ユーザーストーリーマッピング の書影

ユーザーストーリーマッピング

Jeff Patton

要望は一覧になった。それでも何から作るか決まらない。機能の列挙を優先順位の議論に変える論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 要望の優先順位が決まらない
  • 開発と顧客の間に立つ
  • 要件定義に同席する

−おすすめしない人

  • 開発に関わらない商材を扱う
  • 契約や発注の線引きを知りたい

著者について

Jeff Patton

アジャイル開発・プロダクト設計のコンサルタント

経歴
プロダクト設計の支援を長年手がけてきた
実績
ユーザーストーリーマッピングという手法を広めた原典にあたる

オライリー・ジャパン / 2015年7月

目的

顧客の要望を聞き取り、一覧にした。30件並んだ。それを見て、何から作るかの議論が始まらない。

要望が多いのではなく、並べ方が優先順位を考えられない形になっている。本書を読む目的は、一覧を地図に変えることにある。

論点1 縦に並べず、使う流れに沿って置く

機能の一覧 何から作るか決められない 使う流れに沿って並べる 探す比べる申し込む使う まず出す 次に出す 横に切ると、使える最小の一式が取れる 並べ方を変えるだけで、優先順位の議論ができるようになる
機能を縦に列挙した一覧と、利用の流れに沿って並べた地図。

本書の中心は並べ方だ。機能を縦に積むのをやめ、利用者が探す・比べる・申し込む・使うという流れで横に置く。

  • 縦の一覧 … どれも必要に見えて、削れない
  • 横の地図 … 横に薄く切ると、使える最小の一式が取れる

並べ方を変えるだけで、「全部必要です」から「まずこの列」へ議論が動く。顧客との優先順位の会話に使える形になる。

いちこ

いちこ

一覧にすると、全部必要だと言われてしまいます。
シュン

シュン

一覧だとそうなるんだ。流れに置くと、どこが先かは顧客自身が言い出すよ。

論点2 作った数ではなく、起きた変化を見る

作ったもの 機能12件を予定通り ≠ 起きた変化 入力の手間が半分に 成果 継続される 予定通り作ったのに使われない、は左端だけを見ている状態 営業が顧客と確かめるべきは、真ん中の列
作った機能の数と、利用者に起きた変化を分けて見る。

本書が区別するのが、作ったものと起きた変化だ。機能12件を予定通り作ったは、何も起きていないことと両立する。

  • 作ったもの … 機能12件、予定通り
  • 起きた変化 … 入力の手間が半分になった

予定通り作ったのに使われないという状態は、左端だけを見ている。営業が顧客と確かめるべきは真ん中の列になる。

論点3 言葉が一致しても、認識は一致していない

「ダッシュボードが欲しい」 営業 案件一覧が見たい 顧客 経営報告に使いたい 開発 グラフを並べる 誰が、いつ、何を見て、何を決めるのかまで書く 言葉が一致していることは、認識が一致している証拠にならない
同じ言葉から各自が違うものを思い描いている状態。

「ダッシュボードが欲しい」で合意した気になる。だが営業は案件一覧を、顧客は経営報告を、開発はグラフを思い描いている。

  • 言葉で揃える … 一致した気になるだけ
  • 具体で揃える … 誰が、いつ、何を見て、何を決めるのか

商談で聞いた本当の目的を開発に渡す役は営業に回る。渡し方の勘所は アジャイルサムライ のインセプションデッキに。

いちこ

いちこ

同じ言葉を使っていたので、合意できていると思っていました。
シュン

シュン

そこが一番こわいところだね。一致して見えるから、確かめなくなるんだ。

この本の限界と、次に読む本

開発チーム向けに書かれており、分量もある。営業として使うなら、並べ方と優先順位の章だけで足りる。期日と範囲の交渉なら アジャイルサムライ、発注側の責任範囲なら システムを「外注」するときに読む本 が隣に並ぶ。

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