現場は悪くなっていると感じる。だが数字を並べると違うことがある。思い込みを外して数字を読む論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 現場の体感と数字が合わない
- 会議で印象論が強い
- 数字の読み方を部下に教える立場
−おすすめしない人
- 統計の手法そのものを学びたい
- 営業に直結する話だけが欲しい
著者について
ハンス・ロスリング・オーラ・ロスリング・アンナ・ロスリング・ロンランド
カロリンスカ研究所 国際保健学教授
- 経歴
- 医師・公衆衛生研究者として活動し、公開統計を可視化するギャップマインダー財団を共同設立
- 実績
- 各国の聴衆に出し続けた選択式クイズの正答率データをもとに本書を執筆
目的
現場は悪くなっている気がする。クレームも聞く。失注の報告も来る。だが数字を並べると、去年より良くなっていることがある。
感覚が鈍いのではなく、思い込みが数字の読み方を歪める。本書を読む目的は、その歪み方に名前をつけて避けることにある。
論点1 2つに分けると、人数の多い層が消える
本書が最初に挙げる思い込みが、世界を二分して見る癖だ。営業組織では「できる人とできない人」として現れる。
- 2つに分けて見る … 間に誰もいないことになり、打ち手も2種類しか出ない
- 分布として見る … 多数は中間にいる
研修や施策の設計を誤るのは、たいていここからだ。分布として見る手順は メンバーをどう評価するか に。
いちこ
上位と下位で分けて考えていました。
シュン
便利だけどね。その真ん中に一番人数がいて、そこが動くと数字も動くんだ。
論点2 単発の数字は、分母と前期と並べる
「失注42件」だけでは多いのか少ないのか分からない。本書が勧めるのは必ず比較を添えることだ。
- 商談240件中42件 = 17.5%
- 前期は21% … 改善している
1点では見えないものが、線にすると見える。会議に出す数字を1つに絞るほど、この作業が要る。
論点3 手元に届く情報は、悪い側に偏っている
クレーム、失注、遅延は必ず報告される。だが少しずつ良くなった所は誰も報告しない。
マネージャーの手元に集まる情報は構造的に偏る。現場が実際より悪く見えるのは、感覚ではなく情報の流れの問題だ。改善した数字は、自分から取りにいかないと釣り合わない。
今月の会議で、良くなった数字を1つだけ自分で探して持ち込む。報告を待つと永久に出てこない。
いちこ
悪い報告ばかり来るのは、現場が悪いからだと思っていました。
シュン
報告される種類が偏ってるだけなんだよね。だから探しにいく必要があるんだ。
この本の限界と、次に読む本
扱う題材は国際保健や世界経済で、営業の話は出てこない。思い込みの型を自分の数字に当てはめて読む必要がある。判断の技術としては 武器としての決断思考、因果の見分けなら 「原因と結果」の経済学 が隣に並ぶ。
Amazonで見る Amazonのアソシエイトとして、SaleStats Lab は適格販売により収入を得ています。
自社の数字で確かめる
この本の考え方を、統計で検証する側の記事です。
批判的思考のほかの本
- 武器としての決断思考 瀧本哲史
- ファスト&スロー ダニエル・カーネマン
- 「具体・抽象」トレーニング 細谷功