FACTFULNESS の書影

FACTFULNESS

10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

ハンス・ロスリング・オーラ・ロスリング・アンナ・ロスリング・ロンランド

現場は悪くなっていると感じる。だが数字を並べると違うことがある。思い込みを外して数字を読む論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 現場の体感と数字が合わない
  • 会議で印象論が強い
  • 数字の読み方を部下に教える立場

−おすすめしない人

  • 統計の手法そのものを学びたい
  • 営業に直結する話だけが欲しい

著者について

ハンス・ロスリング・オーラ・ロスリング・アンナ・ロスリング・ロンランド

カロリンスカ研究所 国際保健学教授

経歴
医師・公衆衛生研究者として活動し、公開統計を可視化するギャップマインダー財団を共同設立
実績
各国の聴衆に出し続けた選択式クイズの正答率データをもとに本書を執筆

日経BP / 2019年1月

目的

現場は悪くなっている気がする。クレームも聞く。失注の報告も来る。だが数字を並べると、去年より良くなっていることがある。

感覚が鈍いのではなく、思い込みが数字の読み方を歪める。本書を読む目的は、その歪み方に名前をつけて避けることにある。

論点1 2つに分けると、人数の多い層が消える

2つに分けて見る できる人 できない人 間に誰もいないことになる 打ち手も2種類しか出ない 実際の分布 多数は中間にいる 「できる人とできない人」で語ると、人数の多い層が消える 研修や施策の設計を誤るのは、たいていここから
二つに分けて見る認識と、実際には連続した分布。

本書が最初に挙げる思い込みが、世界を二分して見る癖だ。営業組織では「できる人とできない人」として現れる。

  • 2つに分けて見る … 間に誰もいないことになり、打ち手も2種類しか出ない
  • 分布として見る … 多数は中間にいる

研修や施策の設計を誤るのは、たいていここからだ。分布として見る手順は メンバーをどう評価するか に。

いちこ

いちこ

上位と下位で分けて考えていました。
シュン

シュン

便利だけどね。その真ん中に一番人数がいて、そこが動くと数字も動くんだ。

論点2 単発の数字は、分母と前期と並べる

数字を1つだけ見る 失注 42件 多いのか少ないのか分からない 並べて見る 商談240件中42件 = 17.5% 前期は21% → 改善している 失注率の推移。1点では見えないものが線にすると見える 単発の数字は、必ず分母と前期と並べてから読む
数字を1つだけ見る場合と、割合や推移と並べて見る場合。

「失注42件」だけでは多いのか少ないのか分からない。本書が勧めるのは必ず比較を添えることだ。

  • 商談240件中42件 = 17.5%
  • 前期は21% … 改善している

1点では見えないものが、線にすると見える。会議に出す数字を1つに絞るほど、この作業が要る。

論点3 手元に届く情報は、悪い側に偏っている

マネージャーの手元に届く情報 クレーム・失注・遅延 必ず報告される 少しずつ良くなった所 誰も報告しない 手元の情報が偏っていると、現場は実際より悪く見える 改善した数字を自分から取りにいかないと、釣り合わない
悪い報告だけが伝わりやすく、改善が見えにくくなる構造。

クレーム、失注、遅延は必ず報告される。だが少しずつ良くなった所は誰も報告しない。

マネージャーの手元に集まる情報は構造的に偏る。現場が実際より悪く見えるのは、感覚ではなく情報の流れの問題だ。改善した数字は、自分から取りにいかないと釣り合わない。

今月の会議で、良くなった数字を1つだけ自分で探して持ち込む。報告を待つと永久に出てこない。
いちこ

いちこ

悪い報告ばかり来るのは、現場が悪いからだと思っていました。
シュン

シュン

報告される種類が偏ってるだけなんだよね。だから探しにいく必要があるんだ。

この本の限界と、次に読む本

扱う題材は国際保健や世界経済で、営業の話は出てこない。思い込みの型を自分の数字に当てはめて読む必要がある。判断の技術としては 武器としての決断思考、因果の見分けなら 「原因と結果」の経済学 が隣に並ぶ。

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自社の数字で確かめる

この本の考え方を、統計で検証する側の記事です。

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