人は損得で動くはずだ。その前提が崩れる場面を実験から見る論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 条件がいいのに選ばれない
- 価格の提示順を見直したい
- 人の判断の癖を知りたい
−おすすめしない人
- 統計や分析の手法を学びたい
- BtoBの事例が欲しい
著者について
ダン・アリエリー
デューク大学 教授
- 経歴
- 行動経済学を専門とし、人が一貫して非合理な選択をする場面を実験で検証してきた
- 実績
- その実験を一般向けに紹介し、行動経済学を広く知らしめた
目的
一番条件のいい案を出したのに選ばれない。値引きしたのに関係が良くならない。理屈に合わない。
相手が不合理なのではなく、不合理さに法則がある。本書を読む目的は、その型を知って提案の出し方に使うことにある。
論点1 人は、並んだものの中での位置で判断する
A 50万とB 120万の2案だと、Bは「高い」としか見えない。ここにC 260万を足すと、Bが「ちょうどいい」に見える。
絶対額ではなく、並んだものの中での位置で判断されている。自分が提案を受ける側のときも、同じ構図に置かれている。
いちこ
3案出すのは、わざと選ばせるためですか?
シュン
操作するためじゃなくて、判断の材料を揃えるためだね。ただ効果はあるから、自覚しておくことだよ。
論点2 最初に置かれた数字が、議論の中心になる
相手が先に「80万まで」と言えば、交渉はその周りで起きる。こちらが先に「180万」と置けば、こちらの周りで起きる。
「ご予算はおいくらですか」を先に聞くと、上限を相手に置かせることになる。交渉の順序は 交渉の達人 のほうが体系的に扱っている。
論点3 一度お金の話にすると、好意の回路には戻りにくい
本書が実験で示すのは、金銭の文脈と好意の文脈が別の回路で働くことだ。
- 少額の謝礼 … 金額に見合う分しか動かず、かえって冷める
- 好意として渡す … 見返りの計算が働かず、関係として積み上がる
値引きで関係を作ろうとすると、値引きでしか続かなくなる。ここに心当たりのある取引先は多い。
いちこ
値引きしたほうが関係が良くなる気がしていました。
シュン
一度やると、次も期待されるんだよね。関係じゃなくて条件の話になっていくんだ。
この本の限界と、次に読む本
実験の多くは消費者行動が題材で、法人営業にそのまま当てはまらない部分がある。判断の仕組みを深く知るなら ファスト&スロー、説得の型なら 影響力の武器 が隣に並ぶ。
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自社の数字で確かめる
この本の考え方を、統計で検証する側の記事です。
数と因果のほかの本
- FACTFULNESS ハンス・ロスリング・オーラ・ロスリング・アンナ・ロスリング・ロンランド
- 統計学が最強の学問である 西内啓
- データ分析の力 伊藤公一朗
- 「原因と結果」の経済学 中室牧子・津川友介
- 定量分析の教科書 グロービス
- 「数字で考える」は武器になる 中尾隆一郎