努力しても利益が出ない業界がある。構造として見るための論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 業界ごとの利益差の理由を知りたい
- 方針を作る立場
- 値引き圧力の出どころを探している
−おすすめしない人
- すぐ使える営業手法が欲しい
- 短く読める戦略書を探している
著者について
M・E・ポーター
ハーバード・ビジネス・スクール 教授
- 経歴
- 業界構造の分析と競争戦略の研究で経営学に大きな影響を与えた
- 実績
- 5つの力や3つの基本戦略の出どころとなった
目的
同じだけ動いているのに、業界によって利益率がまったく違う。自社でも、ある商材だけがどうしても安くしか売れない。
営業の力量ではなく、構造のほうが効いている。本書を読む目的は、その構造に名前をつけて見分けることにある。
論点1 利益が出にくいのは、5つのどれかが強いから
本書が示す枠組みは、業界の利益を5つの力で説明する。新規参入、代替品、買い手の交渉力、売り手の交渉力、既存企業どうしの競争だ。
- 買い手の交渉力が強い … 値引き圧力が構造として続く
- 新規参入が容易 … 単価が下がり続ける
どれが強いかで打てる手が変わる。努力の前に、どの力に押されているかを特定する。
いちこ
値引き圧力は、交渉が弱いせいだと思っていました。
シュン
交渉もあるけどね。買い手が集中している業界だと、構造として下がるんだ。
論点2 「良いものを安く」は左下に落ちる
本書は基本戦略を、コストで勝つか差別化で勝つかに分ける。両方取れる例は稀だ。
- 差別化で勝つ … 高くても選ばれる理由を作る
- コストで勝つ … 安く作れる仕組みを持つ
- どちらでもない … 価格でも理由でも負ける
「良いものを安く」は方針として聞こえがいいが、どちらの軸も取れていない位置を指していることが多い。
論点3 強みは工程単位で特定する
「うちは品質が強い」で止まると、どの工程の話か分からない。本書の価値連鎖は、活動を分解して差の在り処を探す道具だ。
自社が勝っているのは製品そのものではなく、提案から導入までの速さかもしれない。工程まで降りると、守るべき場所と捨てる場所が決まる。
自社の勝ちパターンを、工程名を使って1文で書いてみる。書けないなら、まだ強みが特定できていない。
いちこ
強みを聞かれると、いつも「品質と対応力」と答えていました。
シュン
どの工程の対応力か、まで言えると提案が変わるよ。
この本の限界と、次に読む本
1980年の原著で、記述は重く事例も古い。枠組みの出どころとして要点だけ押さえる読み方が現実的。戦略の組み立て方なら 良い戦略、悪い戦略、日本企業の文脈なら ストーリーとしての競争戦略 のほうが読みやすい。
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競争戦略のほかの本
- ストーリーとしての競争戦略 楠木建
- 良い戦略、悪い戦略 リチャード・P・ルメルト
- ブルー・オーシャン戦略 W・チャン・キム・レネ・モボルニュ