調査はしている。それなのに施策が刺さらない。多数の平均ではなく一人から発想を立てるための論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 調査結果が施策に繋がらない
- 顧客理解を言葉にできない
- マーケと営業の間に立つ
−おすすめしない人
- BtoBの大型案件だけを扱う
- 統計的な調査設計を学びたい
著者について
西口一希
元・スマートニュース 日本・米国法人 マーケティング担当
- 経歴
- P&G → ロート製薬 → ロクシタンジャポン → スマートニュース
- 実績
- スマートニュース時代の利用者数拡大の経験をもとにN1分析を体系化
目的
アンケートは取った。「価格が重要」が48%。それを踏まえて施策を打った。反応がない。
調査が足りないのではなく、誰にも当てはまらない平均像を相手にしている。本書を読む目的は、発想の出発点を平均から一人に移すことにある。
論点1 発想は一人から、検証は全体で
本書が掲げるのがN1分析だ。実在する一人に、なぜ選んだのか、なぜ切り替えたのかを聞き切る。
- 平均 … 「価格が重要」48%。打ち手が書けない
- 一人 … 前任の退職で運用が止まり、引き継ぎのしやすさで選んだ
後者は平均では絶対に出てこない。発想は一人から出し、効くかどうかを全体で確かめる。順序を逆にすると、どの層にも刺さらない施策ができる。
いちこ
一人の意見で決めるのは、偏りませんか?
シュン
決めるんじゃなくて、思いつくために使うんだ。検証は数で後からやるよ。
論点2 動かせる層と、動かせない層を分ける
本書は顧客を認知と利用で分ける。この区別をしないと、提案力でどうにもならない層に営業工数を注ぎ続けることになる。
- 継続顧客 … なぜ使い続けるのかを聞く。強みの正体はここにある
- 知っているが使わない … 理由が最も取りやすい層
- 未認知 … そもそも検討に入っていない。提案力では動かない
BtoBなら、失注した相手と、検討しただけで終わった相手が最も情報を持っている。受注した理由より聞きにくいが、価値が高い。
論点3 独自性だけを語る提案は売れない
本書は提案の良さを便益と独自性の2軸で見る。片方だけでは選ばれない。
- 役に立つが、どこにもある … 価格で比べられる
- 珍しいが、得がない … 話題にはなるが売れない
- 役に立ち、他にない … ここだけが選ばれる
自社だけの機能を列挙した提案書は、右下に落ちていることが多い。顧客が何を得るのかが書かれていないからだ。
いちこ
「当社だけの機能です」と言っていました。
シュン
その機能で相手の何が楽になるのか、まで書けているかだね。そこが抜けると独自性だけが残るんだ。
この本の限界と、次に読む本
事例は消費者向けサービスが中心で、BtoBにそのまま当てはまらない部分がある。顧客が何を片づけたいのかから入るなら ジョブ理論、関与者が多い購買の構造なら 隠れたキーマンを探せ! が補いになる。
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