各ポジションを書き出す 期待を明示する 何ができていれば良いかを本人と合意する 合わない場合に動かす 役割と人が合っていない状態を放置しない 制度を入れると、現場の管理職の仕事が増える ここを人事任せにすると、名前だけのジョブ型になる
ジョブ型の導入で現場の管理職に増える仕事。
  • 役割を言葉にする … 自分のチームの各ポジションを書き出す
  • 期待を明示する … 何ができていれば良いかを本人と合意する
  • 合わない場合に動かす … 役割と人が合っていない状態を放置しない

ここを人事任せにすると、名前だけのジョブ型になる。人事の全体像は 図解人材マネジメント入門 に。

いちこ

いちこ

制度が変わると、楽になると思っていました。
シュン

シュン

逆なんだよね。曖昧にしていた部分を言葉にする作業が、現場に降りてくるんだ。

この本の限界と、次に読む本

制度設計者向けで、記述も実務的。導入予定が無いと読む動機が弱い。人事の全体像なら 図解人材マネジメント入門、評価の思想なら ワーク・ルールズ! が隣に並ぶ。

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この本の考え方を、統計で検証する側の記事です。

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