情報は揃わない。それでも決めなければならない。正解探しをやめて、今いちばんましな答えを選ぶための論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 決め切れずに保留が増えている
- 会議が説得合戦になる
- 根拠の弱い主張に押される
−おすすめしない人
- 組織の意思決定プロセスを設計したい
- 統計的な判断手法を学びたい
著者について
瀧本哲史
元・京都大学 客員准教授 / エンジェル投資家
- 経歴
- マッキンゼー・アンド・カンパニー → エンジェル投資家 → 京都大学で意思決定論を講義
- 実績
- 同大学の人気講義をもとに、ディベートの型で自分で決める方法を書いた
目的
インサイドセールスを置くべきか。値引きの権限を現場に渡すべきか。どちらにも理屈があり、決め手がない。
判断力が足りないのではなく、正解を探す構えのまま期日を迎えている。本書を読む目的は、情報が揃わない前提で決める手順を持つことにある。
論点1 正解を待つと、決めないという決定になる
本書の立場は明快で、期日のある仕事に正解は間に合わないというものだ。扱うべき問いは「正しいのはどちらか」ではなく「この情報量でどちらがましか」になる。
- 正解を待つ … 「もう少し情報が出てから」。決めないという決定になる
- ましな方を選ぶ … 後で変えられる前提で決める。動いた分だけ情報が増える
保留は中立ではない。現状を選び続けているという意味で、れっきとした選択になっている。
いちこ
決め切らないほうが安全だと思っていました。
シュン
保留も選択なんだよ。しかも現状維持を選んだことになる。そこが見えにくいんだ。
論点2 反対側を、自分で書けるか
本書がディベートの型を持ち込むのはここだ。論題を立て、賛成と反対の論拠を自分で両方並べる。
- 置く側 … 初動が早くなる、訪問の工数が空く
- 置かない側 … 引き継ぎで温度が落ちる、人を採る余力がない
反対側を他人に任せていると、会議は説得の場になり、判断の質は上がらない。自分で書けるかどうかが分かれ目になる。
論点3 根拠が切れている場所を見つける
「他社もやっている」は論拠に見えて、判断には使えないことが多い。本書は根拠を順に確かめていく。
- その事実は確かか … 出典・件数・いつの話か
- 自社にも当てはまるか … 規模・商材・顧客層が違わないか
- だから何が言えるのか … 「やるべき」まで繋がるか
数字の見かけに引っかからない見方は そのKPI、本当に成果につながるか に手順がある。
いちこ
「他社もやっている」は、よく会議で出ます。
シュン
出たら3つを順に聞いてみて。どこかで必ず切れているから。
この本の限界と、次に読む本
大学の講義をもとにした本で、例は学生向けのものが多い。先に答えを置いて確かめる進め方なら内田和成『仮説思考』、何を問いにするかなら イシューからはじめよ が隣に並ぶ。
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批判的思考のほかの本
- FACTFULNESS ハンス・ロスリング・オーラ・ロスリング・アンナ・ロスリング・ロンランド
- ファスト&スロー ダニエル・カーネマン
- 「具体・抽象」トレーニング 細谷功