インサイドセールス の書影

インサイドセールス

訪問に頼らず、売上を伸ばす営業組織の強化ガイド

茂野明彦

「インサイドセールス=電話をかける人」のまま組織を作ると、件数だけが増えて売上が動かない。本書が解いている論点を3つに絞って紹介する。

✓お勧めする人

  • ISを立ち上げる
  • 置いたが成果が出ていない
  • ISとFSの関係がぎくしゃくしている

−おすすめしない人

  • 営業が数名で分業の前提がない
  • 既にSDRとBDRを分けて運用できている

著者について

茂野明彦

インサイドセールスの組織立ち上げ実務者

経歴
複数企業でインサイドセールス組織の立ち上げと運用に携わってきた
実績
日本企業への導入を前提に、組織の作り方を整理した

翔泳社 / 2020年12月

目的

インサイドセールスを置いた。架電数も商談化数も報告されている。それなのに受注は変わらず、現場からは「ただのアポ取り係になっている」という声が上がる。

原因は人でも努力でもなく、役割を定義しないまま席だけ作ったことにある。本書を読む目的は、インサイドセールスを職種として設計し直すことにある。

論点1 SDRとBDRを混ぜると、どちらも中途半端になる

SDR(反響型) BDR(開拓型) 相手 問い合わせ・資料請求した人 相手 まだ接点のない企業 きっかけ 顧客側から来る きっかけ こちらから作る 時間軸 数日〜数週 時間軸 数か月〜 向く指標 反応速度・商談化率 向く指標 接点数・ターゲット内到達率 同じ「インサイドセールス」でも、求められる動きが違う
同じインサイドセールスでも、反響に応えるSDRと自分から接点を作るBDRでは求められる動きが違う。

インサイドセールスには、問い合わせに応える反響型(SDR)と、接点のない企業を開拓する開拓型(BDR)がある。本書はこれを分けて考えることを求める。

  • SDR … 相手は既に関心がある。速さが成果を左右する
  • BDR … 相手はまだ知らない。狙いの精度と継続が成果を左右する

この2つを一人に兼務させると、反響対応が優先されて開拓は後回しになる。開拓は成果が出るまで時間がかかるので、短期の数字に追われるほど手が止まる。

いちこ

いちこ

どちらもインサイドセールスだと思っていました。
シュン

シュン

求められる筋肉が違うんだ。混ぜると、時間の奪い合いが起きて開拓だけが削られるよ。

論点2 伸びるかどうかは、フィールドセールスからの折り返しで決まる

一方通行 結果が戻る IS FS 渡したあとは分からない → ISは件数を追うしかなくなる IS FS 受注したか・失注理由は何か → ISが「質」を学習できる 折り返しがないと、分業は件数競争になる
渡したあとの結果が戻らないと、インサイドセールスは件数を追うしかなくなる。

渡した商談がどうなったかがISに戻らない組織は多い。すると、ISが自分で確認できる成果はアポ件数だけになる。件数しか見えないなら、件数を増やすのが合理的な行動になってしまう。

必要なのは、受注したか・失注したならなぜか、という折り返しだ。これが戻ってはじめて、ISは「どんな商談なら決まるか」を学習できる。

週次でFSからISへ返す項目を3つだけ決める。1. 受注/失注 2. 失注理由 3. 渡された時点で不足していた情報。これだけでISの渡し方は変わる。

論点3 訪問しないほうが速い商談がある

大 小 取引規模 商材の複雑さ(説明に要る情報量) IS完結 訪問しないほうが速い IS → FS に渡す IS → FS に渡す FS主導 対面で合意形成が要る
取引規模と商材の複雑さで、IS完結・FSへ引き渡し・FS主導を使い分ける。

本書の立場は「訪問をやめる」ではなく「訪問の要否を設計する」に近い。すべてをISで完結させようとすると、対面での合意形成が要る案件まで無理に押し込むことになる。

  • 取引規模が小さく、説明に要る情報も少ない … IS完結のほうが速い
  • 規模が大きく、関係者が多い … FSに渡す。訪問の価値が出る

判断軸を先に決めておかないと、担当者ごとに運用がばらつく。ばらついた状態で通過率を比べても、意味のある比較にはならない(分散・標準偏差)。

いちこ

いちこ

全部オンラインにする話かと思っていました。
シュン

シュン

逆だね。どこで会うべきかを決める話なんだ。そこが決まると、ISもFSも迷わなくなる。

この本の限界と、次に読む本

工程全体の設計から入りたいなら、福田康隆『THE MODEL』が上位の地図にあたる。KPIの置き方で迷っているなら、中尾隆一郎『最高の結果を出すKPIマネジメント』と並べて読むとよい。

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