キーマンには会えている。それでも案件が進まない。顧客の社内で合意が作られる過程に手を入れるための論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 関与者の多い大型案件を扱う
- 感触はいいのに決まらない
- 商談後の停滞に打ち手がない
−おすすめしない人
- 決裁者が1人の小規模取引が中心
- まず商談内の質問設計を固めたい
著者について
ブレント・アダムソン・マシュー・ディクソン
CEB(現ガートナー)の法人営業研究チーム
- 経歴
- CEBで法人営業の調査に携わってきた
- 実績
- 700社超・数千人の購買関与者を対象とした調査をもとに執筆
目的
決裁者とは会えた。手応えもあった。それなのに「社内で調整中」のまま半年が過ぎる。
商談の進め方ではなく、顧客の社内で合意が作られていないことが原因になっている。本書を読む目的は、勝負の場を商談の外側まで広げることにある。
論点1 関与者が増えた分、合意は遠のく
本書の出発点は調査結果だ。法人の購買に関わる人数は増え続けており、全員の納得が必要になった。すると一人を説得する力をいくら磨いても、この線は動かない。
- 一人を説得する技術 … 商談の中で効く
- 合意を作る支援 … 商談の外、顧客の社内で効く
提案の質が高いのに決まらない案件が多いなら、問題は商談の中ではない可能性が高い。
いちこ
シュン
論点2 話しやすい人と、動かせる人は別
本書が指摘するのは、営業が会いやすい相手ほど社内を動かさないという構図だ。歓迎してくれる、話が合う、情報もくれる。だが合意を取りにいく気はない。
逆に提案に注文をつけてくる相手のほうが、社内で変化を起こそうとしていることがある。好意と推進力を同じ軸で見ていると、右下の相手に時間を使い切る。
論点3 説得する相手は、説得してくれる人
本書の提案は、営業が全員を説得しにいくのをやめて、社内で説得してくれる人に材料を渡すことだ。渡すのは製品説明ではなく、相手の社内で議論を起こせる論点になる。
- 渡さない場合 … 担当者から先で話が止まる
- 渡した場合 … 他部署での合意が進む
大型案件の攻め方としては THE MODEL の分業設計と組み合わせて読むと、どの工程で誰に当てるかが見えやすくなる。
いちこ
シュン
この本の限界と、次に読む本
同じ著者陣の前著 チャレンジャー・セールス・モデル は、商談の中で顧客に教える側に立つ話。本書はその商談が終わったあと、顧客の社内で何が起きているかを扱っている。質問で課題を立ち上げる技術そのものは SPIN営業術 が先にくる。
エンタープライズ攻略のほかの本
- ABM アカウントベースドマーケティング 庭山一郎