「インサイドセールス=電話をかける人」のまま組織を作ると、件数だけが増えて売上が動かない。本書が解いている論点を3つに絞って紹介する。
✓お勧めする人
- ISを立ち上げる
- 置いたが成果が出ていない
- ISとFSの関係がぎくしゃくしている
−おすすめしない人
- 営業が数名で分業の前提がない
- 既にSDRとBDRを分けて運用できている
著者について
茂野明彦
インサイドセールスの組織立ち上げ実務者
- 経歴
- 複数企業でインサイドセールス組織の立ち上げと運用に携わってきた
- 実績
- 日本企業への導入を前提に、組織の作り方を整理した
目的
インサイドセールスを置いた。架電数も商談化数も報告されている。それなのに受注は変わらず、現場からは「ただのアポ取り係になっている」という声が上がる。
原因は人でも努力でもなく、役割を定義しないまま席だけ作ったことにある。本書を読む目的は、インサイドセールスを職種として設計し直すことにある。
論点1 SDRとBDRを混ぜると、どちらも中途半端になる
インサイドセールスには、問い合わせに応える反響型(SDR)と、接点のない企業を開拓する開拓型(BDR)がある。本書はこれを分けて考えることを求める。
- SDR … 相手は既に関心がある。速さが成果を左右する
- BDR … 相手はまだ知らない。狙いの精度と継続が成果を左右する
この2つを一人に兼務させると、反響対応が優先されて開拓は後回しになる。開拓は成果が出るまで時間がかかるので、短期の数字に追われるほど手が止まる。
いちこ
シュン
論点2 伸びるかどうかは、フィールドセールスからの折り返しで決まる
渡した商談がどうなったかがISに戻らない組織は多い。すると、ISが自分で確認できる成果はアポ件数だけになる。件数しか見えないなら、件数を増やすのが合理的な行動になってしまう。
必要なのは、受注したか・失注したならなぜか、という折り返しだ。これが戻ってはじめて、ISは「どんな商談なら決まるか」を学習できる。
論点3 訪問しないほうが速い商談がある
本書の立場は「訪問をやめる」ではなく「訪問の要否を設計する」に近い。すべてをISで完結させようとすると、対面での合意形成が要る案件まで無理に押し込むことになる。
- 取引規模が小さく、説明に要る情報も少ない … IS完結のほうが速い
- 規模が大きく、関係者が多い … FSに渡す。訪問の価値が出る
判断軸を先に決めておかないと、担当者ごとに運用がばらつく。ばらついた状態で通過率を比べても、意味のある比較にはならない(分散・標準偏差)。
いちこ
シュン
この本の限界と、次に読む本
工程全体の設計から入りたいなら、福田康隆『THE MODEL』が上位の地図にあたる。KPIの置き方で迷っているなら、中尾隆一郎『最高の結果を出すKPIマネジメント』と並べて読むとよい。
インサイドセールスのほかの本
- インサイドセールス究極の営業術 水嶋玲以仁