経験は積んでいる。だが次の案件に活きない。具体と抽象を往復するための論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 経験が次に活きない
- 上司や部下と話が噛み合わない
- 抽象的な指示に困っている
−おすすめしない人
- 具体的な営業手法が欲しい
- 設問形式が合わない
著者について
細谷功
思考法を主題にした著述家
- 経歴
- コンサルティングの実務を経て、思考法を主題にした著作を手がけてきた
- 実績
- 具体と抽象の往復を29の設問で練習させる構成をとった
目的
A社で失注した。原因も振り返った。それなのにB社で同じことが起きる。
振り返りが足りないのではなく、事実のまま持っていて、一段上げていない。本書を読む目的は、経験を次に使える形に変えることにある。
論点1 一段上げてから、別の場面に下ろす
「A社で部長が異動して止まった」は事実だ。これを決裁者が不在だと案件は止まるまで上げると、B社でも使える。
- 一段上げる … 事実から言えることを1行で書く
- 別の場面に下ろす … 次の案件で、決裁者を先に確かめる
経験が次に活きないのは、上げずに別の案件へ移るからだ。
いちこ
振り返りはしているのに、なぜ活きないんでしょう。
シュン
事実を思い出すだけで終わってるんだ。一行でいいから「つまり何か」を書くと変わるよ。
論点2 噛み合わないのは、階層が違うから
上司が「営業力を上げたい」と言い、部下が「このメールの文面が」と返す。意見の違いではなく、話している階層の違いだ。
どちらも正しい。ただ距離が埋まっていない。上げるか下ろすかを一方が意識するだけで、会話は噛み合う。
会議で噛み合わないと感じたら、「それは具体的にどの場面の話ですか」か「つまり何の話ですか」のどちらかを聞く。
論点3 上げすぎた言葉は、正しいのに使えない
「要は顧客目線」は誰も反論できないが、誰も何も変えられない。
- 事例の報告だけ … 次に使えない
- 上げすぎ … 正しいが動かない
- 使える高さ … 別の案件に下ろせて、反証もできる
下ろしてみて使えるかどうかが、高さの正しさの判定になる。
いちこ
「顧客目線で」と言われると、何をすればいいか分かりません。
シュン
そうなんだよ。正しいから反論もできない。だから下ろして確かめるしかないんだ。
この本の限界と、次に読む本
設問を解く形式で、読み流すと何も残らない。手を動かさないと効かない本になる。分解の型なら 問題解決プロフェッショナル「思考と技術」、同じ著者の概算の技術なら 地頭力を鍛える が隣に並ぶ。
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