「なぜ買わないのか」を機能で説明しようとすると行き詰まる。顧客が何を片づけたくて動くのかから考え直す論点を3つ紹介する。
✓お勧めする人
- 機能で勝っているのに負ける
- 失注理由が「検討します」ばかり
- 新しい市場を開きたい
−おすすめしない人
- すぐ使える商談のフレームを探している
- 既存顧客の深耕が主な課題
著者について
クレイトン・M・クリステンセン
ハーバード・ビジネス・スクール 教授
- 経歴
- 経営学者として破壊的イノベーションの研究を主導した
- 実績
- 顧客が商品を「雇う」理由という枠組みで、needs の捉え方を刷新した
目的
機能では勝っている。価格も見劣りしない。それなのに決まらない。理由を聞いても「検討します」しか返ってこない。
見ているものがずれている。顧客は製品を比べているのではなく、片づけたい用事を片づけようとしているだけだ。本書を読む目的は、顧客を製品の軸ではなく用事の軸で捉え直すことにある。
論点1 顧客は製品ではなく、用事のために雇う
本書の中心にあるのは、顧客は製品を買うのではなく、ある状況で特定の用事を片づけるために製品を雇うという見方だ。
SFAを例にすると、「SFAを買う人」を考えているうちは競合は他社SFAになり、機能比較の勝負になる。だが「役員会で詰められたくない」という用事から見ると、競合はExcelであり、現状維持になる。
- 製品軸 … 比較表で勝つ必要がある
- 用事軸 … 今のやり方では用事が片づかないことを示せばいい
いちこ
シュン
論点2 動かない理由は、売り手が思う側にない
本書が示すのは、購買の場面では相反する力が働いているという見方だ。進める側に「今の不満」と「新しい解への期待」、引き止める側に「変えることへの不安」と「今のやり方への慣れ」がある。
提案は前者を強めることに集中しがちだが、動かない理由はたいてい後者にある。いくら魅力を足しても、不安が同じだけあれば釣り合ったままになる。
論点3 聞くべきは「なぜ今なのか」
不満があることと、動き出すことは別だ。多くの顧客は不満を抱えたまま何年も我慢している。間に何かの出来事が挟まって、はじめて探しはじめる。
- 期初の方針変更、役員交代、大型失注
- こうした出来事が、我慢のコストを上回らせる
だから課題を聞くだけでは足りない。「なぜ今なのか」を聞くと、相手の本当の期限と、社内で何が起きているかが見えてくる。
いちこ
シュン
この本の限界と、次に読む本
本書は消費財やBtoCの事例が中心で、BtoBの商談にそのまま当てはまる形では書かれていない。商談の進め方に落とすなら、高橋浩一『無敗営業』やニール・ラッカム『SPIN営業術』のほうが直接的だ。
顧客理解のほかの本
- 実践 顧客起点マーケティング 西口一希
- “未”顧客理解 芹澤連