予想どおりに不合理 の書影

予想どおりに不合理

行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

ダン・アリエリー

人は損得で動くはずだ。その前提が崩れる場面を実験から見る論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 条件がいいのに選ばれない
  • 価格の提示順を見直したい
  • 人の判断の癖を知りたい

−おすすめしない人

  • 統計や分析の手法を学びたい
  • BtoBの事例が欲しい

著者について

ダン・アリエリー

デューク大学 教授

経歴
行動経済学を専門とし、人が一貫して非合理な選択をする場面を実験で検証してきた
実績
その実験を一般向けに紹介し、行動経済学を広く知らしめた

早川書房 / 2010年10月(増補版)

目的

一番条件のいい案を出したのに選ばれない。値引きしたのに関係が良くならない。理屈に合わない。

相手が不合理なのではなく、不合理さに法則がある。本書を読む目的は、その型を知って提案の出し方に使うことにある。

論点1 人は、並んだものの中での位置で判断する

2案で出す A 50万 B 120万 高いほうが「高い」とだけ見える 3案で出す A 50万(機能限定) B 120万(標準) C 260万(フル) Bが「ちょうどいい」に見える 人は絶対額ではなく、並んだものの中での位置で判断する 自分が提案を受ける側のときも、同じ構図に置かれている
比較対象を1つ足すと、選ばれる案が変わる。

A 50万とB 120万の2案だと、Bは「高い」としか見えない。ここにC 260万を足すと、Bが「ちょうどいい」に見える。

絶対額ではなく、並んだものの中での位置で判断されている。自分が提案を受ける側のときも、同じ構図に置かれている。

いちこ

いちこ

3案出すのは、わざと選ばせるためですか?
シュン

シュン

操作するためじゃなくて、判断の材料を揃えるためだね。ただ効果はあるから、自覚しておくことだよ。

論点2 最初に置かれた数字が、議論の中心になる

提示された金額 相手が先に出した「80万まで」 交渉はこの周りで起きる こちらが先に出した「180万」 交渉はこちらの周りで起きる 最初に置かれた数字が、その後の議論の中心になる 「予算はおいくらですか」を先に聞くと、上限を相手に置かせることになる
先に出た数字が、その後の交渉の基準になる。

相手が先に「80万まで」と言えば、交渉はその周りで起きる。こちらが先に「180万」と置けば、こちらの周りで起きる。

「ご予算はおいくらですか」を先に聞くと、上限を相手に置かせることになる。交渉の順序は 交渉の達人 のほうが体系的に扱っている。

論点3 一度お金の話にすると、好意の回路には戻りにくい

取引として扱う 「少額ですがお礼に」 金額に見合う分だけ動く 少額だと、かえって冷める 好意として扱う 「お役に立てればと思って」 見返りの計算が働かない 関係として積み上がる 一度お金の話にすると、好意の回路には戻りにくい 値引きで関係を作ろうとすると、値引きでしか続かなくなる
取引として扱う場合と、好意として扱う場合。

本書が実験で示すのは、金銭の文脈と好意の文脈が別の回路で働くことだ。

  • 少額の謝礼 … 金額に見合う分しか動かず、かえって冷める
  • 好意として渡す … 見返りの計算が働かず、関係として積み上がる

値引きで関係を作ろうとすると、値引きでしか続かなくなる。ここに心当たりのある取引先は多い。

いちこ

いちこ

値引きしたほうが関係が良くなる気がしていました。
シュン

シュン

一度やると、次も期待されるんだよね。関係じゃなくて条件の話になっていくんだ。

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実験の多くは消費者行動が題材で、法人営業にそのまま当てはまらない部分がある。判断の仕組みを深く知るなら ファスト&スロー、説得の型なら 影響力の武器 が隣に並ぶ。

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