ファスト&スロー の書影

ファスト&スロー

あなたの意思はどのように決まるか?

ダニエル・カーネマン

直感で判断している自覚がない。直感を消すのではなく点検する手順を持つための論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 判断の外し方に法則があると感じる
  • 会議で直感論が強い
  • 提案の組み立てを見直したい

−おすすめしない人

  • 短く実務の手順が欲しい
  • 営業に直結する話だけ読みたい

著者について

ダニエル・カーネマン

プリンストン大学 名誉教授

経歴
心理学者として意思決定研究に従事し、行動経済学の基礎を築いた
実績
2002年にノーベル経済学賞を受賞。本書は半世紀の研究を一般向けにまとめたもの

早川書房 / 2012年11月

目的

「この案件はいける気がする」。根拠を聞かれると後から理屈をつける。当たることもあるが、外れ方に法則がある。

直感が悪いのではなく、直感が働いたことに気づいていない。本書を読む目的は、後から点検する手順を持つことにある。

論点1 ほとんどの判断は、速いほうで出ている

速い思考 勝手に働く / 止められない 疲れない 「この担当者は伸びそうだ」 「この案件はいける気がする」 ほとんどの判断はこちらで出ている 遅い思考 意識して動かす / 止められる 疲れる。だから使われにくい 「その根拠は何件のデータか」 「反対の事実はないか」 意図的に呼び出すしかない 直感を消すことはできない。後から点検する手順を置くしかない
速い思考と遅い思考の違い。

本書は思考を2つに分ける。速いほうは勝手に働き、止められず、疲れない。遅いほうは意識して動かし、疲れるから使われにくい。

  • 速い思考 … 「この担当者は伸びそうだ」が自動的に出てくる
  • 遅い思考 … 「その根拠は何件のデータか」と意図的に呼び出す

直感を消すことはできない。後から点検する手順を置くしかない。

いちこ

いちこ

直感を信じないほうがいいということですか?
シュン

シュン

そうじゃないんだ。速い判断は大半が正しい。ただ外れるときの型が決まってるから、そこだけ点検するんだよ。

論点2 情報が少ないほど、話のつじつまは合う

見えている情報 受注した3件の話 見えていない情報(失注・未接触・辞退) 「このやり方が効く」 手元の3件だけで結論ができる 少なさは自覚されない 情報が少ないほど、話のつじつまは合いやすくなる 納得感の強さは、根拠の多さの証拠にならない
手元にある情報だけで結論を作ってしまう構造。

受注した3件を振り返って「このやり方が効く」と結論する。だが失注も未接触も辞退も見えていない。

少なさは自覚されない。むしろ情報が少ないほど話はきれいにまとまる。納得感の強さは、根拠の多さの証拠にならない。

手元の情報の偏りについては FACTFULNESS も同じところを突いている。

論点3 失う痛みのほうが強い

得をする → ← 損をする +100万の喜び -100万の痛み 同じ金額でも、失う痛みのほうが2倍ほど強く感じられる 「得られるもの」より「このままだと失うもの」を示すほうが動く
同じ金額でも、損失のほうが強く感じられる。

同じ100万でも、得る喜びより失う痛みのほうが2倍ほど強く感じられる。

提案の場面では、得られるものより「このままだと失うもの」を示すほうが動く。ただしこれは使う側にも効く。値引きを一度受けると、次から失う痛みが基準になる。

いちこ

いちこ

メリットばかり並べていました。
シュン

シュン

メリットは大事なんだけどね。「今のまま行くとどうなるか」を1つ置くと、重さが変わるんだ。

この本の限界と、次に読む本

上下巻で分厚く、実験の記述が中心。営業の話は出てこないので、自分の判断に当てはめて読む必要がある。短く読むなら 予想どおりに不合理、思い込みの型なら FACTFULNESS が隣に並ぶ。

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