戦略という名前の資料はある。だが目標が並んでいるだけだ。診断から組み立て直すための論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 自社の戦略に違和感がある
- 営業方針を作る立場
- 総花的な計画を変えたい
−おすすめしない人
- 具体的な営業手法を探している
- すぐ使えるフレームが欲しい
著者について
リチャード・P・ルメルト
UCLAアンダーソン経営大学院 教授
- 経歴
- 企業戦略の研究者として長年教鞭をとってきた
- 実績
- 業績の差が業界要因より個別企業の要因で説明されることを実証した研究で知られる
目的
来期の戦略が共有された。売上20%成長、顧客満足度の向上、人材の強化、DXの推進。どれも反対しにくい。
だがそこには何が障害なのかが書かれていない。本書を読む目的は、願望の羅列と戦略を見分ける目を持つことにある。
論点1 診断を飛ばした計画は、やることリストになる
本書は戦略の骨格を3つに分ける。診断・方針・行動が連なって初めて戦略になる、という構成だ。
- 診断 … 何が本当の障害なのか
- 方針 … その障害にどう当たるか
- 行動 … 方針に沿って資源を寄せる
悪い戦略は、1つ目を飛ばして3つ目だけが並ぶ。反対しにくい言葉が多いのは、診断がないからだ。
いちこ
目標が書かれていれば戦略だと思っていました。
シュン
目標は行き先だよね。戦略は、何が邪魔しているかを名指しするところから始まるんだ。
論点2 やらないことを決めた分だけ厚くなる
本書が繰り返すのが集中だ。全方位に配ると、どこでも勝てない厚みになる。
営業組織でも同じことが起きる。新規も既存も、中小も大手も、全部やると言った時点で、どの戦場にも薄い部隊が並ぶ。戦略の中身は、何をやらないかの一覧でほぼ決まる。
来期の計画から「やらないこと」を3つ書き出せるか試す。書けないなら、それは計画で戦略ではない。
論点3 障害を一点に名指しする
リードから受注まで全工程を少しずつ良くしても、結果はあまり動かない。本書の診断の仕事はどこが詰まっているかを名指しすることだ。
- 全工程を改善 … どこも少し良くなって、結果は動かない
- 一点に集める … 稟議で止まるなら、そこにだけ資源を寄せる
工程の掛け算として見る型は THE MODEL、どの数字が効くかの見分けは そのKPI、本当に成果につながるか に。
いちこ
全部やりたくなってしまいます。
シュン
全部やると全部薄くなるんだ。1つ選ぶのが仕事だよ。
この本の限界と、次に読む本
分厚く、事例は欧米企業が中心。日本企業の文脈なら楠木建『ストーリーとしての競争戦略』のほうが読みやすい。合わせて読むと、戦略を論理として見る目が揃う。
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競争戦略のほかの本
- ストーリーとしての競争戦略 楠木建
- 競争の戦略 M・E・ポーター
- ブルー・オーシャン戦略 W・チャン・キム・レネ・モボルニュ