ブランディングの科学 の書影

ブランディングの科学

バイロン・シャープ

ロイヤル顧客の囲い込みに寄っていないか。購買データが示す別の形を扱う論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 既存顧客の施策ばかり打っている
  • マーケ施策の前提を点検したい
  • 数字で議論したい

−おすすめしない人

  • BtoBの大型案件だけを扱う
  • すぐ使う手順が欲しい

著者について

バイロン・シャープ

南オーストラリア大学 アレンバーグ・バス研究所 所長

経歴
多数のブランドの購買データを分析してきた
実績
マーケティングの通説がデータと合わないことを実証で示した

朝日新聞出版 / 2020年8月

目的

優良顧客との関係を深める施策を打ってきた。満足度も高い。それでも全体の数字が伸びない。

施策が弱いのではなく、売上を作っている層が別にいる。本書を読む目的は、思い込みを購買データで点検することにある。

論点1 売上の大半は、たまにしか買わない多数が作っている

思い込み 少数の熱心な顧客が 売上の大半を作っている ロイヤル顧客の囲い込みに寄る 調査で繰り返し出る形 よく買う たまに買う 人数が多いのは右側。合計も右が大きい たまにしか買わない多数が、売上の大半を作っている 囲い込みより、まず知られて候補に入ることが効く
購入頻度ごとの人数と売上寄与。

「少数の熱心な顧客が売上の大半を作る」という前提は、多くのカテゴリでデータと合わない。

  • よく買う層 … 一人あたりは大きいが、人数が少ない
  • たまに買う層 … 一人あたりは小さいが、人数が圧倒的に多い

囲い込みより、まず知られて候補に入るほうが効く場面が多い。

いちこ

いちこ

既存顧客を大事にするのは間違いということですか?
シュン

シュン

間違いじゃないよ。ただそこ"だけ"だと伸びないんだ。配分の話なんだよね。

論点2 思い出される入口と、買いやすさ

思い出される入口を増やす 「期初の予算組みで」 「担当者が替わった時に」 入口が多いほど、候補に入る回数が増える 買いやすさを増やす 問い合わせ導線・見積の速さ 小さく始められる形 障害が少ないほど、選ばれる確率が上がる 差別化より、この2つの積み上げのほうが売上を説明する 「独自性」を磨いても、思い出されなければ検討に入らない
思い出される入口の数と、買いやすさ。

本書が売上を説明する要因として置くのは2つだ。

  • 思い出される入口 … 「期初の予算組みで」「担当者が替わった時に」
  • 買いやすさ … 問い合わせ導線、見積の速さ、小さく始められる形

独自性を磨いても、思い出されなければ検討に入らない。差別化より、この2つの積み上げのほうが数字を説明する。

論点3 「自社だけのファン層」は思っているより小さい

自社 競合 両方 検討する層 「自社だけのファン層」は、思っているより小さい 顧客像を細かく切り分けるより、重なりを前提に露出を増やす
自社と競合の顧客層は大きく重なっている。

自社の顧客は競合も検討している。重なりを前提にしたほうが実態に近い。

顧客像を細かく切り分けて別の施策を当てるより、露出そのものを増やすほうが効く、というのが本書の立場になる。

いちこ

いちこ

ペルソナを細かく作っていました。
シュン

シュン

作ること自体は悪くないんだ。ただ切り分けた先の層が、実は同じ人たちだったりするんだよね。

この本の限界と、次に読む本

消費財の購買データが中心で、少数の大口が売上を占めるBtoBにはそのまま当てはまらない。大口依存の構造なら ABM アカウントベースドマーケティング、買わない層の見方なら “未”顧客理解 が隣に並ぶ。

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自社の数字で確かめる

この本の考え方を、統計で検証する側の記事です。

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