「市場が悪い」で会議が終わる。市場のどこなら自分たちで動かせるのかを、確率の言葉で切り分ける論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 「市場が悪い」で議論が止まる
- マーケと営業の会話が噛み合わない
- 数字で戦略を語りたい
−おすすめしない人
- 数式が出ると読み進められない
- BtoBの商談手法を探している
著者について
森岡毅・今西聖貴
刀 代表 / 元・USJ マーケティング責任者
- 経歴
- P&G → ユー・エス・ジェイ(USJ)マーケティング責任者 → 刀を設立
- 実績
- USJの入場者数回復を主導し、需要を確率分布として扱う方法を公開した
目的
未達の理由を聞くと「市場環境が厳しい」と返ってくる。反論の材料もないので、会議はそこで終わる。
必要なのは市場を嘆くことではなく、市場のどこが動かせてどこが動かせないかを分けることだ。本書を読む目的は、その切り分けを数字の言葉で持つことにある。
論点1 動かせるのは「選ばれる確率」のほう
本書は売上を、市場そのものの大きさと、その中で自社が選ばれる割合に分けて考える。前者は短期ではほぼ動かない。
- 市場の大きさ … 何人がどれくらいの頻度でこの種の買い物をするか
- 選ばれる割合 … ここが打ち手の置き場所
この切り分けができると、会議の話題が変わる。「市場が悪い」で止まらず、「では選ばれる割合をどう上げるか」に移れる。
いちこ
シュン
論点2 動かせる項は3つしかない
選ばれる割合を、本書はさらに3つに分解する。プレファレンス(選ばれやすさ)、認知、配荷の3つだ。
BtoBに置き換えると、提案の魅力そのもの、自社が候補に入っているか、そして買える状態が整っているか(見積や契約の手続き)になる。
論点3 市場は「たまに買う多数」でできている
本書が数字で示すのは、購買の分布が偏っているという事実だ。何度も買う層は目立つが人数が少なく、総量を支えているのはたまにしか買わない多数のほうになる。
営業の文脈だと、既存の優良顧客を深掘りする施策は見栄えがいいが、対象人数が少ないため総量は動きにくい。一方で、年に1回しか接点のない層のほうが母数は大きい。
分布を見ずに平均だけで判断すると、この構造を見落とす。分布とばらつきの見方は 分散・標準偏差、確率での見込みの立て方は ヨミ・着地見込みは当たっているか に。
いちこ
シュン
この本の限界と、次に読む本
後半は数学的な記述が続くので、そこは飛ばしても前半の考え方だけで十分に使える。統計そのものを学び直すなら、西内啓『統計学が最強の学問である』のほうが入口として軽い。
自社の数字で確かめる
この本の考え方を、統計で検証する側の記事です。
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- ブランディングの科学 バイロン・シャープ