実践 顧客起点マーケティング の書影

実践 顧客起点マーケティング

たった一人の分析から事業は成長する

西口一希

調査はしている。それなのに施策が刺さらない。多数の平均ではなく一人から発想を立てるための論点を3つ紹介する。

✓お勧めする人

  • 調査結果が施策に繋がらない
  • 顧客理解を言葉にできない
  • マーケと営業の間に立つ

−おすすめしない人

  • BtoBの大型案件だけを扱う
  • 統計的な調査設計を学びたい

著者について

西口一希

元・スマートニュース 日本・米国法人 マーケティング担当

経歴
P&G → ロート製薬 → ロクシタンジャポン → スマートニュース
実績
スマートニュース時代の利用者数拡大の経験をもとにN1分析を体系化

翔泳社 / 2019年4月

目的

アンケートは取った。「価格が重要」が48%。それを踏まえて施策を打った。反応がない。

調査が足りないのではなく、誰にも当てはまらない平均像を相手にしている。本書を読む目的は、発想の出発点を平均から一人に移すことにある。

論点1 発想は一人から、検証は全体で

多数の平均を見る 「価格が重要」48% 誰にも当てはまらない平均像が出る 一人を深く掘る A社の担当者1名 なぜ切り替えたのか 前任の退職で運用が止まった → 引き継ぎのしやすさで選んだ 平均では絶対に出てこない理由 打ち手の発想は一人から出る。平均は検証にだけ使う 順序を逆にすると、どの層にも刺さらない施策ができる
多数の平均を見る調査と、一人を深く掘る調査。

本書が掲げるのがN1分析だ。実在する一人に、なぜ選んだのか、なぜ切り替えたのかを聞き切る。

  • 平均 … 「価格が重要」48%。打ち手が書けない
  • 一人 … 前任の退職で運用が止まり、引き継ぎのしやすさで選んだ

後者は平均では絶対に出てこない。発想は一人から出し、効くかどうかを全体で確かめる。順序を逆にすると、どの層にも刺さらない施策ができる。

いちこ

いちこ

一人の意見で決めるのは、偏りませんか?
シュン

シュン

決めるんじゃなくて、思いつくために使うんだ。検証は数で後からやるよ。

論点2 動かせる層と、動かせない層を分ける

認知していない 認知している 使っている 使っていない (ここは成立しない) 継続顧客 なぜ使い続けるのかを聞く 強みの正体はここにある 未認知 そもそも検討に入っていない 提案力では動かない層 知っているが使わない 離反・検討しただけ 理由が最も取りやすい層
顧客を認知と利用の有無で四つに分ける。

本書は顧客を認知と利用で分ける。この区別をしないと、提案力でどうにもならない層に営業工数を注ぎ続けることになる。

  • 継続顧客 … なぜ使い続けるのかを聞く。強みの正体はここにある
  • 知っているが使わない … 理由が最も取りやすい層
  • 未認知 … そもそも検討に入っていない。提案力では動かない

BtoBなら、失注した相手と、検討しただけで終わった相手が最も情報を持っている。受注した理由より聞きにくいが、価値が高い。

論点3 独自性だけを語る提案は売れない

便益(顧客の得) 独自性(他にない) 役に立つが、どこにもある 価格で比べられる 役に立ち、他にない ここだけが選ばれる 誰も欲しがらない 珍しいが、得がない 話題にはなるが売れない 「独自の機能」だけを語る提案は、右下に落ちていることが多い
便益と独自性の二軸で、選ばれる位置を見る。

本書は提案の良さを便益と独自性の2軸で見る。片方だけでは選ばれない。

  • 役に立つが、どこにもある … 価格で比べられる
  • 珍しいが、得がない … 話題にはなるが売れない
  • 役に立ち、他にない … ここだけが選ばれる

自社だけの機能を列挙した提案書は、右下に落ちていることが多い。顧客が何を得るのかが書かれていないからだ。

いちこ

いちこ

「当社だけの機能です」と言っていました。
シュン

シュン

その機能で相手の何が楽になるのか、まで書けているかだね。そこが抜けると独自性だけが残るんだ。

この本の限界と、次に読む本

事例は消費者向けサービスが中心で、BtoBにそのまま当てはまらない部分がある。顧客が何を片づけたいのかから入るなら ジョブ理論、関与者が多い購買の構造なら 隠れたキーマンを探せ! が補いになる。

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