要望は一覧になった。それでも何から作るか決まらない。機能の列挙を優先順位の議論に変える論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 要望の優先順位が決まらない
- 開発と顧客の間に立つ
- 要件定義に同席する
−おすすめしない人
- 開発に関わらない商材を扱う
- 契約や発注の線引きを知りたい
著者について
Jeff Patton
アジャイル開発・プロダクト設計のコンサルタント
- 経歴
- プロダクト設計の支援を長年手がけてきた
- 実績
- ユーザーストーリーマッピングという手法を広めた原典にあたる
目的
顧客の要望を聞き取り、一覧にした。30件並んだ。それを見て、何から作るかの議論が始まらない。
要望が多いのではなく、並べ方が優先順位を考えられない形になっている。本書を読む目的は、一覧を地図に変えることにある。
論点1 縦に並べず、使う流れに沿って置く
本書の中心は並べ方だ。機能を縦に積むのをやめ、利用者が探す・比べる・申し込む・使うという流れで横に置く。
- 縦の一覧 … どれも必要に見えて、削れない
- 横の地図 … 横に薄く切ると、使える最小の一式が取れる
並べ方を変えるだけで、「全部必要です」から「まずこの列」へ議論が動く。顧客との優先順位の会話に使える形になる。
いちこ
一覧にすると、全部必要だと言われてしまいます。
シュン
一覧だとそうなるんだ。流れに置くと、どこが先かは顧客自身が言い出すよ。
論点2 作った数ではなく、起きた変化を見る
本書が区別するのが、作ったものと起きた変化だ。機能12件を予定通り作ったは、何も起きていないことと両立する。
- 作ったもの … 機能12件、予定通り
- 起きた変化 … 入力の手間が半分になった
予定通り作ったのに使われないという状態は、左端だけを見ている。営業が顧客と確かめるべきは真ん中の列になる。
論点3 言葉が一致しても、認識は一致していない
「ダッシュボードが欲しい」で合意した気になる。だが営業は案件一覧を、顧客は経営報告を、開発はグラフを思い描いている。
- 言葉で揃える … 一致した気になるだけ
- 具体で揃える … 誰が、いつ、何を見て、何を決めるのか
商談で聞いた本当の目的を開発に渡す役は営業に回る。渡し方の勘所は アジャイルサムライ のインセプションデッキに。
いちこ
同じ言葉を使っていたので、合意できていると思っていました。
シュン
そこが一番こわいところだね。一致して見えるから、確かめなくなるんだ。
この本の限界と、次に読む本
開発チーム向けに書かれており、分量もある。営業として使うなら、並べ方と優先順位の章だけで足りる。期日と範囲の交渉なら アジャイルサムライ、発注側の責任範囲なら システムを「外注」するときに読む本 が隣に並ぶ。
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要件を形にするのほかの本
- カイゼン・ジャーニー 市谷聡啓・新井剛
- はじめよう!要件定義 羽生章洋