直感で判断している自覚がない。直感を消すのではなく点検する手順を持つための論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 判断の外し方に法則があると感じる
- 会議で直感論が強い
- 提案の組み立てを見直したい
−おすすめしない人
- 短く実務の手順が欲しい
- 営業に直結する話だけ読みたい
著者について
ダニエル・カーネマン
プリンストン大学 名誉教授
- 経歴
- 心理学者として意思決定研究に従事し、行動経済学の基礎を築いた
- 実績
- 2002年にノーベル経済学賞を受賞。本書は半世紀の研究を一般向けにまとめたもの
目的
「この案件はいける気がする」。根拠を聞かれると後から理屈をつける。当たることもあるが、外れ方に法則がある。
直感が悪いのではなく、直感が働いたことに気づいていない。本書を読む目的は、後から点検する手順を持つことにある。
論点1 ほとんどの判断は、速いほうで出ている
本書は思考を2つに分ける。速いほうは勝手に働き、止められず、疲れない。遅いほうは意識して動かし、疲れるから使われにくい。
- 速い思考 … 「この担当者は伸びそうだ」が自動的に出てくる
- 遅い思考 … 「その根拠は何件のデータか」と意図的に呼び出す
直感を消すことはできない。後から点検する手順を置くしかない。
いちこ
直感を信じないほうがいいということですか?
シュン
そうじゃないんだ。速い判断は大半が正しい。ただ外れるときの型が決まってるから、そこだけ点検するんだよ。
論点2 情報が少ないほど、話のつじつまは合う
受注した3件を振り返って「このやり方が効く」と結論する。だが失注も未接触も辞退も見えていない。
少なさは自覚されない。むしろ情報が少ないほど話はきれいにまとまる。納得感の強さは、根拠の多さの証拠にならない。
手元の情報の偏りについては FACTFULNESS も同じところを突いている。
論点3 失う痛みのほうが強い
同じ100万でも、得る喜びより失う痛みのほうが2倍ほど強く感じられる。
提案の場面では、得られるものより「このままだと失うもの」を示すほうが動く。ただしこれは使う側にも効く。値引きを一度受けると、次から失う痛みが基準になる。
いちこ
メリットばかり並べていました。
シュン
メリットは大事なんだけどね。「今のまま行くとどうなるか」を1つ置くと、重さが変わるんだ。
この本の限界と、次に読む本
上下巻で分厚く、実験の記述が中心。営業の話は出てこないので、自分の判断に当てはめて読む必要がある。短く読むなら 予想どおりに不合理、思い込みの型なら FACTFULNESS が隣に並ぶ。
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批判的思考のほかの本
- 武器としての決断思考 瀧本哲史
- FACTFULNESS ハンス・ロスリング・オーラ・ロスリング・アンナ・ロスリング・ロンランド
- 「具体・抽象」トレーニング 細谷功