武器としての決断思考 の書影

武器としての決断思考

瀧本哲史

情報は揃わない。それでも決めなければならない。正解探しをやめて、今いちばんましな答えを選ぶための論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 決め切れずに保留が増えている
  • 会議が説得合戦になる
  • 根拠の弱い主張に押される

−おすすめしない人

  • 組織の意思決定プロセスを設計したい
  • 統計的な判断手法を学びたい

著者について

瀧本哲史

元・京都大学 客員准教授 / エンジェル投資家

経歴
マッキンゼー・アンド・カンパニー → エンジェル投資家 → 京都大学で意思決定論を講義
実績
同大学の人気講義をもとに、ディベートの型で自分で決める方法を書いた

講談社 / 2011年9月

目的

インサイドセールスを置くべきか。値引きの権限を現場に渡すべきか。どちらにも理屈があり、決め手がない。

判断力が足りないのではなく、正解を探す構えのまま期日を迎えている。本書を読む目的は、情報が揃わない前提で決める手順を持つことにある。

論点1 正解を待つと、決めないという決定になる

正解を探す 「もう少し情報が出てから」 正解が出るまで決めない 決めないという決定になる 今いちばんましな答えを選ぶ 「この情報量で、どちらがましか」 後で変えられる前提で決める 動いた分だけ情報が増える 期日のある仕事に正解は間に合わない
正解を探す構えと、今の時点で最もましな答えを選ぶ構え。

本書の立場は明快で、期日のある仕事に正解は間に合わないというものだ。扱うべき問いは「正しいのはどちらか」ではなく「この情報量でどちらがましか」になる。

  • 正解を待つ … 「もう少し情報が出てから」。決めないという決定になる
  • ましな方を選ぶ … 後で変えられる前提で決める。動いた分だけ情報が増える

保留は中立ではない。現状を選び続けているという意味で、れっきとした選択になっている。

いちこ

いちこ

決め切らないほうが安全だと思っていました。
シュン

シュン

保留も選択なんだよ。しかも現状維持を選んだことになる。そこが見えにくいんだ。

論点2 反対側を、自分で書けるか

論題 インサイドセールスを置くか 置く側の論拠 初動が早くなる 訪問の工数が空く どれも「本当にそうか」を確かめる 置かない側の論拠 引き継ぎで温度が落ちる 人を採る余力がない こちらを自分で書けるかが分かれ目 反対側を他人に任せている限り、判断の質は上がらない
論題に対して、賛成側と反対側の論拠を自分で両方立てる。

本書がディベートの型を持ち込むのはここだ。論題を立て、賛成と反対の論拠を自分で両方並べる。

  • 置く側 … 初動が早くなる、訪問の工数が空く
  • 置かない側 … 引き継ぎで温度が落ちる、人を採る余力がない

反対側を他人に任せていると、会議は説得の場になり、判断の質は上がらない。自分で書けるかどうかが分かれ目になる。

論点3 根拠が切れている場所を見つける

「他社もやっている」 という主張 ① その事実は確かか 出典・件数・いつの話か ② 自社にも当てはまるか 規模・商材・顧客層が違わないか ③ だから何が言えるのか 「やるべき」まで繋がるか 3つのどこかで切れていれば、その根拠は判断に使えない
主張の根拠を3つの問いで確かめる。

「他社もやっている」は論拠に見えて、判断には使えないことが多い。本書は根拠を順に確かめていく。

  • その事実は確かか … 出典・件数・いつの話か
  • 自社にも当てはまるか … 規模・商材・顧客層が違わないか
  • だから何が言えるのか … 「やるべき」まで繋がるか

数字の見かけに引っかからない見方は そのKPI、本当に成果につながるか に手順がある。

いちこ

いちこ

「他社もやっている」は、よく会議で出ます。
シュン

シュン

出たら3つを順に聞いてみて。どこかで必ず切れているから。

この本の限界と、次に読む本

大学の講義をもとにした本で、例は学生向けのものが多い。先に答えを置いて確かめる進め方なら内田和成『仮説思考』、何を問いにするかなら イシューからはじめよ が隣に並ぶ。

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